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アパレルEC支援の際、よく議題にあがるファッション雑誌の活用。発刊部数が膨大だった10数年前と比較すると、すっかり部数自体は減ってしまったので「もう効果が無いのでは?」と思われがちです。クライアントからも「うちの社員、誰も読んでませんよ。」と言われることもしばしばあり、「出稿する意味が無いのでは?」と言われるケースが非常に多いです。
しかし、現場で常にデータを見ている身からすると雑誌掲載はわかりやすくECに効果が現れます。むしろ、店舗のみで運営していた頃より定量的にデータで判断できますので、ECで活用する方が便利だと考えております。では、具体的にどこにどう効果が現れるのでしょうか?
Search consoleのデータを見ていれば一目瞭然なのですが、発刊された日からすぐ指名検索が増加しやすいです。掲載から数週間はいつもより指名検索は伸びる傾向にありますね。検索のされ方はブランド名単体が一番多く、掲載アイテムと合わせてのクエリも増えます。店舗を探される方もいらっしゃいますので、それぞれに合わせてページ側で整備が必要です。
「ブランド名 アイテム名」なら、商品一覧ページ・当該アイテムの詳細ページのタイトル・ディスクリプション・alt属性は整備されているか?
「ブランド名 店舗」の場合は店舗ページが整備されているか?
は最低限見ておかなければなりません。当然ながらトップページから流入するユーザーが一番多いので、トップページではどのアイテムが雑誌掲載されたのか?は直感的にわかるようにしておきましょう。商品名に「雑誌名」を入力されるブランドもありますが、それくらいわかりやすくしてあげないとユーザーはどれが掲載されたアイテムなのか迷うこともあるのです。
指名検索が増える、ということは単純に売上アップにつながりやすいです。認知度が上がるだけでなく売上に直結するということは費用対効果が計りやすいですね。効果が出るポイントとしては、
定量的に判断しづらいですが、雑誌掲載は過去から入店客数増加に使われていましたのでこちらは皆様認識されているかと思います。掲載アイテムをタイムリーにVPにしておくなど、導線をわかりやすくしておくのもポイントですね。
顧客と掲載雑誌の属性が合う場合、メルマガタイトルに「雑誌名」を入れておくと開封率が上がる傾向にあります。雑誌に掲載されるのはちょっとしたステータスになり得るので、購入の後押しになるケースもあるのではないでしょうか。
当たり前のお話ですが、掲載されたアイテムはちゃんとサイトコンテンツで情報を担保。コーディネートのバリエーションや着用シーンの設定などなど。スナップページや特集、商品詳細ページの説明文をフル活用しましょう。CVR(コンバージョンレート)に関わります。
指名検索が伸びるのですから、リスティング広告との相性は良いです。スニペットで掲載アイテムの良さをプッシュするのも良し。雑誌コラボアイテムなども最近は多いですから、そのような内容もきっちり訴求しておきたいですね。
雑誌に掲載されたからといって全部が全部、効果がある訳ではありません。正直なお話、どの雑誌が効果があるのか?はやってみないとわかりません。以下、注意点です。
掲載する際に当然ながらターゲティングを設定し、親和性の高い雑誌を選ぶのですが、それが上手くはまるかやってみないとわからない事が多いです。「え、その雑誌でそんなに効果が?!」というケースもあれば、「この雑誌で外すか…。」なんて時もあったり。ですから、「うちのブランドにぴったりのイメージの雑誌に掲載したい!」と考えるより先にテストした方が早いです。自社のブランディング的に掲載したくない雑誌を決めているなら話は別ですが。
タイアップではなく、プレスルームから貸し出したアイテムが偶発的に誌面に掲載された場合などは効果が出ない事は多々あります。誌面での取り上げられ方一つとっても、コーディネートの部品的に掲載される場合はブランドのクレジットが小さく、目立ちません。また、掲載アイテムの在庫自体が少ない事もありますので問い合わせやECへの流入があっても売上につながらない事もしばしば。
ファッション雑誌はWeb版もありますから、そちらに掲載される事もあります。この場合、自社ECのURLを貼り付けてもらえますのでより高い効果が見込める…、と思われがちですが、これが全く効果が無い場合があります。結局、特設ページがあったところでそこにPVを集める施策がセットでなければ効果は発揮されません。
「掲載のされ方」のところでも触れましたが、雑誌掲載は在庫と連動していないと売上に直結しません。流入が増えて違うアイテムが販売されるケースももちろんあるのですが、一番効果が大きいのは、
強化品番を掲載 → 指名検索数増加 → 注文獲得
という流れです。MD設計にてシーズンごとの品揃え・展開計画は決まっているはずなので、それに連動して掲載があると効果的ですね。これに関しては過去、店頭で実行していた事と変わりませんね。違うのはEC側でも準備する事が増えたという点でしょうか。全部の掲載がMDと上手く連動できるか?と言われると、それは非常に難しいのですが、出来る限り連動させる。難しい部分は小回りの効くサイトコンテンツでプッシュしつつ、Web広告を上手く絡ませる。という感じですね。
廃刊のニュースが相次ぐファッション雑誌ですが、リーチは減ったものの「深さ」はまだまだあると考えています。コンテンツの質も高く、ファッション業界という特殊な領域において認知を取るツールしては、まだまだ活用の余地はたくさんあるのではないでしょうか。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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