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前回のブログでは、ストライプインターナショナルのインタビュー記事から見える疑問点を、3つに纏めました。
更に、インタビュー記事の数字から、連結ベース売上での、仕入削減前のOFF率を算出してみると?約25.3%という数字になり、ストライプインターナショナルの店頭等のセール過多から考えると違和感がある。ということを記載しました。
(上記疑問点等詳しいことは、以下の前回のブログでご確認お願い致しますm(__)m)
そこで、2018年1月期の決算公告の数字から、単体での売上920億円でOFF率を算出してみると?
”株式会社ストライプインターナショナル
第 23 期決算公告(2018年1月期)”
http://www.stripe-intl.com/common/pdf/ir201804.pdf
となり、②の疑問点で述べらている仕入金額の数字は、連結ベースで話した売上とは違い、単体での数字ではないのか?という仮説が立ちます。
事実、決算公告の数字から以下のような推測が成り立ちます。
・粗利率は47.5%という低い数字。業界で囁かれている値入率との差が大きいと推測され、OFF率が高い筈。
・年間売上原価483億円。決算在庫40.6億円。ということは、在庫回転率が高いのは間違いない。
・在庫回転が良いということは、売上点数が多くなる施策をしている。それがセール。
・店頭のOFFの状況を見ていると、OFF率が25.3%というのは無理がある。
以上の点から。
今回のインタビューでは、売上は連結ベースで話しているが、小売りベースでの仕入金額の話は、単体の売上ベースで話している?という、可能性が高いと言えるでしょう。
最後に③の疑問点に関する考察です。
もうここまでくると、正直。なんの数字のことやらサッパリわかりません(笑)
しかし、よくよく記事を見ると、この件は、アース事業の19年1月のことに限定されています。
1月はセール真っ只中。そして、2018年1月期での粗利率47%の組織が、いくら値引きを削減しようが、セール時期の一番粗利率がへこむときに、粗利率54%行く筈もないので、値引き率のことを言っているのは間違いありません。
またアースの19年1月期の粗利益が2倍になったという発言は、俄かに信じがたいことです。しかし、このことが事実であるのならば。
2018年1月期のオフ率が高すぎで、低くなった粗利高と言えども、仕入削減によるオフ率の改善だけでは、期(年間)の粗利益が倍になる!というのは、厳しい筈なので、同時に商品の値入率が、2018年1月期より高い数字になった可能性があると推測されます。
更に店舗数が増加していれば、その影響もあるでしょう。
(もし、仮に仕入点数を減らした上で、値入が良くなっていたとしたら、怖いものがあるが。。。)
結果。どんな解釈をしても、ストライプインターナショナルのOFF率は高い!という結論になります。
それにしても、どうしてこの人は、色んな引き出しから数字を引っ張り出してくるのでしょうか?
記事では、AIによるデータ分析が在庫圧縮に功を奏したと記載されていますが、これ単純に。
これでは、AIによるデータ分析云々よりも、そもそものMD予算設計がおかしい。稚拙だということ。
また、マーチャンダイジングにおける重要な仕事である、”売価設定”に関することが、顧客からみて”適格”でない!と判断されている可能性が高いと言えるでしょう。
このような記事は、AIによるデータ分析で、組織の問題を一発で解決できる!という誤解を与えるものであり、アパレル・ファッション業界にミスリードさせるものでしかありません。
そもそも、難しい局面を打開するには、日々の地道な努力・積み重ねでしかなく、なんでも都合よくテクノロジーの進化が物事を解決してくれるわけではないのです。その辺のことを、この業界もいい加減気づくべきなのではないでしょうか?
最後に一言。このようなインタビューを掲載するのならば、記者にもしっかりと知識を身につけて、もっと突っ込んだ質問してよ!ということを切に願い。今回のブログは終了します。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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