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私のブログを読んでくださる方であれば、私が決算書を読むことが趣味?であるということがおわかり頂ける筈です(笑)
但し、私の決算の見方は、税理士や会計士的な見方ではなく、MD目線の穿った見方をする!ということも、皆さんにはご理解頂けているでしょう。
アパレル・ファッション業界での、決算関連のニュースは、その殆どが損益計算書(以下PL)が中心の記事であり、その内容も企業側の主張が記載されているのが、大半になります。
しかし、損益計算書の売上が上がった!営業利益が上がった!黒字になった!ということだけを見ても、その企業の本質というものは見えてきません。
何故ならば、PLは減価償却の考え方等、財務諸表の中でも誤魔化がしやすい!ものでもあるからです。
MDの仕事と密接に係わっているPLは、MDにとって最重要な財務諸表であるのは間違いないのですが、その見方には注意が必要な部分があります。それは何か?
それは、PLは基本。”費用収益対応の原則”で出来ているということです。
”費用収益対応の原則”って何?と思われている方に、以下簡単に説明をしますと。。。
会計学でいう、仕入金額は売上原価とイコールである!とみなされます。要は、売れた分だけが、売上原価として仕入金額とみなされます。そして、売れ残った在庫は、バランスシート(以下BS)の資産に計上されます。
このことをもっと詳しく説明するために、ストライプインターナショナル決算公告を例に、以下解説していきます。
ストライプインターナショナルは、フリーライターの南充浩さんにも指摘されているように、2018年1月期から2019年1月期の間に在庫が、約31億円増加しました。
在庫の金額は、上記でも触れたように、BSの左側の資産。もっと詳しく言えば、流動資産に計上されます。
ここで簡単にBSの説明をすると、BSの左側は資産。右側は、負債と純資産になります。
右側の負債と純資産は、どうやってお金を集めたのか?
左側の資産は、集めたお金を何に使っているのか?ということが記載されたものです。
資産は、固定資産と流動資産に分類することができ、流動資産は、1年以内に換金可能なものとされています。
商品在庫は、その流動資産に計上されており、それを見れば在庫金額が把握できる!ということになります。
話を戻し、ストライプインターナショナルは2018年1月期と2019年1月期の仕入金額は、実はほぼ同じ金額です。それは、何故わかるのか?というと。
よく私が講義でいうOTBのロジックを使えば、簡単にわかります。
しかし、南さんの記事でも触れられているように、この1年で在庫が31億円増えています。以下、ストライプインターナショナルの決算数字2年分を簡単に纏めた図になります。
これをみれば、ストライプは、過去2年仕入原価がさほど変わっていないことが、理解できる筈です。
在庫が31億円増えた!というのは、会計学でいうキャッシュフロー計算書(CF)の考え方では、1年で手元の現金が31億円減った!ということになります。
経営には以下の2つの考え方があります。
① 利益を多く上げること
② 手元に多く現金を残すこと
ストライプインターナショナルは上場企業ではないので、CFは公開されていませんが、在庫金額が大幅に増えた!ということは?
2019年1月期は、黒字に転換し、①は達成できたが、②の手元に多くの現金を残す!という考え方から見れば、好ましくないこと!であると言うことができます。
では、1年で何故31億円の在庫が増えたのか?ということを、私なりに考察してみると、以下のことが考えられますので、箇条書きにしてみると。。。
1 もともとの在庫が少ないので、意図的に在庫を増やした?
2 1月に2020年1月期。新店用の在庫を前倒しした?
3 1月に2019年SS商材を前倒しした?
4 仕入原価金額は横ばい。セール施策の失敗と仕入すぎ?
5 商社との倉庫等の契約を変更した??
これらのことが考えられます。
次回のブログでは、これらのことを決算で見える数字から検証し、更に深く考察していきます。次回もお楽しみに(@^^)/~~~
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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