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皆様は、Chat GPTを使ったことがありますか?私も軽く使ってみましたが、使いようによってはとても便利なツールです。それにしても、AIの進化は凄まじいですね。一方で、このアパレル・ファッション業界で存在する需要予測や在庫分析等のAIツールの精度や、その効果はどうなのか?と言いますと、個人的には大いに疑問を感じています。
しかしながら、喫緊2・3カ月の売上予測は、近い未来にAIで行うことは(ある程度の粒度で)可能である!と個人的には感じています。先の売上予測が出れば、必然的に在庫の予測も出来ますので、このことが実現すれば、アパレル・ファッション小売業の長年の課題である在庫問題の助けとなるでしょう。ですが、現状焦って売上予測等ができるAIツールを導入する必要性は、殆どのアパレル・ファッション小売業でないと断言できます。何故ならば、現状のツールを開発しておられる企業の殆どは、アパレル・ファッション小売業等での実務経験がある人が中心となって開発しているわけではないですし、そのような組織のアドバイザーでついているコンサル等の方々も、MDに関しては実務経験がない人が殆どです。また、時間が経てば、より進化したものも出てくるでしょうし、導入に際する価格も下がってくるものと考えられます。更に言えば、自分たちのブランド・ショップ自体の商品分類に関するルールや販売期間等のルール設定が適当だと、その立派なツールも豚に真珠です。ですから、先ずは現状の自分たちのブランド・ショップのMDに関する管理・分類ルール等の再確認・再構築を、先ず行うことこそが重要です。
実際、ある程度の規模感がある組織ならば、現状の材料でも、(ある程度の粒度で)2・3カ月先の売上予測を出すことは可能です。
(規模感が小さい組織の場合は、予測のブレが大きくなりますが、そもそも規模が小さいのであれば、現場に足を運んでアナログ的な対応をしろ!ということです。)
では以下、2・3カ月先の売上予測を出すには、どのような点に留意したら良いのか?を、ごく簡単にお伝え致します。2・3カ月先の売上予測を出す際に、留意すべきは以下の2点です。
この2点です。では、それぞれに見てみましょう!
これは、このブログサイトや他の連載で記事にしました、商品の追加発注シミュレーションを、すべての商品に行うことになります。このシミュレーションを行う際に、重要となるのは、組織が持つ過去データです。過去データは、自組織の癖を表現したものになります。また、データの母数が大きいほど、その信憑性は高まります。そこから先の手法は、以下の連載に「商品の追加発注シミュレーション」として、記事にしていますので(単品ベースですが)、このことをすべての商品で実践すれば、精度の高い売上予測を行うことが可能となるでしょう。
商品の追加発注について考えよう①
まだ売上実績のない新規商品の売上予測をどう考えるか?、このことが、先の売上予測を出す上で障害となります。しかしながら、これはシンプルに考えるしかありません。それは。
「(MDが行う)発注数量の大小を信じるしかない!」
このことです。要は、発注数量の多い商品は、売れると踏んでいるわけですから、このことを信じるしかない!ということです。更にもう一つ注意すべき点は、新規商品の販売期間をMDがどう考えているのか?ということになります。例えば、5月1日入荷で発注数量が1000点の商品Aがあった場合、6月30日までで売りきる!というMDの意志が込められている!ということになりますから(実際、そうなるのかはまた違う話ですが)、5月・6月で商品Aは完売する!という予測を入れればよいわけです。また、5月と6月に均等に500点ずつ売れるということは、まずあり得ませんから、5月に○○%。6月に○○%の売上構成になる!という予測を入れなればなりません。これも自組織が持つ過去データを活用すると良いでしょう。
最後に、上記に売上予測を行う際に、意識しなければならないことが一つあります。それは、喫緊の売上が売上予算比どのくらいで推移しているのか?ということです。このブログでも何度もお伝えしている通り、MDにおける予算設計は、カテゴリー(品種・中分類等)単位で、売上以外にも粗利・仕入・在庫と行わなければなりません。先の売上予測を行う上で、特に重要になるのが、カテゴリー単位での売上予算比です。ですので、上記に述べた売上予測をする前に、喫緊の売上予算実績からカテゴリー単位で、大枠の売上予測をした上で、大枠の売上予測を加味しながら、上記でお伝えした売上予測を実践する。そこで数字にズレが生じる。数字のズレを修正した結果を、売上予測として活用すれば、その精度は高まる筈です。
遠くない未来、AI等のデジタルツールで、(MDの)仕事が簡素化されるのは間違いない!とは思いますが、焦って効果が出ないデジタルツールを導入する前に、MDの本質を掴み、現状の自分たちが持つツール出来ることを実践してみる!このことが、無駄な経費を削ることにも繋がり、MDの精度を上げることにも繋がる筈です!今回の記事は、これにて終了です。次回もよろしくお願いいたしますm(__)m
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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