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秋冬商品の最終消化に向けた再値下げの考え方と手順

★再値下げの考え方と手順

この時期になると毎年恒例の内容ではありますが、今回は改めて「秋冬商品の最終消化」についてお伝えいたします。秋冬商品の最終消化期限は、早いところで1月31日、多くの組織では2月28日に設定されていることと思います。逆算すると、2月28日までに消化が難しい商品は、再値下げの対象になるということです。そこで、秋冬商品の最終消化に向けた「再値下げの考え方と手順」を以下にまとめました。

①1月2月の売上見通しの算出
②(販売終了日までの)粗利の目標設定→残在庫目標を見ながら
③再値下げの設定(カテゴリー・単品単位)

組織によって細かな工程は異なるかと存じますが、大まかな流れとしては上記が基本となります。それでは、具体例を挙げますので、先ほどの手順に沿って再値下げの計画を考えてみましょう。ある架空の事業部の1月11日営業終了時点での各数字は以下の通りです

(例)
・カテゴリーは秋冬ニット、販売終了日設定は2月28日
・12月末時点在庫原価は250万円
・この事業部の値入率は60%(原価率40%)、12月の粗利率実績は50%
・1月11日時点での売上は175万円、粗利率実績は45%
・1月11日時点での日割り予算進捗率は70%、過去データ(過去3年のデータ)からみる2月秋冬ニット売上は対1月比32%
・2月末時点在庫で50万円の原価分の在庫は残しても可(この事業部のシーズン消化率95%に該当)

①1月2月の売上見通しの算出

まずは、1月・2月の秋冬ニットの売上見通しを立ててみましょう。 算出のヒントは、先述した例の中にある「日割り予算進捗率」と、「2月の売上が1月比で32%」という実績データの2点です。ここで、補足として「日割り予算進捗率」について解説します。多くのショップでは店長が日割り予算を作成しているかと思いますが、今回の例では、以下の式で進捗率を算出しています。
→日割り予算進捗率 = 11日までの日割り予算累計 ÷ 1月の月間売上予算
今回の例では、11日時点での進捗率を70%と設定しました。これほど高い数値に設定した理由は、1月のセール特性にあります。冬セールは、開始直後(1月2日頃)からの約1週間に売上が集中し、その後は急激に落ち着く傾向があるためです。このような売上推移の実態を反映させ、前半の進捗率を高く設定しています。それでは、この数値をもとに1月・2月の売上見通しを算出してみましょう。

・1月の売上見通し
1月11日までの売上実績が175万円、同日までの日割り予算進捗率が70%ですので、計算式は以下の通りです。
→175万円(実績) ÷ 70%(進捗率) =250万円
・2月の売上見通し
次に、1月の見通しをもとに2月の数値を算出します。2月の秋冬ニット売上は「1月比で32%」という実績データに基づきます。
→250万円(1月見通し) × 32% = 80万円
このように、1月と2月それぞれの売上見通しを算出することができました。(*過去データを使用する場合は、なるべく過去数年のデータを遡ることと、既存店のデータを活用するようにしましょう)

②(販売終了日までの)粗利率の目標設定→残在庫目標を見ながら

次に、1月・2月の粗利の目標設定について考えてみましょう。 先ほど算出した通り、1月・2月の売上見通しは合計で330万円となります。ここで、在庫の消化目標を確認します。 例題の条件では、12月末時点の在庫原価が250万円であり、これを2月末までに50万円まで減らす必要があります。つまり、この2ヶ月間で消化すべき売上原価は200万円(250万円 – 50万円)であることがわかります。これらの数値から、1月・2月の粗利目標を算出すると以下の通りになります。

・1月・2月の目標粗利高
330万円(売上見通し) - 200万円(必要原価) = 130万円
・1月・2月の目標粗利率
130万円(目標粗利) ÷ 330万円(売上見通し) = 39.4%
このように、在庫消化目標から逆算することで、目指すべき粗利率を導き出すことができます。

③再値下げの設定(カテゴリー・単品単位)

最後に、これまでの数値をもとに「再値下げの設定」を行いましょう。 まず、現在の正確な在庫状況と、今後の売上予測を整理します。

1. 現時点(1月11日時点)の在庫金額を確認する
12月末の在庫原価が250万円、1月11日までの売上実績が175万円(粗利率45%)の場合、1月11日時点での在庫残高は以下の通り算出できます。
売上原価実績:175万円 × (1 - 45%) = 96万2,500円
1月11日時点の在庫金額:250万円 - 96万2,500円 = 153万7,500円

2. 今後の売上予測と必要売上原価を算出する
次に、1月12日から2月末までの計画を立てます。
後の売上見通し: 155万円(1月の残り 75万円 + 2月の見通し 80万円)
今後消化すべき売上原価: 103万7,500円(現在の在庫 153万7,500円 - 2月末の着地目標 50万円)

3. 1月12日以降の目標粗利率を導き出す
これらの数値から、今後の「目標粗利」と「目標粗利率」を算出します。
目標粗利高:155万円 - 103万7,500円 = 51万2,500円
目標粗利率:51万2,500円 ÷ 155万円 = 33.1%
つまり、2月末の在庫目標を達成するためには、1月12日以降の販売を「平均粗利率33.1%」に抑える必要があるということがわかります。

4. 1月12日以降の目標OFF率の設定
これまでの計算により、1月12日以降の目標粗利率は33.1%と算出されました。

この事業部の基本値入率が60%(原価率40%)であることを踏まえると、1月12日以降の目標OFF率は40.2%となります (※具体的なOFF率の算出方法については、以前の記事をご参照ください)。この「40.2%」という数値を基準(ベンチマーク)として、2月28日までに消化が厳しい商品をピックアップし、個別に再値下げの設定を行っていく。これが秋冬商品の最終消化に向けた一連の流れとなります。

なお、具体的な設定にあたっては、1月・2月の販売動向を踏まえて慎重にOFF率を決める必要があります。ただし、慎重になりすぎるあまり何度も再値下げの指示を繰り返すと、店舗側の作業負担が増大してしまいます。現場の混乱を避けるためにも、できる限り一度の再値下げで確実に消化しきれるよう、適切なOFF率の設定を心がけましょう。

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