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商品の品揃えを考え、そのことを実践するために、商品を作る・仕入れる。という仕事をしているMDにとって、自分たちが作った・仕入れた商品に”思い入れ”という情のような気持ちが湧き上がってきます。
事実。私も現役でMDだったときには、そうでありましたし、実際に、たまたま居合わせた駅で見知らね人が、私が企画段階から携わった商品を着ている光景を目の当たりすると、嬉しいという感情になりますし、その回数が増えれば増えるほど、この仕事に携わって良かった!という気持ちになり、そのことが仕事の糧となります。
しかしながら、この”思い入れ”という気持ち・感情は、MDの仕事を実践する上において、ク〇の役に立たない!ものでしかありません。
MDが商品に対する、思い入れを持つ弊害は2つあります。それは。。。
この2つになります。
まず①に関してのことです。
アパレル・ファッション小売業界でよく見かける風景ですが、匠の職人が作った素材を使ったから良い商品。天才デザイナーの作る商品は、顧客に受ける筈。どこぞやの有名産地で作ったから良い商品。そして、そのことを全面的に顧客にアピールして売っているブランド・ショップが多くあります。
そして、そのような商品を仕入れた・作ったMDは、その工業的に優れたこと?等が、顧客に対してのアピールポイントである!という思い入れを持つようになります。
ブランド・ショップの立ち上げ当初に、きっちりとマーケット分析をし、そのことがコンセプトとして必要であるのならば、いざ知らず、そのような作り手・商品供給側が感じるであろう、その一方的な”思い入れ”が、今の時代に多くの顧客に響くポイントとは、なりえません。
顧客の多くは、
”その商品を着れば、かわいいのか?かっこいいのか?””納得できる価格であるのか?”
等という、自分たちにとっての身近な考えを圧倒的に気にしています。
裏を返せば、多くのお金を出しても”かわいい・かっこいい”という満足をあたえられれば、価格が高くても売れる可能性があるということです。
そのことに気づくには、自分たちの商品の”付加価値”を、主観ではなく、顧客視点の客観で徹底的に考える必要があるでしょう。
次は②に関してのことです。
冒頭でも述べたように、商品を作る・仕入れる仕事に関わるMDは、自分が関わった商品に対しての情。思い入れを持ちやすい職種になります。
また、売上・利益を大きく左右する権限を有するMDは、その責任の重さから、自分たちの非やミスを認めたくない!という感情も同時に湧きあがってきます。
そのことが、商品に対する”思い入れ”となり、いつしか”思い入れ”が”思い込み”へと変化します。
そうした、
「自分がチョイスした、企画段階から関わった商品は、顧客に受けられる筈だ!」
という思い込みは、MDがその権限をもって、下さねばならぬ判断・決断を大きく遅らせ、組織に多大な損害を与えるものとなります。
以前もこのブログ上で書きましたが、私が優秀だと感じるMDは。。。
”過去の成功体験に捉われず、自分がしたミスや非に素早く気づき、適切な処理を迅速に実践することができる人”です。
そもそも、すべて商品を全部当てることのできる天才MDなどはこの世に存在しません。どんなMDもミスをするものです。
だからこそ、自分がしたミス・非にすぐに気づく能力。そして、その改善策を立案し、迅速に実践する能力が求められるということです。
商品に対する思い入れや思い込みは、その判断・決断を邪魔するものでしかありません。だからこそ、MDの仕事において、商品に対する思い入れなどは、害にしかならないということです。
皆様の周りにも、商品に対する思い入れの強すぎる、MD・バイヤー・デザイナーはいませんか?
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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