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新型コロナウィルスに見舞われ、多くの人が大変な思いをした2020年ももうすぐ終わりを迎えます。そんな2020年にお亡くなりになられた方の一人に、プロ野球の発展に多大に貢献した野村克也監督がおられます。その野村監督が遺した名言として知られ、私の好きな言葉に以下のような名言があります。
これは、財産を遺すよりも、業績を遺すよりも、人材を遺すことのほうがもっと尊い!という意味です。実はこの言葉。台湾の近代化や関東大震災からの東京の復興に多大なる尽力をした、後藤新平がよく口にした言葉だそうです。
私が死ぬときには、金を遺さず、さしたる業績も遺さず(というよりは、仕事がない気がする(T_T))ということを達成するのは自信がありますが、よい人材を遺すことが出来るのか?というと、自信は全くありません。しかしながら、このような人生を今後送れるように日々努力していきます。
ここで話を変えて。今年倒産した大阪のシティーヒルとリデアがですが、その要因を取り上げている記事がありました。
「大阪で創業」の人気アパレル2社はなぜ倒産したのか、帝国データバンクが解説
その詳しい要因というのは、この記事を読んでもらえれば良いのですが、この記事の中で特に気になった文言を以下記載しますと。。。
”一見、順風満帆と思われた同社が、そこからわずか1年足らずで民事再生手続きに追い込まれた主な原因は2点ある。
ひとつは創業者の急逝だ。今年1月に代表取締役だった田島淳滋氏が病に倒れ急逝、強みであった海外ブランドとの迅速な商談を行うことが困難となった。海外メーカーから商品を空輸し、最先端のニューモデルをいち早く店頭に取り揃え、顧客の高水準な要求を満たす商品展開には創業以来、田島氏が開拓してきた仕入れルートが不可欠だったことは言うまでもない。良くも悪くも代表の顔で商売をしていた同社は大きな痛手を負った。”
と書かれていました。
このような一人のカリスマがいなくなることによって、急に業績が下がる!というのは、この業界ではよく見られることです。この2020年でも、創業者がカリスマ性を保ち、実務の中心を担い、それを手放さずに運営しているアパレル小売業の組織は多くあります。リデアの創業者が、結果的にどれだけの実権を握っていたのか?私の知るところではありませんが、この業界の多くのアパレル小売のオーナー創業者は、MD(商品決定権・発注権・価格決定権等)の実権を手放なさず、更に言えば、売上100億円以上の組織の創業者が、アルバイトの人事にまで口出しする!などということは、この業界ではあるあるな話です。
25年以上前であれば、そのような実務の中心を創業者が担うことで、急成長を遂げた組織は多くありましたが、成熟しきったこの時代に、創業者のカリスマ性だけで組織を永続させることは、不可能になってきたと言わざるえないでしょう。
ここで、冒頭の野村監督・後藤新平の言葉。
この言葉の意味を、アパレル小売の創業者・経営者は意識すべきときではないのでしょうか?一人のカリスマが、実務の中心を担えなくなったときに、誰も変わりを担える人材がいない。これでは、その組織が倒れる前に、若い人材は逃げ出してしまいます。だからこそ、先の未来を担う若い人材に、チャンスを与える。そのための人材教育を組織として、確立し実践する。このことが、さしたる費用対効果もない、目先のテクノロジーに頼ることよりも、よっぽど大事なのでは?ということで、今回のブログは終了です。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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