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「MD視点で決算資料を読む」シリーズ。今回取り上げるのは、株式会社バロックジャパンリミテッドです。バロックジャパンリミテッドに関しましては、昨年も記事にまとめさせていただきました。
また、決算記事とは別に、マーチャンダイジング(以下、MD)の問題点を取り上げた記事も執筆しています。
今回、再度バロックジャパンリミテッドを取り上げることにした理由は、先日某ファッションメディアで公開された社長のインタビュー記事を読んだことに他なりません。
【トップに聞く 2025】苦戦が続くバロック、逆襲の鍵は「復活のギャル」
私が執筆した先述の記事の中で、私はバロックジャパンリミテッドのSCブランドの立て直しは、『社長が先頭に立って改革すべき』という主旨のことを書いていますが、インタビュー記事で触れられていた内容を読む限り、業績立て直しの具体的な策を持ち合わせているようには感じられず、今後現在の経営体制でバロックジャパンリミテッドの業績を向上させるのは難しいのではないかと感じています。ということで、今回の『MD視点でみる決算資料』シリーズは、バロックジャパンリミテッドを再度取り上げます。今回の話の流れは以下の通りです。
①損益計算書の大枠
②既存店売上・客数・客単価(国内)
★MD視点での分析→OTB表
③売上
④粗利・仕入・在庫
では、項目ごとに話を進めていきます。
バロックジャパンリミテッドの過去3年(23年2月期~25年2月期)の損益計算書をわかりやすくしたものが、以下の図になります。
今期(2025年2月期)は、各メディアの報道では赤字に陥ったと伝えられていますが、営業利益(本業の儲け)は黒字です。最終利益が赤字になった要因は、中国事業の損失の影響が大きいようです。
今回の株式譲渡により、中国における不採算店舗のスクラップと商品評価損の影響を含み、25年2月期に投資損失24億3000万円を計上。同社の25年2月期連結業績は、最終損益が25億7000万円の赤字(前期は9億4500万円の黒字)となった。売上高は前期比3.5%減の581億円、営業利益は同58.4%減の8億1200万円だった。
なお、中国事業はマスコミ報道にもあったように、子会社をベルグループに譲渡し、中国事業からの経営の撤退が発表されています。
バロック、中国事業の経営から撤退 ベルグループに子会社を譲渡
MD視点で損益を見ると、粗利率の高さ(2025年2月期は56.9%。国内事業は58.4%)はこれまでと変わらず、前年とほぼ同様ですが、売上の低迷から粗利高は前年を下回っています。バロックジャパンリミテッドは、粗利高の低下を以下のように分析しています。
国内事業は効率的な換金を意識した販売、二次販路の活用等による計画的な消化を図ったが、仕入原価の上昇を吸収しきれず、売上総利益が前年を下回る。(2025年2月期バロックジャパンリミテッド決算説明会資料より抜粋)
上記の文言から、2025年2月期は原価高騰の影響が大きかったと推測できます。しかし、粗利率の高さは過去数年と変わらないため、2025年2月期は商品の値上げを断行せざるを得なかったと推測されます。この値上げが売上にどのように影響したのかを、この後、考察していきます。
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https://note.com/apparel_note/n/n5ab1faff4b61
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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