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日々アパレルECのデータを確認しつつ、改善のために施策立案を講じている筆者ですが、レポートを作成した際にお客様が釈然としない反応をされることがあります。よくよくお話を聞きますと、メディアで報じられるようなわかりやすいtipsや新機能の実装を求められることが多く、言わんとしている事はわかるのですが、
「その前に出来ていない事が多すぎる」
ケースをよく見かけるのです。「当たり前の事だし安価で誰でも出来る事」だからこそサボりやすい、という感じでしょうか。筆者の経験上、トリッキーな対策を講じても効果が出にくい事が多いので、まずは、
「当たり前の事をコツコツやる」
からスタートするのが良いと考えております。ではどのあたりが出来ていないのか、いくつか書いておきたいと思います。
当たり前の事ができていないランキング1位はこちら。商品ページのtitle・description・alt属性の整備ですね。このブログでも何度も記載しているかと思いますが、とにかく抜けが多いです。商品詳細ページは説明文を記載するので、冒頭の文章が反映されるのですが、それでも検索に最適化しておいた方が良いでしょう。合わせてalt属性の設定も抜け漏れなく、運用のルーティンに組み込みましょう。CSVの編集の際に入力する、というルーティンがあれば対策は簡単です。
商品一覧ページはとにかく抜けが多いですね。search consoleを見ながら、どのカテゴリーが弱いのかを確認しつつ対策を取りましょう。このようなお話をすると決まって、
「ランキング要因では無い」
「既に上位は取れている」
と言われます。確かにランキング要因では無いかもしれませんが、文言が入っていないとそもそも検索でヒットしないケースがありますし、英語表記のみしか対応していないと普通にクリック数は減ります。また、上位表示されているというご意見は「自分のブラウザで検索した際」の表示を言われているケースが多く、検索クエリごとの平均掲載順位を確認しますと、上位を取れていない可能性も多いにあるのです。これらの事を確認せず、作業の優先度を下げていると取れるものも取れなくなりますのでご注意を。
対策の詳細はこちらに記載しておりますので参考までに。
続いてこちら。ECサイトでマーチャント側がコントロールできるのは主に広告とSNSやメルマガのプッシュ回数です。先述しました検索は、対策は可能ですがどれくらい獲得できるかは未知数です。しかし、メルマガなら1通あたりで獲得できるセッションはある程度計算できますから、配信回数次第で期待値のコントロールはある程度可能です。
しかし、「プッシュするネタが無い」からと回数が担保できず、結果機会損失しているケースが非常に多いです。お客様にプッシュするネタは探せばいくらでもありますので、まずはそこを考えるのがスタートです。
以前、そのような記事を書いておりますので、こちら参考までに。記事を見て頂ければわかりますが、めちゃくちゃ無難な内容です。しかし、これが一番効果的なのです。
過去、どんなショップでデータを計測してもこの傾向は覆っておりません。(あくまで筆者が計測したデータ内のお話ではありますが)
また、サイト内で細かいイベントヒットを確認しても、クリック率や経由売上が多い箇所は大体似通ってきます。問題は、それをどれだけ細かく対応しているか?です。いくつか例を挙げてみましょう。
トップページから遷移の多いコンテンツと言えば、「NEW ARRIVAL」「再入荷」「ランキング」が挙げられます。こちらのケースで細かく対応するなら、下記のような感じでしょうか。
一覧ページへ遷移した際に細かくアイテムカテゴリーで絞り込みができるようになっているか?を確認すると、出来ていない事が多いです。意外と「ブランド別」やアイテムの「小分類」、ディティールなんかで絞り込めるようになっているECサイトは多くありません。また、「新着」と言われても、いつ入荷したものなのか?どこまでが新着商品なのか?がお客様に伝わる方が良いでしょう。ECサイト側で入荷日を記載しているケースもありますし、細かくinstagramのストーリーズでプッシュ→ハイライトに残しているケースもあります。
https://www.instagram.com/snidel_official/
一番クリックされやすいNEW ARRIVALだからこそ、細かい点も明確にしておきましょう。
「再入荷」もよくクリックされる項目ですし、モバイルアプリのプッシュ通知やメルマガの件名にしても効果が高い文言です。メルマガ・LINEで再入荷通知を自動化しているから放置されがちなのですが、一回のプッシュで完全にお客様に伝わらないことも想定しましょう。例えば再入荷したアイテムは、一定期間でまとめてメルマガで一斉配信する、という手法を取るのも良いですし、ECサイトでは一覧ページでまとめておき、トップページで商品リストを表示。こちらもこまめな更新は必要になりますが、効果が高い箇所なので重点的に対策しておいた方が良いでしょう。
ランキングもトップページでクリック率が高いですし、メルマガ・プッシュ通知の件名で比較的効果が高いものですね。細かく対策するのであれば、アイテムごとのランキングはタブで切り替えて見れるようにしておくのが望ましいです。
カテゴリーの一覧ページへ遷移した際に、ヘッダー付近に表示させているケースもあるので、データを見ながらどこに設定するのが良いか?を決めましょう。
その他、商品詳細ページでも「関連コーデ」や着画の商品クレジットのリンクのクリック率は非常に高いので、商品画像の中に着画がある場合はその詳細を記載し、リンクしておく事。(モデルの身長の記載も忘れずに)関連コーデを増やし詳細ページに表示させる事、などなどこれらも当たり前の事ですが不十分なケースが多いです。関連コーデの表示ができなかったとしても、コーデを用いた記事を執筆しておき、手動で関連のある商品ページに貼り付けておけば良いのです。
お客様からの商品レビューも、多ければそれだけコンテンツとして充実しますから、購入されたお客様へレビューのご依頼を徹底し、増やす努力が必要です。増えないならせめてスタッフレビューをたくさん書いておくべきでしょう。このように、「当たり前の事」はやろうと思えばいくらでも対策できるものなのです。
よくある「対策されていない内容」について書きましたが、「そんな事わかっとるわ」という内容ばかりではないでしょうか。しかし、これが意外と皆様細かいところまでやり切れていないから数字が上がっていないのです。これの怖いところは、やっておかないと「効果が高そうな施策」の効果を下げてしまう可能性もある点ですね。例えば検索対策一つとっても、販促を打った際に効果を最大化できない可能性が高くなりますので、広告の費用対効果を下げてしまう可能性があるのです。簡単で誰にでも出来る当たり前のことをバカにせず、コツコツやるだけで今より間違いなく効果は上がりますから、出来ていない場合はまずはそれが実現できる運用体制から見直される事をおすすめ致します。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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