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最近、筆者の周りでやや話題になっていた「インフルエンサー活用の費用対効果」について。
弊社のクライアントでもいまだにインフルエンサーを活用するケースはありますし、その都度データで検証しておりますが、まだまだ誤解があるのではないかと思っております。以前にこの件については書いてはおりますが、なぜ効果が無いと感じられるのか?についていくつか補足しておきたいと思います。
まずインフルエンサー施策にて効果が無いと感じられるのは、主に「費用対効果が悪い」ということですが、なぜこのようなことが発生するのでしょうか。それは下記が理由になりやすいでしょう。
費用が高騰しやすい理由に関しては、
■キャスティングのリストが出回り二次代理店的な事業者が存在する
■事業者によって中間マージンが違う
などがあるでしょう。インフルエンサーと直接交渉してアサインする、というケースは非常に少ないですが、実現できた場合は比較的安価で受けてもらえることもありますね。最近は安価で提供する事業者も増えましたがキャスティングが悪すぎて使えなかったり…。また、活用した場合の売れ行きが悪い理由に関しては、
■ブランドとの親和性の問題
■そもそも服が売れるインフルエンサーでは無い
などが挙げられます。このように費用が高い理由と、物が売れない理由は分けて考える必要があります。また、ブランドとの親和性がありそう、と思われる場合でも売れるかどうかは「やってみないとわからない」ことが多いですね。
そんな博打的な要素が強いインフルエンサー活用ですが、継続的に採用されている方は複数名いらっしゃいます。下記のようなケースでしょうか。
■プチプラは相性が良い
例えばプチプラ系のブランドではまだまだインフルエンサーは重宝されておりますし、最近ではYouTuberやtiktokerを使って販売促進しているケースも見られます。オンライン専業ブランドでの活用が顕著ですが、プチプラなら決済までのハードルが低く、いまだに効果が見込めるのでしょう。リピートされるかどうかは商品力に委ねられるので、これが要因でブランドとして跳ねるかどうかは注意が必要ですが。
■中価格帯以上は有名スタイリスト・エディター・イラストレーター
中価格帯以上で活用が目立つのは有名スタイリスト・エディター・イラストレーターなどでしょうか。コラボアイテムやスタイリストが監修するスタイリングなどの提案が多く見られます。また、これらを発表しながらインスタライブをブランドのアカウントとインフルエンサーのアカウントで同時に配信したり、コラボライブをしたり。はたまた、特集記事を用意し、インフルエンサーが商品をセレクトしたり、企画したり、という風景を見せて更新するケースも見かけますね。
筆者の経験上、このような活用は費用がより高くなる印象があり、単発で100万円を軽く超える案件も普通にあります。(30代アッパーのインフルエンサーでもそのくらいいったりしますが)粗利で回収しようと思うと原価率30%で150万円程度の売上が必要。200〜300万円販売できればある程度の回収は可能、という感じですかね。平均単価を考えますと1回の施策で100〜200点程度の販売が見込めないと厳しいかもしれません。大手アパレルの中価格帯ブランドなら店舗数も多く、自社ECの売上規模も大きいのでそれなりに商品の点数も積んでいますから比較的回収はしやすそうです。新規顧客の入口にもなるなら投資としてはありかと思いますね。また、これらの施策はファッション感度を高く見せることが可能でもありますので、信用力の担保という点では使い勝手は良さそうです。大手は他にも、芸能人や有名モデルをルックに起用したり、雑誌タイアップ×コラボアイテムの販売などを仕掛けたりしていますが、ある意味これもインフルエンサー活用ですね。最低でも単発500〜1000万円程度の費用が必要になるでしょうけど…。
アンバサダー的に、ファッション関連で大きな実績の無いインスタグラマーを活用するのは、少しくらいは認知にはつながりますがが元が取れるかは微妙ですね。なのでこちらは結局、どれだけ安くで活用できるか?という問題になりがちですし、拡散力・売上を期待するよりはコーディネートや特集用の画像を量産するため。つまり「サイトコンテンツ」や「広告クリエイティブ」のために使われやすいです。しかし、このような施策でも拡散自体を完全にストップしてしまうと売上は少し下がったりもしますので、費用対効果が悪くとも「効果が全く無い」ということではありません。コーディネートで見せている関連アイテムが売れずとも、流入の入口になり、そこから別のアイテムが売れるという副次的な効果も少なからずあります。
まとめますと、
■ブランド属性からインフルエンサー活用を考える
■サイトコンテンツや広告クリエイティブに活用できる契約が望ましい
■拡散力・売上での回収が期待できない場合がある
■上記を理解した上での価格交渉
といった感じでしょうか。「インフルエンサー」と一口に片付けてしまうと何が本当に問題なのか?が見えにくくなりますのでご注意を。また、前回の記事でも記載しましたが効果検証はしっかりやりましょう。できれば売上で回収したいところですが、「指名検索」などそれ以外でも重要な指標はございますので。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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