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マーチャンダイザーの仕事には2つの側面があります。それは?
商品面の仕事と数字面の仕事です。
商品面の仕事は、”適品”に代表されるように、コンセプト設定の顧客ターゲットに基づいて(全てのブランド・ショップがそのようにする必要はない)、お客様が欲しがる商品を作る・仕入れる。そして、どのタイミングで商品を投入するのか?(”適時”)このような仕事です。
数字面の仕事は、”適量”に代表される商品の発注数量を決定する仕事や、”適格”に代表される商品の価格を決める仕事があります。特に数量を多く仕入すぎたり、在庫が残りそうなのに価格を変えずに放置しておいたりすると、アパレル小売の最大の課題と言われる在庫過多の状態に陥ります。
私は、私が行っているMD講義の中で、下記の質問を受講者様にします。
”MDの仕事で、商品面の仕事と数字面の仕事。(敢えて選べと言われたら)どちらが大事だと思いますか?”
MDにおける商品面の仕事と数字面の仕事は車の両輪とも言われますが、正解は商品面の仕事です。
何故ならば、複雑かつ正確な計算をし、立派な事業計画。そのことに伴うMD設計を作成できても、商品がお客様に支持されなければ、どうにもならない!このことです。事実、20年弱前に、私は売れていないショップのMDに就任し、後に売上が大幅に伸びた経験をしましたが、その頃は、MDの数字面に関する知識等は全くありませんでした。あったのは、服が好きだ!という気持ちから来る向上心と、販売員時代に疑問に感じたことを、MDに活用したに過ぎません。
これまで先述した質問を、多くの受講者様にしてきたのですが、意外に多くの人が間違います。そもそも、現状の自社や自分自身のMDの数字面の仕事に疑問を感じている人が私の講義を受講しにきているので当然のことかもしれませんが。。。特に大手企業の受講者は不正解の割合が高いように思います。因みに一番正解率が良いのは、学生です。
では、何故大手企業の優秀なMDが、先述した質問を間違うのか?というと、MDの商品面の仕事とMDの数字面の仕事を分離して行っている組織が多い!というのが、理由のように感じます。大手企業では、MDの数字面の仕事を実践する人を、マーチャンダイザー(以下MD)と呼んでいるケースが多く。商品の仕事は別の仕事として捉えているケースが多くあります。
ですので、より数字面の仕事の精度を上げよう!ということで、私の講義に参加してくださるのですが、マーチャンダイジングとは?論から始まる、私の講義に拍子抜けする人が多いのも、このことが要因でしょう。
しかしながら、MDの仕事の本質の部分である、
という部分が抜け落ちたままに、MDの数字面の仕事の精度だけを上げよう!と必要以上にマニアックな知識や数式を身につけても、恐らくそのことは、お客様にとって何も良い結果をもたらさないでしょう。
過去を振り返っても、アパレル大手企業のM&A案件が上手くいかないのも、このようなことに起因します。細かすぎる必要もないルールや仕組みを導入することを優先してしまうと、M&Aをしたブランド・ショップの元々の長所を潰してしまう要因となりますし、このようなことを過去に、私は目の当たりしてきました。
ですが、創業者の成功体験や感覚だけを重視し、商品の仕事ばかりに注力しすぎても、そのような組織は、長くお客様から愛されるブランド・ショップにはなりません。ですので、私はMDアドバイザーとして、MDの数字面の仕事の改善を中心とした活動を行っています。
冒頭に述べたように、MDの商品の仕事と数字面の仕事は車の両輪です。ですが、この2つの仕事の精度を高める目的は、
為に行っているのです。小売業のMDの仕事に従事する方々には、このことを忘れることなく、このコロナ禍の厳しい状況を乗り切ってほしいと切に願い、今回のブログは終了です。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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