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今回は、1年を通して店頭で販売する商品、いわゆる「通年品」について考えてみたいと思います。通年品については、これまで弊社サイト内でも繰り返し記事にしてきました。
これまでも繰り返し述べてきたように、アパレル小売りのシーズン区分において「通年品」を使用するのは、極力避けた方が良いという考えは、今も変わっておりません。なぜならば、通年品に該当する商品は、(基本)年中店頭で展開する商品であり、セールすることもないため、仮に在庫が増加しても問題ないという意識が芽生えるからです。付け加えると、通年品はMD予算策定(売上・粗利・仕入・在庫)しづらいということもあります。したがって、通年品というシーズン区分を使用する際は、その定義を明確にしておくことが重要です。ということで、今回は通年品のMD予算策定・期中運用について、優先・意識すべき点をお伝えできればと存じます。
通年品のMD予算策定・期中運用において優先すべき順序は以下のとおりです。
1. (基本)売れている商品は追加発注する
2. 売上・粗利高予算の達成を目指す
3. 在庫回転率の目標達成を目指す
上記の順序になります。それでは、項目ごとに以下のポイントをお伝えします。
MDにおける予算策定の重要性に関しては、弊社サイトや繊研plusの連載でも繰り返し述べてきました。(基本)セールを行わず、年中商品を展開する通年品も、出来る限り中分類(カテゴリー・アイテム・品種等)単位でMD予算(売上・粗利・仕入・在庫)策定を行う必要があります。しかしながら、シーズン品よりも在庫そのものの価値が下がりにくい通年品の場合、MD予算を気にして売れている商品の追加発注を躊躇したり、判断が遅れてしまうことがあってはいけません。通年品に該当する商品は、基本売れることは間違いないのですから、リードタイム(以下LT)を加味して、都度都度商品の追加発注を行えば良いだけのことです。つまり、MD予算を気にして追加発注の判断が遅れると、その分、販売の機会損失に繋がり、寧ろ、売上・粗利の予算達成が困難になります。
先述したように、通年品も基本的には中分類単位でのMD予算策定が重要です。しかしながら、シーズン品と違い、通年品の在庫の価値は下がりづらいため、MDがまず優先すべきは、売上・粗利高予算の達成です。仕入・在庫金額も気にしなければなりませんが、上述したように、売れている通年品は積極的に商品の追加発注を行い、販売の機会損失を防ぐ必要があります。しかし、通年品でも売上が芳しくない商品は、通年品からの格下げを行い、売価変更施策等で在庫を減らす努力も同時に行わなければならないでしょう。
通年品はシーズン品のように商品の消化率を気にする必要はありませんが(むしろ、消化率が高いと機会損失を起こす可能性大)、仕入・在庫予算策定を行うと同時に、在庫回転率の目標設定(予算化しても良いくらい)は行うべきです。例えば、通年品の売上・粗利の予算はクリアしていても、大幅に在庫が増加し、在庫回転が悪化しては、その組織のキャッシュフローは悪化する可能性があります。したがって、MDは通年品の売上・粗利予算達成とともに、MD予算策定時に目標設定した在庫回転率の目標をクリアできるように、期中でのMD運用を心がけるべきです。そのためには、商品の追加発注の精度を向上させる必要があるでしょう。
(*商品の追加発注に関しては、新たに記事を書きたいと思います)
アパレル小売りのブランド・ショップの中には、通年品の売上構成比が高くなる傾向にあるところが少なからず存在します。
(シューズ・バッグ・革小物等の服飾雑貨中心のブランドや特定のシーンを中心にしたブランド等)
そのような組織は、通年品のMD予算策定や期中運用の精度が上がれば、組織の業績向上に大きく貢献するのは間違いありません。今回のブログが、そのような方々のお役に立てれば幸いです。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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