ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

過剰出店にご注意を

先日、ワークマンから新規出店のプレスリリースが出ておりました。

ワークマンは作業服を扱わない「#ワークマン女子」店を10年で400店新規出店する見込み

①#ワークマン女子 アウトドア100% 400店(最終的には1000店)

②WORKMAN Plus 作業60%、アウトドア40% 900店(新規200店 ワークマンから転換460店)

③ワークマン 作業80%、アウトドア20% 200店(WORKMAN Plusへ460店転換)

ワークマンは業態を増やし、今後10年で1500店舗体制に。最終的には2000店舗を超える出店を考えているとの事です。マーケットが既に飽和しているアパレル市場において何とも強気な出店計画…、ですが懸念点がいくつかありますので筆者の考えを記載しておきたいと思います。

チャネル戦略は適切か?

先述しました通り、国内のアパレル市場は随分前から伸びていません。30年の期間で見ると5〜6兆円は減少しており、ワールド、オンワード樫山、TSI HDなど大手アパレルで大量退店している企業もいくつか見られます。販管費が高くつく「店舗」を不採算店舗から減らしていき、各社ECでの売り上げを伸ばす、といった方針でしょう。ファーストリテイリングもこの方針であり、2014年から国内店舗数は伸びていないですね。代わりにECはぐんぐん売り上げを伸ばしていますが。

EC好調のユニクロ、2019年度の国内EC売上832億円で32%増。グローバルEC売上高は2583億円

これは何も国内市場だけでなく、海外では世界No1のアパレル企業であるインディテックスも同様の動きを見せています。

既存店に関しては不採算店舗は閉鎖、売り場を拡大し1店舗あたりの売り上げを伸ばす、といった方針。あとはECで利益率を確保。これと逆行しているのが国内ではしまむら、海外ではH&Mですね。両ブランドともEC拡大の動きが遅かった事、コロナ禍に入るまでは出店店舗数をどんどん増やしていた事が象徴的です。結果、両社ともピーク時より業績を大きく落としていました。

このような状況を鑑みた時、過剰な出店戦略は適切だとは思いません。1つワークマンが違う点と言えば、現在の出店のほとんどがFC加盟店という事でしょうか。

2020年の第一Q終了時点でFCの比率が94.6%。出店のほとんどをFCに依存している状況ですね。

ワークマンのFC加盟店の条件を見てみますと、月商1000万円のショップでワークマン側が支払う販管費は238万円程度。つまり販管費率が23.8%という事で、これはアパレルの店舗と比較すると異常に低い数値です。

直近の決算を確認してみますと、全体の販管比率は16.5%。一般的なアパレルの1/3程度の販管比率になっています。この販管費なら過剰に出店してもワークマン側にリスクは小さいと言えます。しかし、そう上手くいくのでしょうか?

FC加盟店が悲鳴?

この契約、在庫リスクは全てFC加盟店側にあります。過剰に出店する、という事はその分在庫は積む訳です。国内市場がシュリンクしている状況、更にEC化率がどんどん上がっており、各社ECシフトを急速に進めている中でこの判断はかなり危険ではないでしょうか。在庫がどれだけ余ろうと自社のリスクが小さいから大丈夫、と思っているのでしょうか。FC加盟店のみが倒れる前提だとしても全く継続的なビジネスとは言えません。当然ながらECの在庫引き当てはあるでしょうが、ワークマンというブランドがEC含め、その出店分の供給を継続的に満たすとはどうしても思えないのです。

今の実積は確かに素晴らしいものがありますが、現時点でさえワークマンの業績を支えているのは「加盟店商品供給売上高」、つまり加盟店への卸のようなものです。(PBが4割を占めます。)納品した時点で売り上げが立つ仕組みなので、仮に加盟店がどれだけ在庫を残していようと決算上は問題が顕在化しないのです。一部ですが、加盟店側が苦しんでいる、という話を筆者ですら耳にした事があります。

WEB戦略はそれほど効果的なのか?

「#ワークマン女子が話題だしソーシャル戦略も上手い」

「アンバサダーマーケティングが成功している」

と、報道される事もあります。確かに一部では効果があったかもしれませんが、このようなWeb戦略を過大評価するのも危険です。ソーシャル戦略に関しては「話題」と言われるほどバイラルしている訳ではなく、「#ワークマン女子」のハッシュタグ投稿件数は現時点で1.4万件。これは地方の人気古着屋の特定ハッシュタグの件数と大差が無い程度の数字です。これで話題と言ってしまうのはやや誇大広告な印象を受けますし、ワークマンの規模感で考えると少ない数字と言っていいでしょう。

アンバサダーマーケティングに関しては、現在どの程度の効果が出ているのか未知数ですが、Instagramのメンション付き投稿は一般消費者よりアンバサダーの投稿ばかりが目立つようになっておりますし、こちらは無償での起用になっています。このような取り組みが継続的なのかは非常に疑問であり、企業の仕掛ける「ギフティング」のように形骸化しそうな可能性を孕んでいると感じてしまいますね。

 

国内は数年前からアウトドアの市場規模は伸びていました。しかし、アウトドアを訴求しているのはワークマンだけではありません。大手セレクトの多くが過去からアウトドアをプッシュしており、コロナ後は更にその動きが加速しています。アウトドアブランドがアパレルに参入する事例も数多く増えてきました。ブームが終焉した際の事も考えなければなりません。レッドオーシャンの様相を見せる市場、トレンドと逆行するチャネル戦略、そしてFC加盟店の体力。メディアで報じられる「ワークマン好調!」という内容とは裏腹に、懸念される材料はいくつもあるのではないでしょうか。

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?
3

2020.08.04

画面ばかり見てないで現実を見よ!

NEW POST

2022.10.04

今年の冬商戦はどうなるのか?勝手に考えてみた。

2022.09.29

ブランドの属性やショップの業態によってKPIは大きく変わるというお話

2022.09.27

「熱意ってやっぱり重要だよな~」という話

2022.09.23

2022年秋最新版/韓国トレンドリサーチ

2022.09.15

初心者が確認しておくべきアパレルECのKPIについて – GA4編②

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績