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通年(継続)商品の予算設計の考え方

★定番品という商品管理の概念は使わないで

私は常日頃から、”適時”に関する商品管理ルールに「定番品」を使用するな!と訴えています。理由としては、そのような組織は必ずと言っていいほど在庫が過多の状態に陥りがちだからです。仮に使用するのならば、セールをしない商品等と定義を明確にし、1年中店頭で展開する商品を「継続品」「通年品」として設定するのがベターだとお伝えしていますが、基本的には販売期間を区切れない区分を使用するのは、あまりオススメしていません。
何故ならば、上述したような区分を使用すると、販売期間に区切りを設けることが出来ず、仕入予算等を設定するのが難しくなるからです。それでも、メンズショップ(特にベーシックカジュアルやビジネス系)やアウトドア系のショップ等は、「継続品」や「通年品」を使わざるえない場合が多いのも事実です。そこで、今回は「継続品」や「通年品」のMD予算設計の考え方を、簡単にお伝えできればと存じます。

★販売期間を区切ることが出来ない商品の仕入予算を設計するのは難しい?

販売期間を区切ることが出来ない「継続品」「通年品」のMD予算設計(売上・粗利・仕入・在庫)する際に、”ややこしいな~。。。_| ̄|○”と感じるのは、おそらく在庫の考え方でしょう。
例えば、売場の(通年品を展開する)棚やバックヤードを調べた上、更にセンター倉庫在庫と店頭との比率で、(最低限あるべき)通年品在庫金額をはじき出し、そのことを基本にMD予算設計を行う等の考え方がありますが、実際の店頭では、金額は最低限あるべき在庫金額をクリアしていたとしても、SKUによっては欠けている在庫もあったりもするので、更に上乗せの在庫を金額を設定した方が良いの?的な考え方に至ったりもします。ですが、現在記事を書いている私自身ですら、このことが面倒くさいと既に感じております。(本当はこのように厳密に行った方が良いとは思うが。)

では、他にどんな方法があるのか?といいますと、目標の在庫回転を設定し、それを基にMD予算設計をする!という考え方があります。過去のデータを調べた上、目指すべき在庫回転の数字を設定。その数字目標を基に予算設計するということです。在庫回転が年間で0.5改善されるだけでも、組織のキャッシュフロー(資金繰り)は改善されます。しかも「通年品」や「継続品」は基本セールをしないはずなので粗利率も高く、会社組織に大きく貢献することになります。

★通年商品の仕入予算設計の考え方

では、以下ある架空の組織の例をお伝えします。

・通年商品区分のバッグの来期年間売上予算1億円。粗利率予算55%
・リードタイム(以下LT)は半年
・来期期首在庫原価予測3500万円
・今期の年間在庫回転率予測1.3

上記のような組織があるとします。

仮に、売上原価予算=仕入原価予算と設定すると、消化率は100%となります。しかしながら、このケースだと、期末在庫原価も期首在庫と全く同じ金額の3,500万円となります。その場合の在庫回転率は?

→1億円(売上予算)×(1-55%(売上原価率))=4,500万円(売上原価)
→4,500万円÷3500万円(平均在庫原価)≒1.29(在庫回転率)

となり、今期の在庫回転率予測とほば変わらない数字になりますから、これではいけません。来期の目標在庫回転率は最低でも今期よりも目標値は上げたいところです。ということで、今期の在庫回転率の目標を、LTも鑑みて1.6と設定すると、通年商品のバッグのMD予算設計の大枠は以下のようになります。

→1億円(売上予算)×(1-55%(売上原価率))=4,500万円(売上原価)
→4500万円(売上原価予算)÷平均在庫金額=1.6(目標在庫回転率)
→4500万円÷1.6≒2813万円(平均在庫原価目標)

となります。今期の期末在庫原価の着地予測(来期の期首在庫)は3500万円ですから。

→(3500万円+(来期)期末在庫原価)÷2=2813万円(来期の平均在庫原価)
→(3500万円+(来期)期末在庫原価)=2813万円(来期の平均在庫原価)×2
→(2813万円×2)-3500万円=((来期)期末在庫原価)2125万円

となり、来期の期末在庫原価のターゲットを2125万円に設定すると、目標の在庫回転率に近づきそうです。以上のことから、この通年商品区分のバッグの仕入原価予算は以下のようになります。

→(4500万円(売上原価予算)+2125万円(期末原価ターゲット))-3500万円(期首在庫)=3125万円(来期の仕入原価予算)

となり、来期の通年商品区分のバッグの仕入原価予算は3125万円となります。

あとは、LTと現状の仕入タイミングを鑑み、月別の仕入原価予算を作成すれば、通年商品区分のMD予算設計が可能となります。
実際は、期中に入れば(仕入)予算を厳密に守る!というよりは、売上の状況とLTを鑑みながら、商品の追加発注を行うこととなりますが(商品の追加発注に関することは、以下の記事に書いてありますので、そちらをご覧ください。)、通年商品のMD予算の数字そのものがアラートの役割を果たすこととなり、通年商品の在庫が無限に増加していく!といったことを防ぐことが可能となります。

商品の追加発注について考えよう①

この度の記事が、在庫過多でお悩みの組織に対して、少しでも役に立つことが出来れば!と願い、今回の記事は終了です。

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