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今年の6月は観測史上最高の気温を記録しました。7月以降もこの高い気温は確実に続くとみられ、アパレル小売各社は夏物商品の販売期間を延長する傾向にあります。
6月は全国的に観測史上1位の高温 東京などは真夏日の最多記録
ここ数年続く酷暑を受け、7月以降も「夏でも着られる」晩夏・初秋向けの商品を投入するブランドやショップが増えています。この傾向は今後も続くとみられ、特にトレンドサイクルが早いレディースアパレルにおいては、商品の販売期間を短く設定しやすいため、非常に有効な戦略と言えるでしょう。こうした状況を踏まえると、適時分類におけるシーズン区分の定義をディレクション単位以外に売上予算化することであるとすれば、もはや盛夏・晩夏・初秋といった新たな区分を設けなければ、この時代のニーズに対応できないと言っても過言ではありませんし、実際に多くの組織がそのような対応をしています。
有力ショップレディス25年夏~秋のMD 暦は秋でも晩夏の提案
一方で、メンズにおいても、夏物商品の販売期間が長くなるのはレディースと同様に避けられないでしょう。しかし、レディースと同じ対策で良いのでしょうか。メンズは、レディースのように秋冬を感じさせる「夏に着られる」商品を開発しにくいのが現状です。また、売れ筋商品のランキングがレディースほど変動しない状況で、販売期間が短い新商品を7月以降に投入するのはリスクが高いでしょう。この状況への対応策としては、これまでの売れ筋商品のデザインなどを流用し、新商品として投入するのが得策と考えられます。しかしながら、以前の記事でも述べたように、世間が思うほど夏物商品の販売期間が長いというわけではありません。
また、定番商品や通年商品を増やすという対応策もあります。しかし、これらの商品も販売時期によって売上はかなり変動するため、適切な在庫コントロールを実施しなければ、在庫増加のリスクが高まります。
近年、長期にわたる酷暑が常態化しています。これに対応する効果的なMD(マーチャンダイジング)戦略を構築するにあたっては、マスコミ報道に安易に流されたり、「隣の芝生は青い」といった発想に囚われたりすべきではありません。特に避けるべきなのは、客観的で具体的な検証をせず、個人の漠然とした感覚だけでMD改善を進めることです。何よりも重要なのは、各ブランドやショップが、それぞれの実情に合った最適な対応策を考案し、実践することです。そのために特に重視すべきは、次の2点です。
・(改めて)自ブランド・ショップコンセプトからみえる顧客像を具体化すること
・自ブランド・ショップの過去データの分析・検証を詳細に行うこと
これらの分析と検証から、具体化された顧客像の購買心理や行動に関する複数の仮説を立て、それに基づいた新たなMDの具体的な施策を立案し、実践することが極めて重要となります。長く続く夏に対するマーチャンダイザーの取るべき道は、各ブランドやショップによって当然異なります。だからこそ、世間のトレンドや情報に安易に飛びつくのではなく、自ブランド・ショップの現状を客観的な視点で深く掘り下げて検証し、自身にとっての最善の対応策を見出すこと。この重要性を強く訴え、本記事を締めくくりたいと思います。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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