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アパレルEC支援のご相談でお客様からよく聞かれるものの中に、
「まだ売上が少ないうちからデータを分析する必要はあるのでしょうか?」
というものがあります。
これに対する回答は一口には言えないのですが、
◯どの粒度でデータを見るのか?
◯どの部分を重点的に見るのか?
◯ブランド運営者の特性
によって大きく変わります。が、全く見なくても良いなんて事はほとんどのケースにおいて無いと考えております。ではこちらについて、具体的にどういう事なのか?見ていきましょう。
まずはこちらから。データ分析と聞くと「とても細かい数値まで管理しなければならない」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。そして「どの粒度で見るか」を導き出す一番簡単な方法は、
・現在どのような施策を実行しているか
です。例えば、どのようなブランドでもSNS運用は実行しているでしょう。では、SNSの週次・月次の効果は見ておかなければなりません。SNS側のインサイトデータは元より、SNSから流入してきたセッション経由でどの程度の効果があったのか?などですね。その場合、SNSのプロフィール欄のURLや各投稿(リンクが貼れるものであれば)にパラメータを振っておき、効果検証するのは最低限やっておくべき事になります。
ここから、どのページがランディングページになり、そこからどこで離脱したのか?などの細かい検証をするかどうか?は先述しました通り売上規模に応じて実行するかどうかは決めて頂ければ良いでしょう。しかし、どのチャネルからどの程度のセッション・購入があったか?くらいはどの規模感でも見ておきましょう。
これと同様で、メルマガや検索などは規模感が小さくても最低限見ておくべき指標になるでしょう。規模感が小さい場合、まだ広告には手をつけていない、モバイルアプリを導入していない、メルマガだけでLINEはまだやっていない、などのケースは多々あるかと思います。なので、そこは施策に合わせて進めて頂ければ良いでしょう。
続いてこちら。前項でも軽く触れましたが、例えばSNSを重視している場合はそこから流入した後のデータを重点的に見たい、というような要望も出てくるでしょう。ここの判断は、自社で得意としているチャネルやコンテンツをスコープにして頂ければ良いので、
・まだそんなにどのチャネルも強くないしコンテンツも充実していない
というのであればそこまで細かく見る必要は無いでしょう。
「うちはスタッフ経由売上を重視している!」
というのであれば、まずはそこにフォーカスして経由売上を見れば良い、という感じですね。経由売上の水増しにご注意ください。特集記事の執筆や商品詳細ページの細かい導線設計などの取り組みなどがあるなら、同様に計測後の効果は検証しておきましょう。
しかしここで例外がありまして、「検索」に関しては初期からデータは細かく見る事をおすすめします。これは、検索流入が最も機会損失を招きやすく、データを見なければ対策も打ちにくいチャネルだからです。検索流入を伸ばしたい時に見る手順としては、
①検索流入のランディングページから購入に至りやすいページを調査
②そのページに流入しているキーワードをsearch consoleから調査
③検索クエリのランキングが低い場合はページ側の対策を強化
などの、検索対策の王道パターンでは細かくデータを見なければそもそも簡易な対策すら施す事が不可能です。そんな訳で、他のチャネルやコンテンツはともかくとして、検索に関しては例外なく細かく見ておきましょう。これからPRを打つ、という状況なのであれば尚更ですね。指名検索が増える予定なのに、ページ側で何の対策もできていないのは一番機会損失につながります。
これによって先ほどまでの項目が覆されるケースが多々あるのですが、とにかく運営者の熱量・行動力・当て勘などが優れすぎており、データを見なくとも売上を作り上げてしまうケースですね。データ分析は現状の傾向を掴み、なるべく確率高い領域に注力・投資していくものですが、それを何となくでやってしまう方が稀にいらっしゃいます。(この人とか)
我々の仕事泣かせな方々なのですが、以前ご本人に「データ分析ってやらないといけない?」と聞かれた際に、
「あ、あなたはやらなくて大丈夫です」
と即答しました。このようなケースは理屈じゃないので再現性にも乏しいから良い子は真似してはいけません…。社内でECのチームがあり社員の入れ替わりがそこそこある組織なのであれば、ノウハウを蓄積しなければなりません。その場合はざっくりで良いのでKPIを設定しておき、データを定期的に見ておきましょう。
データ分析において、どのタイミングでどのような検証が必要か?は上記が判断材料になるでしょう。限られた予算の中で施策の優先度を決める・予算を適切に配分する・なるべく安価で打ち手を増やし費用を削減しながら集客力を担保するのであれば、データを見る習慣はあった方が良いでしょう。
注意点としては、「そもそも正しくデータが計測できているのか?」という事もありますので、こちらが不安なのであればすぐ専門家にご相談ください。「今ためているデータが使えない」というのは大きな損失になります。まとめますと、
◯ざっくりでも施策ごとにデータは確認
◯自社で注力している部分は重点的に見る
◯検索は必須で細かく見る
◯たまにチート人材が存在する
という感じでしょうか。お困りな際はこちらまでご相談ください。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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