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ファッション業界・インポーターの最近の動向について

先日、LVMH傘下のEmilio Pucci(エミリオ・プッチ)とコロネットが日本国内の独占輸入販売代理店契約を締結したとのニュースが出ておりました。

「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI )」の独占輸入販売権取得について

国内事業について、既にLVMHが担当していたはずなのですが、それを今更コロネットに移すという事で、インポーター出身の筆者からすると結構な衝撃を受けたニュースでしたが、狭い業界なのでそこまで注目されていない感があります。すでにこの業界を離れて10数年以上経ちますから、今どの企業がどのブランドを担当しているのか?について調査不足であり、ファッション専門講師として勉強不足を感じましたので、夏休みの自由研究として調査してみました。

せっかくなので調査しました内容をこちらに記載しておきたいと思います。学生さんはぜひ、就活の際に参考にして頂ければと思います。

■コロネット

伊藤忠傘下コロネットのブランドリストはこちら。

(コロネットは2002年に伊藤忠傘下になっています。)

コロネット商会が民事再生から伊藤忠傘下に

筆者が新卒でインポーターに入社した当時は、ミラ・ショーンやルシアン・ペラフィネなどが既にありましたが(当時はロベルト・カヴァリもありました)、十数年の間にランバン、アンドゥムルメステール、イザベル・マランなどの有名ブランドが増えていますね。(ランバンは比較的早かった記憶あります。)イザベル・マランは直営店はトゥモローランドが運営(現在、全店舗閉鎖)していたはずなので、卸と小売で代理店が違うものと思われます。

<追記>

イザベル・マランは現在、ジャパン社が設立されており、直営店はそちらの管轄になっているようです。

「イザベル マラン」が南青山に新旗艦店 ジャパン社も設立

 

余談ですが、アンドゥムルメステールは当時、オリゾンティという会社が代理店でしたがそこから、

インコントロ→ギャレット→コロネット

と代理店が変わってます。当時はリックオウエンスと購買層似ていたような気がするのですが、いつの間にかえらい差がついている感ありますね。(置いているセレクトショップ結構被っていたような)

ソニア・リキエルは元々はオンワードが代理店だったはずですが、こちらは2017AWで終了。

オンワードGF「ソニア リキエル」の独占輸入販売契約を終了

その後、ブランド自体が精算。

「ソニア・リキエル」が会社清算へ

と思ったら、買い手が見つかる。(G-IIIアパレル グループ)

「DKNY」親会社が「ソニア リキエル」を買収

そこからの報道は調べても出てこなかったのですが、WEBサイトを見る限りは現在、コロネットが国内代理店ということなのでしょう。(自社サイトのINFOでも取り扱いスタートのリリースが無いのに、急にポップアップのお知らせが出てきたりと詳細不明。)

あと、昨年にはステファンシュナイダーの代理店もスタート。(大昔はジョイックスがやっていたはず)

「STEPHAN SCHNEIDER(ステファン シュナイダー)」国内代理店業務開始のお知らせ

(めちゃくちゃどうでも良い情報ですが、筆者の古巣である三崎商事が以前代理店をしていた「CIVIDINI(チヴィディーニ)」がコロネットの取り扱いになっています…。)

■三喜商事

https://job.mynavi.jp/24/pc/search/corp5664/outline.html

不動産事業が強い三喜商事ですが、

注目すべきは「JWアンダーソン」「アレキサンダーワン」あたりでしょうか。

ジェイ ダブリュー アンダーソンの新CEOはルイ・ヴィトンから

JWアンダーソンは2018年の報道ではLVMHが株式の46%を保有ということで、完全子会社ではありませんが結構な比率の株式を保有。JWアンダーソン自身もロエベのクリエイティブディレクターなので、傘下と言って良い状況です。

アレキサンダーワンに関しては、元々代理店だった伊勢丹傘下の「クラブ21」が撤退と共に三喜商事が代理店に。

クラブ21ジャパンが事業撤退 「アレキサンダー ワン」は三喜商事、「ラグ & ボーン」はイーストランドへ

余談ですが、ラグ&ボーンに関してはリックオウエンスやニューガーズグループのブランドを取り扱うイーストランドが代理店になっています。

また、三喜商事と言えば最近目立った動きでは、

「1LDK」運営のアイディーランドカンパニーが三喜商事傘下に 買収額は非公開

セレクトショップの1LDKを買収。その他、大阪の老舗セレクトショップであるWHY ARE YOU HERE?も三喜商事が事業を継承しています。

国内代理店からすると、本国と交渉する際に展開可能なセレクトショップを保有しているというのは強みになりそうですね。ブランド側が提示する金額に対し、代理店としては小売・卸で流通させる事ができなければ自社でその分の在庫を抱える事になります。そこに自社で保有するセレクトショップがあるなら、少しは在庫消化の計算が立つでしょう。

■アオイ

以前はトーマスワイルドやニールバレット、MSGMなどの有名ブランドの代理店をしていた同社ですが、当時からはブランド数が大きく減っております。

アオイについて特筆すべきは現在の取り扱いブランドというより、

https://www.aoi-net.co.jp/company/history.html

こちらの沿革でしょうか。直近ではHERNO JAPANとChristian Louboutin JAPANの設立ですね。ヘルノに関しては元々、アオイが代理店であり、そのままジャパン社設立。ルブタンはアオイが運営するショップ「di classe」にて、当時国内仕入れがトップだった事が要因だったと記憶しております。(めちゃくちゃうろ覚えですが)沿革を見ましても、有名ブランドとの合弁会社の設立から、株式売却→本国100%出資というケースが何件か見られますが、それによる資産が結構な額かと思われます。他社と毛色が全然違うのですが、盤石な経営ではないかと。

■八木通商

https://job.rikunabi.com/2024/company/r189600088/

https://www.yagitsu.co.jp/ja/brands/

インポーターの中では年商がやや別格な八木通商ですが、過去からそれほど大きく取り扱いブランドが変わった印象がありません。強いのはやはりモンクレールとマッキントッシュでしょうか。(モンクレールはジャパン社ができるまでは八木通商が代理店をしていました。詳細はこちら→モンクレールジャパン設立、日本初のMONCLERインショップ・旗艦店を計画)関連会社を見る限り、モンクレールジャパンは今も本国と八木通商の合弁会社のようです。マッキントッシュ(Traditional Weatherwear含む)はそもそも八木通商が買収してますから、三陽商会のマッキントッシュフィロソフィーやマッキントッシュロンドンのライセンス料は八木通商の子会社に支払われているという事ですね。

めちゃくちゃ余談ですが、ALEXANDRE DE PARISという髪飾りのブランドは元々、三崎商事(筆者の古巣)が代理店であり、その後八木通商が代理店となっていいます。(筆者も一時期担当したのですが、めっちゃ良いブランドです。)

■グルッポタナカ

http://www.gruppotanaka.jp/brands/

グルッポタナカの取り扱いブランドで有名どころはN°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)、Nina Ricci、PATOUあたりでしょうか。以前はクラス・ロベルト・カヴァリの取り扱いもありましたね。PATOUはコロネット・三喜商事と同様のケースで、LVMH傘下のブランドです。日本でまだそれほど認知が取れていなかったり、流通量が少ないブランドなら、国内のエージェント使う方が理に適っているとは思います。代理店と契約の際には発注する金額が先に決められますが、その在庫リスクは代理店側ですし、出店の計画まで決める事もしばしばあります。PRも代理店側なので、本国側はリスクが小さく、成長したタイミングでジャパン社を設立すれば良い訳ですね。

グルッポタナカはIZAというセレクトショップも保有しており、こちらでも自社の取り扱いブランドが展開されています。

■イーストランド

https://eastlandcorp.com/

リックオウエンス、ピエールアルディ、ラグ&ボーンなどの有名ブランドに加え、ニューガーズグループのブランド(オフホワイト・マルセロブロン・パームエンジェルス・ヘロンプレストン)を複数取り扱うのがイーストランド。元々はSacaiの国内のセールスも担当していたりと、インポート業界では知らない人はいない企業なのですが、最近までWEBサイトも無かったので、専門学生には全く知られていない状況でした。筆者がまだこの業界にいた頃は卸専業だったはずですが、最近はリックオウエンス、ピエールアルディ、ラグ&ボーン、オフホワイトなどで直営店の展開も手がけてますね。リックオウエンスは元々、三喜商事の取り扱いだったのですが、三喜出身の方が独立した際にブランドがそちらに移ったという経緯ですね。

三喜商事「Rick Owens」の取り扱いを2005s/sで終了

(まさか、その内容が記載されたブログが見つかりました…。三喜さん、やっぱりマークアップ高めだったのか。

まぁこの業界ではあるあるなので、先輩から確実に教えられるお話です。ちなみにイーストランドは代理店をしていたSea New Yorkが違う会社に移っていますね。

https://www.sandt-showroom.com/brands

こちらの会社、元イーストランドの方の会社なので歴史は繰り返されるようです。

あと有名どころはトリーバーチを扱っていたルックホールディングスや、マルジェラを取り扱っていた、ここのえ株式会社あたりでしょうか。ここのえに関しては今やディーゼルの親会社であるOTBの傘下であり、社名もスタッフインターナショナルジャパンに変更。マルジェラに関してはそこからマルジェラジャパンが設立されており、マルニ、ジルサンダー、ディーゼルと共にグループ会社になっております。(ディーゼルジャパンは元々、代理店をしていたパンドラという会社がそのままジャパン社になっています。)そんな訳でこちらはもうインポーターではなく外資の企業ですね。

 

代表的(と筆者が思う)な企業をいくつかピックアップしてみましたが、それぞれ特性・強みが違うので、インポーターと一口に言っても様々です。共通していそうなのは、「小売が弱い」という点でしょうか。(数社しか事情は知りませんが)理由としては、純粋な小売企業と違いその機能が社内に無い事が多いです。特にMDに関しては、社内で品揃え・展開計画を立案できる人材が少なく、中途採用した店長が展示会時にショップオーダーで対応するケースが多いでしょう。結果、MD・VMDの質が店によって違い、店長の力量で売上に差がつきやすいです。そのような事態に陥ると、各店が自分達で在庫を抱えたがりますので、店間移動が柔軟に行われず、期中に入って消化が進まなくても対策が取りづらくなります。現場には営業担当しかいない事も多いので、そうなった場合に売上不振の原因も不明になったりと、小売出身の方からすると目も当てられない状況になる事もあるのです。

LVMH傘下のブランドをコロネット・三喜商事・グルッポタナカが代理店をしておりますが、ブランドに勢いがあるならそこまで大変でもないのですが、勢いに陰りが出てきた時がやや心配ですね。ビッグブランドの代理店をやっている期間は、新しいブランドとの交渉もしやすくなるのでその狙いもあるかもしれませんが。長々と書きましたが、意外と日系企業でもハイファッションは担当できる事もありますので、学生さんは就職活動の際にぜひ受けてみてください。

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