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アパレル・ファッション小売業では、ある程度の規模の組織になってくれば、毎週?毎月?なのか、本部よりVMDの指示が出ていることでしょう。
とくに店頭のVP部分(一番売れるであろう商品の置き場)は、当然のことですが、発注数量が多い商品を置くように指示が来ます。
何故ならば、発注数量が多い!ということは?MDがその時期に一番売れる商品である!ということを判断しているからです。そして、その商品が思惑通り売れれば、組織全体の売上・粗利もアップします。
また、ある程度大きな規模の組織に属するMDは、殆ど店頭の地域性は考慮する必要がありません。
何故ならば、そのような組織ならば、ブランド・ショップコンセプトに基づいた出店戦略が為されている筈ですし、地域それぞれの特性に合わせた品揃え計画を実行すれば、それこそ管理する商品が増大し、在庫が増加するだけでなく、店舗間移動等の増加に基づく作業量・コストも増加して、メリットよりも圧倒的にデメリットが増えるからです。
しかしながら、この業界の組織は、売上が大きくても属人的な部分を往々に残している組織が殆どですから、本部から指示や品揃え計画が合わない店があるのも当然です。
このような場合は、本部が力技で店をねじ伏せるケースが殆どでしょう。
ですが、こうした場合は、本部が全て正しいと思わず、逆に店の方が正しいのでは?と一度店側の立場に立って、真摯に耳を傾ける姿勢もマーチャンダイザーには求められます。
例えば、チェーン展開をしているセレクトショップでは、店頭に行かずとも?数字の見え方で、本部の指示を守っていない店を見極める・推測することが可能です。では、どんな数字を見ればいいのか?
と言いますと。。。
・粗利率の高低
・客単価
・客数
この数字の動きを見れば、本部の指示を守っていない店が浮き彫りになります。
粗利率が平均よりも低く出ている店で疑われるのは?
→1点もの等(値入の悪い)仕入商品中心に売っている?
→家族・友人買いが多い?
という推測が成り立ちます。
客単価が平均よりいい場合は、当然店頭スタッフの努力によるものですから、そこは褒めなければなりませんが、そのことでSET率が平均と変わらなければ?
→高単価の商品ばかりを売っている?
という事実になり、それに伴って客数が平均よりも低ければ?
ということでVMDに関する本部の指示を守っていない!という可能性が高まります。
このような場合は、例え売上が良くても、ショップコンセプトに基づいた売り方が出来ているとは言えず、組織全体のデメリットも多くなります。また、客数も低いわけですから、本部の意図をある程度理解してもらう必要があります。
しかしながら、粗利率が悪く客単価がいい!けれども客数も全店舗平均よりも伸びている場合は、本部は考えなければなりません。(この場合は、その店舗の売上がすごくいいが(笑))
何故ならば、(意図的な施策なしに)客数が伸びているという事実は見過ごせないからです。
この場合は、寧ろ本部が店に学ばなければなりません。
そして、その店のことを肯定し、寧ろ本部の側に間違いがあれば、その間違いを認め、他店舗にもその店で掴んだ長所を共有させるべきです。
しかしながら、その弊害もあります。冒頭述べたように、MDは発注数量が多い商品を中心に、VMD担当と協議し、店に指示を出すのですから、在庫が多く残ってしまう可能性が高まります。
また、売れ筋商品もすぐに不足する可能性が高まるので、その場合は、短期できること中期できること
とを分け、スピード重視で先の商品計画の改善を行わなければなりません。
更に、そのことで店頭や販売促進に理解を求め、一致団結して顧客に喜ばれる品揃えへと変化させなければならない!ということになります。
MDという仕事は、商品を発注する権限。価格を決定できる権限。とその組織の売上を大きく左右する!という権限を持っています。
だからこそ、そのことで”自分が決めたことは正しい!間違いない!”という必要のない自信をもって仕事に臨むのではなく、いつでもMDとしての自分自身のことを”疑い”店頭に対して真摯な姿勢で聞く耳を常にもっておく!このことが必要なのではないでしょうか?
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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