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MDにおいてAIを活用できる部分とは?

★アパレル小売におけるAIの活用の最適?

先日、繊研新聞さんの記事で、以下の記事を発見しました。

ゴールドラットジャパン、在庫自動配分アプリを提供 AIの分析で適正配分

この記事を簡単に要約すると、ディストリビューター(以下DB)の仕事に着眼し、(EC含む)店舗ごとの適正な配分量をAIが算出。そのことによって、各店舗ごとの在庫の偏りを是正することで、商品の売り逃しを防止し商品の消化スピードを早め、粗利高の最大化を目指せる。さらに言えば、店舗間移動の削減による物流費用の軽減にも繋がる。といったところでしょうか?
私はMDアドバイザーという立場上、(実務者への理解が薄い)AIによる在庫消化ツールには否定的な立場ですが、DBの仕事に着眼したAIによる在庫消化促進は、個人的な主観ではありますが、目のつけどころが良いなと感じます(上記で紹介されているツールが、アパレル小売りの全部の組織で有効かどうかはわかりませんが)。DBの仕事は、私のMDの仕事とも絡む部分の多い仕事ですが、多店舗展開をしている組織となると、MDの数字面の仕事を理解しているくらいでは、話にならないほど、高い演算能力が必要になりますし、とても難易度の高い仕事です。ですから、上記の記事でも紹介されているように、仕事が属人化されやすい仕事の一つになります。その属人化されやすい部分の仕事をAIがカバーし、組織の利益構造を高めることができれば理想的です。

★MDにおけるAIの活用を考えてみる

ここで話を変え、私の専門であるMDの部分にもAIの活用が始まっていますが、現状、代表的な分野は以下の2つでしょうか?

○(トレンド等を先読みする)需要予測(適品の部分?)
○在庫消化・削減促進(適量の部分?)

では、それぞれに利点と問題点を、私の独断と偏見で考えてみます。

○(トレンド等を先読みする)需要予測

アパレル小売業におけるトレンドの先読みは、大半の組織にとって欠かせない部分なのは間違いありません。ですから、古い時代から来期のトレンドを纏めたコンテンツの発信や、数多くのトレンドセミナーが行われてきました。トレンドのコンテンツ発信やトレンドセミナーで、取り扱われる項目は、大きくわけて2つに分類され、それは各コレクションの分析と、マーケティング用語でいうイノベーターやアーリーアダプター等の定点観測の部分です。流石にAIがコレクションの取材にはいけないでしょうから(それでもネットのコレクション画像で分析するでしょうが)、この分野におけるAIの活用は難しいかもしれませんが、ファッションスナップ等の定点観測を分析することは、寧ろAIの得意とするところでしょう。
しかしながら、問題点としては、私が販売の仕事に従事していた20数年前とは違い、(ネット等)情報の発信源が多角化したことにより、トレンドも細分化されトレンド自体が昔ほど売上に大きい影響を及ぼさなくなった点が挙げられます。また、ファッションのスタイルも細分化することで、各ブランド・ショップはピンポイントでの具体的な情報を求めており、そのことをAIが具現化するサービスが必要となってきます。このことを商品に携わる方々に向けて実現できれば、この手のサービスも需要が高まるでしょうが、各ブランド・ショップに欲しい情報が細々と違う中で、どこまでその要求に応えられるのか?といったところが課題でしょうか?ただ、個人的には言わせてもらえば、先読み出来ない予測不能なところが、ファッションの楽しさでもあると思うので、AIに支配されたファッションで楽になる人もいれば、離れていく人もいるでしょう。

○在庫消化・削減促進

在庫消化を促進するAIツールは、既に世に登場していますし、業界で期待されている分野でもあります。しかしながら、先述したように私の仕事上の立場から言わせて頂ければ、この分野のAI活用には否定的なスタンスです。このサイトでも数多く記事をアップしているように、不振商品の炙り出し等にAIは全く必要ありませんし、きちんとした商品分類のルールを決め、正しい数字の出し方・並べ方で帳票を作成すれば、不振在庫等は秒で炙り出せます。(そのことが知りたい方は以下の記事をご覧ください。また、弊社はそのような帳票作成の業務も行っております)

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また、MD業務は”5適(適品・適所・適時・適量・適価)”に代表されるように、在庫消化以外にも売上・粗利益をより多く獲得する!という使命を課せられていますから、在庫だけみているわけではありません。ですから、売上・粗利・在庫を連動してみる・管理する必要があります。これが私が多くの記事をアップしているOTBのロジック(期首在庫+(期間)仕入=(期間)売上+期末在庫)で、いわば会計学の類です。このことがなされていないと、正しい在庫管理のみならず、売上・粗利管理等出来ないわけです。さらに言えば、元々の(事業部等の)予算設計や仕入先の特徴(LT等)以外にも管理しなければならない分野やイレギュラー要素が数多くありますから、安易に現状のAIで、MDの問題点を解決できない!と申し上げているわけです。
しかしながら、このMDの仕事において、直ぐにでもAIで解決してほしいことがあります。それは、先の売上予測の部分です。このことをAIが行ってくれるだけで、MDとしての仕事の精度が上がる可能性は大です。これは、AIというよりもアルゴリズムの部分にはなるのですが、これは難しいことではない筈です。その考え方は、以前記事でアップしておりますので、下記の記事をご覧ください。

AIなしで2・3カ月先の売上予測を算出する考え方


ですが、この売上予測の分野でも難しい面もあります。一つは、新規商品(まだ売り場に展開されていない商品)の売上予測が難しいという面です。これは、MDの初回発注数量の大小を基準にするか、予約販売等を行っている組織があれば、そのデータを活用する等の手法がありますが、(先の売上予測に)かなりのアタリハズレがあると考えられます。
そして、先の売上予測に必須な部分は、(自社の)過去データになるのですが、例えば、自分たちのブランド・ショップの商品分類ルールが適当だと、そのデータの信憑性は損なわれます。また、規模の小さい組織ですと、過去データの信憑性が大きい組織の信憑性よりも劣るという部分です。信憑性の高いビッグデータを持つ他社のデータ活用等も考えられるかもしれませんが、これは、機密保持の観点から難しいことであると考えられます。

ということで、MDにおけるAIの活用を考えてみましたが、MDにおけるデジタル・AIツールの開発で、弊社の力が必要だと!感じられる組織・業者の方がいらっしゃるようでしたら、是非弊社の問い合わせフォームにご一報をください(ただの営業じゃねえか(笑))m(__)m。この度はブログを拝読して頂き、ありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。

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