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2024年秋冬シーズンにおいて、冬商品の在庫不足により売上を落としたという記事を何度か目にしました。
上記記事では、以下の点が指摘されています。
専門店も既存店売り上げを伸ばした店が多かったが、値上げや在庫不足などによって伸び悩んだところもあった。
マーチャンダイザーの立場からすると、シーズン全体の売上・粗利益予算を達成していれば、たとえ単月の売上・粗利益予算を下回ったとしても、必ずしも問題とは言えません。むしろ、過剰在庫を抱えるよりは良いことは間違いありません。しかしながら、在庫不足で売上を落としたとされる多くの組織では、そうではないと考えられます。上記記事は12月の状況を記した記事ですが、ここ数年続く暖冬の影響で冬商品の仕入数量を削減したことが、12月中の冬商品の在庫不足につながったと考えられます。しかし、12月の段階で冬物商品の在庫が不足するということは、MD(マーチャンダイジング)の事前準備が十分でなかったと言わざるを得ませんし、事前準備が不足している組織が、11月以前の売上が好調だったとは考えにくいからです。
どんなブランドやショップにも売上の推移には特有の傾向があります。例えば、多くのアパレル小売業では、防寒アウターの売上金額は12月がピークになり、売上原価のピークは1月になることが多いのが一般的です。補足ですが、12月の売上金額がピークで、1月に売上原価がピークになるのは、1月に冬のセールが実施されるため、セール価格での販売が多くなり、売上数量が増加しやすいという特徴があるからです。(管理会計帳票の見え方は、粗利率が下がり、売上原価増えるという見え方になる。別の見方をすると、売上原価のピークは売上数量のピークと同義と捉えることができる)
リードタイム(以下LT)の短縮が期待できない状況下において、アパレル小売企業は、自社の売上・粗利益推移の特性を把握し、MD予算(売上・粗利益・仕入・在庫予算)を具体的に策定することが必須となります。防寒アウターの場合、売上金額のピークが12月、売上原価のピークが1月であるとします。販売期間の短さを考えると、防寒アウターの新規商品を12月に大量に仕入れるのはリスクが高いです。そのため、11月末に在庫金額がピークとなるように、商品投入・仕入計画を立てる必要があります。(他社商品が中心のショップは、納期コントロールが難しいですから、現状を正しく数字で可視化する必要があります)上述した目標を達成するためには、このブログで繰り返し述べているように、事前の計画であるMD(マーチャンダイジング)の予算策定の精度を、これまで以上に高める必要があります。
今年の夏も暑くなることが予想されており、マーチャンダイザーにとっては、お客様に対して「適品」「適時」「適量」を提供することが、例年以上に難しくなると考えられます。しかしながら、暑い夏が長く続くということを考えると、LTが3か月だったとしても、MDの修正はまだ間に合う部分が多いのも事実です。お客様に対して「適品」「適時」「適量」を提供できず、「販売機会の損失が増加し、売上・粗利の予算を達成できなかった」または「在庫を過剰に抱える結果となってしまった」という事態を避けるためにも、今のうちに見直せる部分は見直し、お客様に対して「適品」「適時」「適量」を提供できるよう努めましょう!ということで、今回の記事は終了です。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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