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大手アパレル上場企業EC売上推移まとめ(2023年2月期)

2023年2月期決算の上場企業決算書が公開されましたので、毎年のようにまとめておきます。特に2022年はコロナが収束し、各社以前の業績に回復しているのか?が問われる年になったかと思います。店頭回帰による影響はどれほどあったのか?そして、コロナで上がり過ぎたEC売上やEC比率はどう推移したのか?あたりに着目して記載しておきます。

■オンワード

IRライブラリー

売上:1760億7200万円

営業利益率:52億1400万円

EC売上:447億9800万円(自社 384億9500万円・モール 63億300万円)

EC比率:25.4%

直近10年では最高益となったオンワードですが、その要因として記載があるのがクリック&トライ。店頭試着が可能な店舗が340店舗と、樫山の店舗の43%を占めるほどに伸びています。しかしこれ、「オンワードクローゼット」を出店した意味はあるのか?とちょっと思ってしまいますね。まぁ店舗を持たないD2Cブランド専用という事なのでしょうけど。ちなみにクリック&トライ未導入店舗は導入店舗の8掛けの売上という事なので、店頭試着予約の売上は店頭売上に計上されているようで、これは販売員さんにとっても嬉しい施策でしょう。既存ブランドは店頭回帰が売上回復の要因とのことなので、そこにクリック&トライがうまく機能した可能性はありますね。

利益が伸びた要因としては「値引き販売抑制」によるとの記載がありますが、棚卸資産の増加がやや気になりますね。(36億円増加)また、EC売上が昨年から40億円程度増加しており、モール・自社EC共に伸ばしております。(自社ECで31億円以上増加。)こちらを牽引しているのが恐らくアンフィーロでしょうか。

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アンフィーロが今年で50億円を見込む、という記事が出ておりますので、現時点でもかなり伸びてきているのでしょう。(通期売上96.3%増と記載があり、昨年からほぼ2倍に伸びている状況。)

その他、店舗・売り場面積の増減を以前から記載しなくなったので不明ですが、直近では販管費率に大きな変動なし。売上自体はコロナ前より激減したままなので大きな伸びは見られません。(販管費も当時と変わらず、粗利が伸びたという結果。)21年対比で売上が17億4900万円増。ECは48億3400万円増加。つまり店頭は21年度と比較しましても30億8500万円減少ということですね。店頭回帰とは言いつつも、まだまだ回復したとは言い難い状況かもしれません。(店舗数めっちゃ減らした可能性はありますが)

■アダストリア

IRライブラリー

売上:2425億2200万円

営業利益率:115億1500万円

EC売上:626億円(自社 327億2000万円・モール 298億8000万円)

EC比率:25.8%

上期から好調だったアダストリアですが、通期でも好調ぶりは変わらず。不正アクセスによる損失が20億円と言われる中でこの数字は素晴らしいですね。店舗数の推移としては国内は10店舗減少・WEBストア6店舗増加。ECは全体で売上が52億円の増加。うち、モールで37億円以上増加と、自社・モール共に伸ばしております。

店舗数は減らし続けているにも関わらず売上も過去最高を記録。販管費率も50%を切っており昨年よりさらに圧縮。コロナ前と遜色ない業績まで回復しています。ブランド別では、決算書に掲載があるブランドで言うとベイフローとラコレ以外は店舗数を減らし続けているにも関わらず売上が伸びております。特にグローバルワークは78億3500万円も伸びているのに1店舗減ってますね。ドットエスティストアの店舗数も大きく伸びておりませんのでこの数字は驚異です。

課題としてはこちらも在庫でしょうか。棚卸資産が54億円増加していますね。負債は増えておりませんし、現金も大きく減ってはいないのでそこまで大きな問題では無いのでしょうけど。在庫増加の要因はEC側での過剰なオーダーか、海外店舗増加によるものか。店舗数が年々大きく増加しているラコレの1店舗あたりの平均売上は店舗面積の割りにそんなに大きくないので、こちらも在庫が増えている可能性はあるでしょう。(標準店舗面積150坪に対し、1店舗あたりの年間平均売上が約1億2600万円。月坪効率6.7万円程度と坪効率は良くないですね。)

■TSI HD

IRライブラリー

売上:1544億5600万円

営業利益率:23億2000万円

EC売上:388億4000万円(自社 181億1000万円・モール 206億3000万円)

EC比率:25.2%

TSIは売上は144億円程度増加と回復しつつも、販管費も102億円程度増加。結果、営業利益は昨年から減少しています。店舗数・EC売上共に減少しているので、1店舗あたりの売上は戻りつつあるということでしょう。

ブランド別では年間通してパーリーゲイツが売上トップ。急激に伸びたというより、ナノユニバースが売上を年々落としていっていることが一番の要因ですね。モールにおける値引き抑制との話がメディアでも報じられておりますが、それにより特に売上の大きかったZOZOでの売上ダウンを招いたのでしょうか。結果として粗利が良くなっているので、在庫が増えていないようでしたらこれは成功だと言えるかと。モールが昨対を割っているのも、恐らくこちらが要因かと推測します。

パーリーゲイツは高粗利を維持しながら売上伸ばしているので素晴らしいですね。その他、旧サンエー側のブランドがトップラインこそ伸びていませんが粗利が改善。ストリート関連は、STUSSYが粗利率が5ポイント程度下がっているのがやや心配ですね。HUFは売上が30億円以上伸びており、こちらは好調を維持しているようです。

また、決算書には載っておりませんが常に好調が 報じられているのはアルページュでしょうか。マイナビを確認する限りは売上は全体で100億円程度ですが、利益への貢献度は 高そうです。

セールしない、余剰在庫もないアパレル「アルページュ」 会社もお客も「幸福な」理由

(株)アルページュ【Apuweiser-riche/JUSGLITTY/Rirandture/Mystrada/CADUNE/Arpege story】

引き続き店舗は大きく減らし続けておりますが、売上は回復傾向。コロナ前ほどではないものの、店頭にお客が戻ってきていると思われます。こちらも課題としては在庫が増加傾向にある点でしょうか。棚卸資産が57億円程度増加しており、キャッシュは70億円減少。 TSIは新規ブランドがそこそこあるのですが、まだそれほど大きく売上が伸びていないせいか、これが他社と比較してEC売上を大きく伸ばせていない 要因ではないかと思われます。

■パル

IRライブラリー

売上:1644億8200万円

営業利益率:158億2200万円

EC売上:423億1600万円(自社 156億3100万円・モール 266億8500万円)

EC比率:25.7%

絶好調のパルは売上が昨年から300億円増加。営業利益も倍に増えており、営業利益率がめちゃくちゃ高い数字ですね。衣料品の店舗が23店舗純減しているにも関わらず、このトップラインの伸び方は驚愕です。出店しまくっている3coinsの売上が昨年より110億円伸びていますが、他のブランドで200億円近く伸びているということですし、コロナ前と比較しても売上が大きく伸びているのがまたすごい。

セグメント別で見ても、衣料品売上は昨年から186億7200万円伸びており、営業利益は91億6200万円増加。店舗のみの売上で200億円以上伸びてますから、店舗を減らした衣料品だけでも売上が伸びているということです。(逆に雑貨類は営業利益が伸びておりません。)棚卸資産も他社と比較して増えておらず(17億円程度の増加)、決算書に記載がある通り「行動制限の解除が、衣料事業での店舗やECのプロパー販売を後押しする事となり」という内容なのかと推察します。パルは好調ブランドを3つほど決算書に掲載するのですが、3coins以外ではカスタネ(20億円増)とルイス(3億円増)を掲載。どちらも伸びておりますが、衣料品売上186億円増加の要因としてはやや小さく、恐らくパルが保有する衣料品ブランドの多くが伸びている状況なのではないかと思われます。

懸念点としては3coins出店で利益が伸びていない点でしょうか。今は大きな問題になっておりませんが、今後不採算店舗が出てくるにつれて販管費率が増大する可能性はあるかもしれません。出店直後は売上が上がりやすいものなので。

 

どの企業も売上自体は改善傾向にあり、中には過去最高売上を記録している企業も出てきています。PLも改善されている企業は多いですが、やや在庫が増えているのが気になる点でしょうか。EC売上に関しては引き続き、成長エンジンとなるブランドがあるか無いかで差が出ており、新規ブランドの成長が一番の要因でしょう。アダストリアに関しては既存ブランドを店舗を減らしつつ伸ばしているのは驚愕しますが、ECは消化率が上がりにくいので在庫過多を招く恐れがあることは注意しておきたいですね。

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