ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

仕入予算を軽視しすぎてませんか?

★仕入予算の重要性は増している

小売業には、基本仕入予算が存在します。とくにアパレル・ファッション小売業にとっての、仕入予算は重要なものとなります。仕入予算は、売上・粗利の予算がベースとしてあり、そこから算出される売上原価が、仕入予算の基となります。(会計学的にいうと、売上原価は仕入原価のことです)例えば、年間売上予算1億円。粗利率53%の組織があったとすると、売上原価4700万円が、仕入予算の基となるわけです。また、売上原価=仕入原価と仕入予算設計(消化率100%)するのか?、更に言えば、前シーズンの商品で、店頭で再展開する商品の在庫の金額等を加味して、仕入予算は設計しなければなりません。

「仕入予算は適当に考えたらダメ①」

しかしながら、これまでのアパレル小売業生活の中で、この仕入予算を軽視している場面を、何度か見かけてきました。特に気になるのが、シーズン始めの仕入金額が、大幅に仕入予算を超過しているケースです。このような状態になりますと、在庫を多く残してしまう要因となります。偶々、商品の精度が高く、商品が売れれば、売上・粗利もともに伸びて、結果オーライで済まされるかもしれませんが、30年前ならばいざ知らず、このご時世において、そのような偶然は、ほぼありえない!と言って差し支えありません。特に昨今、アパレル・ファッション小売業では、商品を調達するまでの期間。リードタイム(以下LT)が、長くなる傾向にありますから、仕入予算の重要性は、これまで以上に増しています。
ということで、今回は仕入予算を軽視した場合に、どんなことが起こるのか?を、以下例に挙げます。

★LT3ヵ月の組織のケースで考えてみる

【LT3ヵ月の組織A】
・20~40代のOLをターゲットにしたレディースブランド
・AWシーズンは8月からスタート
・今回は売上原価=仕入原価で仕入予算を設計
・商品の倉庫着日は1日
・8~2月までのAW商品売上予算は2億円。粗利率予算は55%
・8~10月の売上予算は7千万円。粗利率予算は60%

この設定を基に、MD予算設計を行ったのが、以下の図となります。

〇期初の仕入超過が、ショップ運営に及ぼす悪影響

上記の図の組織AのLTは、3ヵ月ということになりますから、AWシーズンがスタートする8月までに、10月入荷までの商品発注は終了している!ということになります。
そこで、上記の図を確認すると、10月までの仕入原価予算は5763万円です。今回の例から読み取れることは、LTが3ヵ月ですと、仕入予算の2/3弱ほどの金額を、シーズンがスタートする前に発注しなければならない!ということになります。
例えば今回の例で、8月~10月を仕入予算の120%。6915万円ほどを発注したとすると。その後、仮に予算通り売れたとしても、1100万円以上の在庫原価が残ることは確定です。また、8月~10月の仕入予算オーバー分を、11・12月の仕入予算を削減で帳尻合わせすると、11・12月の仕入予算約3200万円から1100万円を削減する!ということになりますから、冬物商戦のピークに新商品の入荷が、大幅に削減されてしまいます。販売期間が長くとれるメンズブランドであれば、10月仕入あたりの商品がヒットすれば、なんとかなる可能性はありますが、商品の旬が短いレディースブランドになりますから、11月・12月の仕入削減は、11月以降の売上低下を招くのは間違いありません。

更に言えば、8月~10月の仕入オーバー分を調整する為に、売上・粗利予算を引き上げればよいじゃん!等という意見があるかもしれませんが、これは本末転倒です。そもそもが、(ショップ等)事業部の売上・粗利予算は、損益をベースに設計されている筈です。また、過去のデータを数年分調べ、(頑張れば)達成可能な予算でなければなりません。その予算を、期初の仕入超過という勝手な都合で、売上予算等を引き上げれば、その達成不可能な予算による、ショップをはじめとする現場スタッフのモチベーション低下に繋がります。

★シーズンが始まる前までは、仕入予算を遵守しよう!

「今回の記事の例なんて、あるわけではないだろ!」
と、お思いの読者の皆様が多いかもしれませんが、このことは私の経験上、多く起こっている!というのが事実です。何故ならば、次シーズンの商品サンプルというのは、必要以上によく見えてしまうものです。実例として、商品投入の半年以上前に行われる人気ブランド等展示会で、どれも商品が輝いて見えて、必要以上の発注をしてくるバイヤーを、私はこれまで多く見てきました。そのことで、仕入予算を超過していまい、本当に仕入をしたい商品を、仕入することが出来なくなる!そして、売上が低下し、在庫が多く残る!という結果となっていました。また、このような組織は、仕入予算を設計する前に、先に商品発注しているケースがあるというのも特徴です。

纏めると、シーズンがスタートする前の、期初仕入が、仕入予算をオーバーすると、在庫を多く残す要因となります。また逆に、仕入予算以下の仕入しかしない場合は、売上・粗利予算を達成することが不可能となります。ですので、シーズンが始まる前までは、事前に設計した仕入予算を遵守することを、強く訴えて今回の記事は終了と致します。

MD予算(売上・粗利・仕入在庫予算)設計の手法は、繊研plusさんで連載しておりましたので、興味のある方は、以下の記事をご覧くださいm(__)m(39話あります)

算数で極める達人MDへの道《第2講》

繊研plusさんで、新連載が始まりました。ぜひご覧くださいm(__)m

繊研PLUSさんで新連載始まりました!!

MSMD & Co.,Ltd
MSMD & Co.,Ltd Twitter
弊社への問い合わせ・仕事依頼はこちらい

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2021.10.29

YouTubeは稼げるのか?!YouTube登録者1,000人のリアルな収益を発表
3

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?

NEW POST

2024.06.14

富士五湖最大のマルシェに出店しました!

2024.06.13

ZOZOの直近の決算を確認してみた

2024.06.11

セール売価設定の考え方

2024.06.06

大手アパレル上場企業EC売上推移まとめ(パル・UA)

2024.06.04

アパレルMDの授業内容について

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績