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バズはブランドの成長に中長期的に貢献するのか?

先日、対人マンさんが、

「リール動画でバズ」は正解なのか?

上記記事を執筆していたのですが、個人的にもバズがブランドの成長に中長期的に貢献度があるとは思っておりません。筆者はアパレルECにほぼ特化したEC運用を生業にしておりますので少し特殊なのかもしれませんが…。

しかし「リールでバズ」をアパレルでも提案してくる支援会社は存在しますので、過去経験したことを書いておきたいと思います。

■超有名芸能人からのシェア

過去、運用に携わっていたブランドにて、超有名芸能人が当該ブランドのアイテムを着用してシェアしたところ、セッションが急増し一時的に売上がやや伸びた経験があります。当時のinstagramのフォロワー数が400万人程度、セッションは1日で5000程度、CVは50件で客単価が10,000円くらいでしたので、50万円の売上がありました。その投稿には数多くのライクは付いていたものの、フォロワー数に対して発生したセッションは0.1%程度、売上(CVR)は更にそこから1%程度。確率的にはそんなもんかなぁという感じではありましたが、この方々が2回目購入に至ることはほぼなく、結果そのブランドはしばらくしてクローズ。(インフルエンサーブランドです。)

バズというほどの拡散ではないかもしれませんが、ターゲティングを絞らない偶発的な拡散から、アパレルブランドで顧客が定着するのは非常に稀だということがわかります。クローズした理由は結局、インフルエンサーの熱量がなく、ご本人の投稿がやっつけであった事から顧客が増えなかったことが要因ですね。バズなんかよりターゲティングを絞った広告とご本人の熱量の方が必要だったかと。

■有名芸能人とのコラボ

有名芸能人とコラボすることで、SNSや検索経由からECサイトのセッションが急増し、売上が一時的に大きく伸びたケースもありました。新規のメルマガ登録者数も劇的に増えたのですが、ここで獲得したユーザーから2回目購入に至ることもほぼありませんでした。

こちらもバズ、というよりはインフルエンサーブランドと似たような状況かと思います。ファングッズの域を出ないような展開ですし、そもそもターゲティングが違うので、インラインのアイテムが欲しい方ではなかったというオチですね。

その他、Xで商品画像が度々バズって数万ライク付くようなブランドのデータも見ておりますが、そんな事でECサイトの売上が急増し、そこで獲得したお客様の累計購入回数が大きく伸びたケースは見た事がありません。3件程度の経験なのでSNS支援をされている方の成功事例を知らないだけの可能性もありますが。

■バズ経由の効果検証はどうしているのか?

筆者がバズ経由の効果に懐疑的なのは、先述しております通り、

◯バズ経由の売上

◯バズ経由で獲得した顧客の累計購入回数と金額

◯バズ経由での指名検索の増加状況

など、わかりやすい指標で確認ができないからです。また、やや偏見もありますがSNS支援をされている方で、ECのWEB解析から細かい売上・顧客管理までチェックしている方、または提案内容を見たことがありません。(「お前が知らんだけや」ということもあると思いますので、やっている方は是非お声がけしてほしいです。)

クライアントから、

「よくSNS支援会社から営業が来るから本当に効果があるか確認してほしい」

と言われ、提案内容を確認する事が本当に多いのですが、皆様大体同じ感じの提案ばかりで、「指名検索が増えたら売上が上がります」みたいなものです。一口に指名検索と言っても、

「ブランド名 店舗」

「ブランド名 アイテムカテゴリー名」

「ブランド名 地域名」

「ブランド名 年代」

  etc

などなど、連続のクエリだと細分化されます。これ、それぞれ違うページで対策する必要があるのですが、そのあたりの提案も皆無です。

■バズで拡散した方が費用対効果が良いのか?

社内のSNS担当者の力量でバズを起こす事ができれば、費用対効果として安く済む、という言い分があるかもしれません。しかし、バズを起こすにはそれなりの「コンテンツ力」が求められますから、それを生み出すネタが必要です。また、リールでバズを起こすなら動画の撮影や編集に手間・労力がかかりますし、外注なら費用もかかります。コンサル費用で7〜80万円ほど請求する方もいらっしゃるようですが、いくらの売上を作れるつも(ry

もちろん、普段のSNS運用も同様にコンテンツ力のあるネタは必要ですが、バズを起こさずともターゲティングが明確であれば既存コンテンツで効果を出す事は可能ですし、少額からでも広告でプッシュする方が労力がかかりません。アパレル・ファッションの分野では、広告クリエイティブが優れていれば広告効果は非常に高まりますので、普段から撮影に費用をかけておき、それを広告で回すという運用が理想的に思えます。(Xで画像が度々バズるブランドはこの運用です。バズは副産物みたいなものですね。)わざわざバズらす為のコンテンツを作り込む必要性がありません。

 

いくつか、少ないながらも筆者がバズに懐疑的な理由を書いてみました。不特定多数に拡散されるのでから、アパレル・ファッションカテゴリーのように、ブランドによって顧客属性が細かく区切られる商材との相性は悪いと考えます。コモディティのような商材ならバズとの相性は良いかもしれませんし、「TikTokからyoutubeのチャンネル登録者数が大幅に増加した」みたいなお話も耳にしますので、商材や目的の違いによっては機能するのでしょう。もちろん、筆者の知見が足りていない可能性も大いにあるのでたくさんの異論・反論をお待ちしております。

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