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Shopifyで返品無料キャンペーン・0円決済のサービスを導入する際の注意点

オンラインを主軸にブランド運営する場合、お客様に商品を直に手に取って見てもらえる機会が少なく、対策としてよく出てくる打ち手としては下記になります。

①試着型店舗(ポップアップ含む)の展開

②返品送料無料キャンペーン

③0円決済で商品を先に送る「試着体験」サービスの導入

(店舗があれば、ECで試着予約や購入から「店頭受け取り」という手法もありますし、サイズ感をわかりやすくお伝えするだけならSNSのショート動画の活用やバーチャルフィッティングなどの打ち手もあります。)

①はオフラインの施策になりますが、②③はEC上で提供するサービスになりますから、当然ながらユーザーの行動データが取得可能です。しかしこの場合ややこしいのが、

「1回は決済してしまっている」

という点ですね。Googleアナリティクスで計測しておりますと、返品された注文だったとしてもデータ上では購買しか反映されていませんので、その分を差し引いた結果を把握しておかないといけません。ユニバーサルアナリティクスなら払い戻しのデータをインポートできたのですが、GA4のデータインポートの項目を見る限り払い戻しの項目が皆無。

eコマースの実装方法(GA4GUIDE:小川卓さん)

払い戻しの実装方法はあるものの、払い戻し完了ページにデータレイヤーを埋める作業が必要=払い戻しをEC上で完了する必要がありそうで、shopifyの場合これが不可です。と言いますのも、shopifyでキャンセル等の処理は全て管理画面上で行われるからですね。

ではどうしたら良いか?ですが、まず②の場合。

■返品無料キャンペーン

もうこれは手動で換算するしかありません。ただ、shopifyのストア分析は超優秀なので、どの参照元から発生した注文でどの程度返品が出たか?まで追うことが可能です。

ストア分析 → レポート → 商品別の売上

を選択すると既に「返品数」という箇所に金額が載っています。(どの項目でも後から付け足せますが)ここに「トラフィックの参照元」という項目を付け足すと、どの参照元からのセッションでどのアイテムが販売され、返品がどの程度発生したか?がわかります。

お客様の名前でも絞り込み可能ですし、Googleアナリティクス側でログイン後のユーザーIDを取得しておけば、「顧客ID」という項目と合わせて検証作業もできますね。

WEB解析のレポートで例を出すなら、

このような感じで、チャネル別・参照元別でどの程度の返品が発生したか?まで確認可能ですね。アイテムの売れ筋ランキングを出す際も、どのアイテムが返品されたか?は簡単に追えますから、その分を差し引いたランキングを出してください。

■0円決済

まず「0円決済」とは何なのか?ということなんですが、

TENG STORE OSAKA

このECサイトのように「自宅で試着してから購入」というカートボタンが別途用意されているケースがございます。これをクリックして購入した場合お客様はまず、

0円で決済→自宅に商品が到着→一定期間商品をキープすると勝手に通常の金額で決済される(ブランド側で調整可能)

という仕組みですね。試着して返品したい場合は、その期間中に返品してしまえば良いということです。

今回、テストさせてもらったサービスは「hartry(ハルトライ)」というサービスなのですが、プランによっては返品受け取りから検品の作業工程を丸投げできる上に、B品が発生した場合はhartry側が買い取ってくれるという嬉しいサービスになっております。

hartryをクリックして決済した場合、Googleアナリティクス上ではどのようなデータになるのか?ですが、まずは普通に決済してみましたところ、

0円決済なのですが、Googleアナリティクス上では0円にならず(この場合、商品価格を1円にしています。)、そのまま通常の値段で決済データを取得しています。shopifyではGA4のpurchaseを取得する際、「カートに入れたアイテムの値段」をそのまま引っ張ってくるからこのような結果になるのかと。hartryの場合、一定期間商品をキープした後、通常のお値段で決済されますが、その際は「カートをクリックしてから購入する」という作業をお客様の方で行いませんので、返品が発生しなければ帳尻は合います。なので問題は返品が発生した場合ですね。これは先ほどの「返品無料キャンペーン」時と同じデータの出し方になりますので、結局は常に返品送料無料キャンペーンをやっている状態と考えれば良いかと。

hartryがどのタイミングで使われたか?を計測するのは簡単で、

hartryをクリックした時をトリガーにしておき、イベントを設定。

発火が確認できればOKですね。これでどのタイミングでこのイベントが発生したか?は後から追えますし、hartryをクリックしたユーザーと、そうでないユーザーのコンバージョン率を比較することも可能です。GA4でadd_to_cart(カートに追加)を設定している場合、hartryをクリックしてもadd_to_cartは発火しませんのでこちらも問題無しですね。

以上が返品送料無料キャンペーンと0円決済時の注意点になります。shopifyはストア分析が非常に便利なのでGAのデータと合わせて解析データを出しやすくてありがたいですね。ECのサービスが充実して、運用面では非常に便利になっているのですが、計測の難易度も上がっているかと思いますので、こちらの記事が参考になれば幸いです。

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