メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
最近、「ECに精通したMDの方でお知り合いはいませんか?」とめっちゃ聞かれるようになりました。言わんとしている事は何とくなくわかるのですが、「MD」と一口に言っても「どの領域が欲しいのか?」がよくわかりません。また、こちらのブログでは「ECはMDありき」と常々お話していますから、むしろMD設計が最初にあって初めてECが運用出来ると思うのです。
そんな訳で、ここで言う「ECに精通したMD」とは具体的にどういう事なのかを明確化しておきたいと思い、筆を取った次第です。これで依頼側と支援側の案件の理解が進んで頂ければ幸いでございます。
ECの売上対策で一番インパクトがあるのは当然「品揃え」であり、MDの根幹でもありますね。所謂、「オーダー」や「品揃え」の指南を期待してご相談される方もたくさんいらっしゃいますが、ここはブランドのコンセプトにも関わってきますので外注に丸投げしない方が良いでしょう。もちろん、ECの特性に合ったオーダー手法はあるかと思いますので、そのような技術を聞きたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。ECモール運用でよくお話される「ロングテール」なんかはその一つですね。
(こちらに詳しく記載しています。)
店頭・ECモール・自社ECと、それぞれチャネル別に売れ方に特徴がありますので、オーダーはそれに合わせていく必要はありますが、ECは店頭での限りあるスペースの上で表現する事を考えなくて良い分、品揃えのハードルは下がると思われます。VMDを考える必要が無い、とまでは言いませんが、店頭ほどの制約はありませんので、ECに精通していなくとも似た様なブランドのMD経験者であれば対応しやすいかと。
また、単純に売上だけを伸ばしたいなら「SKU数を増やす」という事に尽きますが、それでは在庫過多になるからという事で、消化率を高めるために「アイテム構成比」を考えたり、売れ筋となる「強化品番」を考えたりするかと思います。他にも、どの程度の売上・粗利を目指すのか、セールのオフ率はどうしたらいいか?なども考えないといけませんが、そのあたりに関してはマサ佐藤さんが執筆されていますので、まずはご一読して頂いた方が良いでしょう。
ご依頼をよくよく聞いておりますと、「オンライン専業」でやりたいというケースが非常に多いです。この場合、考えなければならないのは「売る力」がどの程度あるのか?という事です。ここの段階ではMDが全く関係がなく、顧客リストをどの程度保有しているのか?に尽きます。「ソーシャルのフォロワー数」と言い換える事も出来るかとは思いますが、結局は売れる見込みがある分の仕入れをすれば良い訳です。なので、初期フェーズで健全なブランド運営を心がけるなら、最小ロットを売り切る力が大前提。
「購入してくださるお客様の数」=売る力
ですから、店頭でもECでもその見込みが無いのにいきなり出店するのは自殺行為です。せめて商品を手に取ってみてもらえる環境や、認知してもらえる取り組みが必要になりますね。
という訳で、②のような件の「MD」で必要になってくるのは展開計画と販促だと思われます。しかし、その展開計画・販促は品揃えと連動するので、ここが固まっていない場合は①に戻ってください。
オンライン専業の場合、初期フェーズはどの程度売れるか予測もつきにくいでしょうから、型数は絞り込んでおいた方が得策です。在庫を余らせてしまい、セールにかけるとお客様に「いつでも買える」と思われてしまいますので、新作発表に飛びついてもらいにくくなってしまいます。売れているオンライン専業ブランドは新作発表を上手くイベント化していますので、ソーシャルやLINE・メルマガのお知らせで大きな売上を獲得しています。展開方法も週ごとに小刻みに発表しており、プッシュ型で飽きさせない手法を取るケースが多いですね。このあたりはEC展開もしているブランドでのご経験があるMDの方が対応はしやすいでしょう。
そしてまだこの手のご相談は弊社には来ていませんが、これから増えるであろうケース。ECは店頭より消化率が上がりにくい事もあり、在庫の温床になりやすい。オンライン専業ブランドが余った在庫を吐き出そうと思うと、現状は在庫処分屋やフラッシュセールサイトが対象でしょうか。しかし、規模感が大きくなればなるほど在庫金額は膨れ上がりやすく、在庫過多のブランドも増えてくる事でしょう。そうなった際の在庫消化として、MD設計を見直そうというブランドが増えるのではないかと。ここまで来ると自社の事情しか知らないMDでは対応する事が難しい場合も多いので、MDアドバイザーにご相談するのが良いでしょう。
今回は段階を三つに分けて、それぞれどのような領域の知識・技術が必要かについて筆者の所感を記載しました。企業によってMDの役割は本当に様々ですから、依頼側の「MD」と支援側の「MD」が食い違っている場合も出てきます。まずはざっくりでもいいので上記のように課題を切り分けていき、適切な処置が受けれるようにするのがオススメです。同じ様なリクエストがある方がいらっしゃいましたら、まずはこの記事を読んで「どの部分が欲しいか?」を明確にして頂ければ幸いです。
ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。