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最近、筆者のお客様で立て続けにご相談があったのが、
「WEB広告の予算を増やしているのに新規が減っている」
というもの。広告を出稿する内容にもよるのですが、多くのブランドではROASを良くしようとする傾向にあるので当然ながらド新規に向けた広告は少なくなりがちです。結果、リマーケティング中心になりがちですし、そもそもGoogle広告は配信面を考えますとアパレルECの新規獲得は相性が悪いです。
そうなるとmeta一択になるのですが、こちらでも既存に向けてプッシュしているケースが散見されます。広告担当者としてはROASやCPAを重視するので当然そのような動きになるのですが、これはWEB広告だけで効果を伸ばそうとするのが原因だと考えております。
アパレル・ファッションブランドの場合、余程の低価格でない限りはまず物を直に見てもらうのが一番効果が高いので、リアル施策と広告を絡めるのが効果的です。例えば下記のようなものですね。
・店頭販促イベント(館の販促含める)
・卸先を活用したポップアップショップ
・キャンペーン/メディア露出
例えばルミネのような館ですと、かなり頻繁に販促を仕掛けていますし、年に数回はプロパー時期に10%OFFのキャンペーンを実施。その際、店頭集客は非常に多く、店頭でもそのようなキャンペーンに向けて取り置きを集中させている事でしょう。であれば、店頭集客をアシストするような広告をプッシュし、なるべく店頭カスタマーを増やす事が後々、ECに良い影響を与えます。昨今は会員証の代わりにモバイルアプリをお使いのブランドも相当数増えておりますので、そちらでアプリを登録→後日、プッシュ通知でEC訴求という流れが確立できます。(SCなら期間限定クーポンでアプリ利用率も高められるでしょう。)アプリが無いならLINE・メルマガ登録でも構いません。店頭でご購入頂いたお客様に向けて、2回目の購入をECで促進してください。ECだけで見れば新規獲得という事になりますし、LTVも増えやすいです。店頭のレジとECが連動している場合、初回購入が店頭のお客様の2回目以降の購入をECで促進できているか?は確認も可能です。また、館の販促がなくとも店頭販促を定期的に企画するのは当たり前にやっておくべき事なので、そのような際でも広告で集客しておきましょう。
卸先に活用に関しては以前も記事にしておりますので、そちらをご覧ください。
期中に入ってから商品フォローを委託でしてもらえるのは、卸先にとってもメリットしかありません。その際も卸先周辺に広告を出稿し、なるべく物を見てもらいましょう。ブランドを好きになってくれる人が増えますと、そこから自社ECにやってきてくれます。卸メインのブランドの都道府県別の購入状況を見てもそれは明らかです。
こちらももう何度も書いていますので、過去記事をご覧ください。
全てに共通して言える事ですが、新規が減ってくると指名検索のボリュームも減りやすく、そこをどう増やしていくか?を考える事が重要です。筆者が過去携わった案件にて指名検索が増える要因は、「TVCM・雑誌掲載」「有名セレクトへの卸」「出店」が非常に効果が高く、WEB広告ではmetaでの新規狙いくらいです。
その他、特にイベントがなくとも強化品番が販売されるタイミングで効果は伸びやすいので、事前にその品番で広告クリエイティブを作りこんでおき、販売の少し前から告知を含めて広告プッシュ。可能であればメルマガやLINEの登録を推奨しておき入荷通知を受け取ってもらいましょう。商品販売時の初速売上をなるべく大きくすべく広告を活用するのが得策です。
強化品番プッシュ時以外は、広告経由のセッションでの購買は増えませんが、代わりに指名検索や全体での初回購入は増えやすくなります。
その他、日々の広告運用の際の改善点がいくつかありますので記載しておきます。
広告経由のランディングページにて商品ページを確認しておりますと、セッションが偏っている割りに購買が促進されていないケースを散見します。他のランディングページの方が圧倒的にCVRが高いのにそちらはセッションが少ない、という事態と大概セットです。広告最適化の名の下に、定期的に広告効果をチェックしていないとこういう無駄打ちが発生します。
これは何も、ランディングページとなった商品の販売が促進されなくとも、そのページ経由でアイテムが売れていればOKです。目には止まるけど購入は別のアイテムが良い、商品ページでの着画からコーディネートされたアイテムが気になる、同じ型で生地の載せ替えの方が好き、など理由は色々あるでしょう。
GA4のランディングページのレポートはセッションスコープなので、CVRが悪いという事はそのページ経由で売れていないという事です。少なくとも週単位でチェックしておきましょう。
これはShopifyならストア分析で確認できるのですが、GA4でuser_idを取得していないと不明なケースもあるでしょう。ストア分析を活用するなら、
◯指標に注文・注文数量・純売上
◯ディメンションに新規
◯フィルターに「注文UTMソース」「注文UTMの媒体」などを活用して広告パラメータを絞り込み
上記レポートを作成するだけで、広告経由でどのアイテムが新規獲得に貢献したか?がすぐわかります。これらの商品画像やコーデを活用して広告クリエイティブを作成しても良いでしょう。ラストクリックのデータなので、これが全てとは言いませんがめちゃくちゃ傾向出るので、おすすめの手法ですね。
ブランドのEC担当がWEB広告だけで新規獲得を促進しようとする理由は、
・WEB広告以外の広告費は他部署の管轄だからコントロール不可
・店頭(他部署)が協力的じゃないからリアル施策が連動しない
・広告代理店がCV水増しレポートでちょろまかす
など、部署間で横串が刺さっていない事が要因になりやすいので、上層部の方が気づいてここを解決してもらえるのが一番良いのですが中々実現されていない印象を受けます。今回のような提案はECの新規獲得だけでなく、店頭への集客も担保するものなので是非積極的に採用して頂ければ幸いです。
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ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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