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このブログでよく前始末の重要性を訴えています。
要は、新事業など新しいことを始める前に、具体的な行動計画に移せる事前準備・シミュレーションをを、数字で表現しておけ!ということになります。
このことをせずに、ただデザイナーで成功したい!だとか?金が余ってるから、とりあえず新規事業を立ち上げました!では、このご時世。殆ど組織が、サステイナブル(笑)せずに、多くの借金を抱え事業を終了することになります。
ここで、話は変わり。先日、私の個人塾の塾生の一人から悩みを打ち明けられました。その塾生は、大手企業の若手で、悩んでいるのは以下のことでした。
”自分が携わっている事業部は、店舗が100店舗以上あるのですが、店の広さがバラバラ。売上も店舗によって大きく違うのですが、感覚を重視していて、商品の配分なども適当。店舗によっては必要な商品が入荷しない場合もあるのに、その基準もない。一体どうしたらいいのでしょうか?”
という悩みでした。
このようなことこそ、事前に前始末をしておけば済む話なのですが、アパレル・ファッション小売業界には、このような組織が多くあります。
更に、その組織は、出店や商品配分等は、感覚重視でありながら、生産性が上がらない、意味不明な指標や指数。また資料作成等が多いらしく、その塾生もやたらと難しい指数・指標等の話ばかり聞いてきます。
そこで、私が答えたことは。。。
難しい指数や指標等を使わずとも、算数を使えば、ある程度見えることもある筈という説明をさせて頂きました。以下、端折って皆さんにも算数を使用する一例をお伝えすると。
(例)
・売上200億円。100店舗展開
・年間の投入アイテム数 2,000。1アイテム当たりのSKU数6
・平均1点単価7,000円。
のような組織があると仮定すると。。。
→1アイテム当たりの平均金額は?
200億円÷2,000アイテム=1,000万円
→1アイテム当たりのの平均必要数量は?1,000万円÷7,000円=約1,429点
→1店舗当たりの1アイテム投入数量は?
1,429点÷100店舗=14.2点。
→1店舗当たりの1SKU投入数量は?
14.2点÷6SKU=2.4点
このような数字が出てきます。
しかし、すべての商品が平均数量で発注する筈もありませんから、あまり売れなさそうな商品(実験的な商品)は、おそらく商品全てのSKUの投入が難しい!ということが容易に想像がつくはずです。例として以下考えてみると。
(例)
→あまり売れそうにない商品は、アイテム数の約20%だと定義2,000アイテム×20%=400アイテム
→あまり売れない商品は、平均数量の3分の1が必要数量と定義
1,429点÷33.3%=約476点
→売れない商品の1SKU当たりの平均数量は?
476点÷6=約79点
ということがわたり、約400アイテムが21店舗に行き渡らない可能性が高いということがわかります。
また、売れるSKU売れないSKUも当然ありますから、売れないSKU等は、展開店舗の半分以下にしか行き渡らないなどということも判明するでしょう。
この考え方を応用すれば、ミニマム数量による、商品の余剰分も事前にわかります。
本来であれば、前始末の段階でこういうことをしておけば、商売が始まっても想定外のことは、少なくなるのですが、事業がスタートしてしまっても、算数を使えば、難しい指標・指数等を使わなくとも、現状の事業の立ち位置が、ある程度わかるということです。
この業界は、中小企業は感覚重視。大手企業は生産性を上げない指標・指数をやらたと使いたがる業界ですが、小売業において、そんなに難しい計算は必要ない!ということを皆様に理解してただければ幸いです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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