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「定番商品を拡充し、業績を上げよう!」
上記のような文言は、アパレル関連に詳しい??識者の方々がよく述べる文言です。しかしながら、定番商品の定義が、組織の中で曖昧且つ抽象的な状態だと、在庫が必要以上に増加し、キャッシュフローが悪化する!ということを、私は至る場所で述べてきました。アパレル小売業における一般的な”定番商品”の定義の代表的なものは?
・何年にもわたって売り続ける商品
・(基本的に)セールをしない商品
このことではないでしょうか?個人的には、”定番商品”なのかどうか?を決めるのは、お客様である筈と感じていますから、「お客様に長い期間愛され必要とされる商品」こそが、”定番商品”といえるでしょう。
上記の定義を満たした”定番商品”といえども、季節・気温によって売れ方が全く違う商品があります。代表的な例でいえば、有名ブランドのダウン等があてはまります。ショップの仕事に従事されている皆様方の感覚でいえば、定番商品のダウンは、気温が暖かくなれば、当然店頭から商品を下げることになります。ということは?MDにおける商品分類・管理の概念からすると、定番商品のダウンは販売期間・販売終了日を設定して管理しなければなりません。
「そんなこと当たり前じゃないか?」と感じる読者の皆様が、殆どだと思うのですが、「セールをしない定番商品」だから在庫を残しても問題ないという心理が働き、管理等が適当になり、在庫が増えてしまっている組織は少なくありません。また、定番商品は基本セールをして、在庫を(早く)お金に換える!という手段を使えないですから、商品分析等を緻密に行って上で、慎重に売上・粗利・仕入予算を組み立てる必要があります。
以下、ある架空組織の定番商品ダウンを例に挙げます。
【架空の組織A】
・(カテゴリー分類における)定番商品ダウンの9月~2月の売上予算 1億円
・粗利率予算 45%(セールを行わないので値入率も45%)
・仕入原価予算 5500万円(消化率100%)
このような予算を組み立てとします。
しかしながら、前年が暖冬でこの組織は、定番商品ダウンを900万を残していた場合、当然のことながら、仕入原価予算の5500万円から残在庫900万円を引いた4600万円を仕入原価予算としなければなりませんが、この単純なことができていない組織が多いのです。
何故ならば、上述したように、「セールをしない定番商品」だからという心理が働き、予算管理が適当になるからです。また実際、上記の予算を厳密に守ったとしても、今度は売上予算を達成することが難しくなるでしょう。何故ならば、定番商品とはいっても、昨年から持ち越した商品というのは、お客様の視点でみれば、その魅力は下がって映る場合が多くあるからです。その場合は、組織に損害が出ないくらいの残しても良い在庫金額を設定し、その金額分は仕入予算にプラス仕入するなどのルール設定を、具体的に行うことが重要となります。
最後に、8月上旬から有名ブランドのダウンが店頭にきれいに展開されている場面をよく目にします。これはおそらく昨年の商品を再展開しているのでは?と推測されます。昨年残した商品を再展開すること自体は、正しいことですが、その在庫金額が多すぎると、半年以上商品を倉庫に眠らせるわけですから、商品の保管料金・商品がお金に変わらない期間が長い等、組織にとって良いことはありません。また、今回は販売期間のわかりやすいダウンでお話を進めましたが、季節・気温によって売上が左右される”定番商品”は、他にも多くあります。ですので、セールをしない定番商品だから在庫を残しても問題ない!等という意識は持たずに、商品の販売期間を設定し、売れる分だけ仕入れる!という、MDにおける基本原則の意識を、改めてしっかりと持つ!というきっかけに、この記事が役立てれば嬉しく存じます。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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