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以前、上記のような記事を書いたのですが、施策立案をする際にファッション感度が高いブランドにありがちなのが、
「ブランドのイメージと違うのでその施策はできません」
というお断り文句。個人的にこれ自体は悪いこととは思っておらず、ブランドとして「やらない事を決めておく」ことは非常に重要ではないかと。そのルール設定こそが強いブランドを作り上げることもあると思っています。(筆者はマーケティングやブランディングの専門家ではありませんのであくまで感想レベルですが)世の中には節操ないコラボ連発してインラインが売れない、みたいなブランドもありますからね。
しかし、世の中にはこの「ブランディング」を司るという大義名分から、効果測定されないお仕事があったりするのも事実です。本日はそんな、世にも恐ろしい事例について簡単に書いておきたいと思います。
筆者が過去、支援しておりましたブランドにて、明確にやらない事を決めていたブランドがありました。一方はそれでめちゃくちゃ強いブランド作りを実現していたのですが、もう一方で全く効果が出ていると思えなかった事例もあります。下記、概要になります。
【A社】
<やらない事>
ECのよくある提案はほぼ無視される(タグの表示・ブログ・季節に応じた訴求・セールのリマインドなどなど)
・撮影にめちゃくちゃ費用をかける
・結果、広告の当たりがめちゃくちゃ良いから費用対効果が上がる
・もちろんinstagram経由のセッションはめちゃくちゃ多いし経由売上もめちゃくちゃ多い
・SNSで商品画像が定期的にバズる
・リピート率めっちゃ高い
・指名検索は伸び続けている
【B社】
<やらない事>
ルック画像の活用が超限定的且つ、SNS上でのコンテンツを作り込まない。
・instagramの投稿頻度少ない上に経由セッション経由売上はめちゃくちゃ少ない
・指名検索は減少傾向
・広告は検索広告がメインでSNS広告等のバナー広告は費用対効果が悪い
・ルック画像を使ったLPのセッション少ない(商品ページにそのまま送客した方が効果が高い)
※表現が稚拙ですみません。
とまあ、このような感じでした。(他にも細かい要素はたくさんありますが。)A社はとにかくECのサイトコンテンツで「言語化されたもの」を非常に嫌っていたのですが、ビジュアルを徹底的に活用する事で非常に高い効果が出ていました。(ECのアクセスデータからも明白なレベル。)一方で、B社はサイトコンテンツはEC担当側の努力で作り込まれるものの、クリエイティブの活用は限定的で、ブランドイメージに合わないと判断した顧客接点では極力使われませんでした。また、活用する際もそこに集客をかけるような事はしないせいで経由での効果も見込めない状況。(特にSNS)
ブランディングをどう効果検証したら良いか?は正直なところよくわかっておりません。しかし、例えばSNS経由なら、
◯セッション
◯エンゲージメント率
◯経由売上
において、それぞれの昨対を確認した際に伸びているべきかと思うのです。絶対数で目標設定せずとも、昨対を超えていないとその取り組みは評価されるべきではないと考えます。(ブランディングだから数年単位で効果検証しないと、なんて事言いませんよね…。)
そんな訳で、施策に落とし込んだ際に筆者がよくGA4やsearch consoleで作るレポートは下記のようなものです。
・ランディングページ経由のセッション/エンゲージメント率/購入(GA4)
SNSの投稿やルック/キャンペーンページの制作なら、そこからのセッション・エンゲージメント・購入が確認できますのでそちらを確認。キャンペーン等は毎年同じようなものが更新されないケースも多いので比較はできませんが、SNSなら昨対で比較可能なので効果が上がったか?は明白です。
・ページの滞在時間/離脱率(GA4)
LP等を作成した場合、経由売上だけでなく滞在時間や離脱率は見ておくのが良いでしょう。
・累計訪問回数(GA4)
こちらもSNSの際によく使いますが、ブランドに対して好意的になるのであれば自ずと累計訪問回数は伸びるでしょう。(クロスデバイスやSafariだと測りにくいのが難点)
・間接経由(GA4)
こちらも先ほどと同様、Safariやクロスデバイスだと検証しづらいですが見ておいた方が良いでしょう。ブランドに好意的であるなら、直接購買に貢献しなかったとしてもコンバージョンに至るまでのどこかでクリックは発生しているだろうと。
・指名検索との相関(GA4×search console)
ブランドに好意的であるなら(しつこい)、検索行動は発生しますよねぇ…。
・経由売上の初回購入からF2/F3に至ったか?(GA4×BigQuery)
これは計測のハードルが高いのですが、GA4ならuser_idを取得しておき、参照元経由売上×user_idを検出。初回購入したユーザーをカート側で確認し、user_idで突合すれば検証可能です。
・セグメントの重複
こちらもSafariやクロスデバイスだと計測しづらいのですが、広告(配信面による)・検索・メルマガあたりなら多少確認できます。ブランドに好意的なのであれば、検索するしメルマガも登録するだろうという事ですね。
と、これだけ確認しておけば、その取り組みが効果があったかどうか?は流石に測れるでしょうと。(結局いつものレポートとそない変わらんやないか)
冒頭でも書きましたが、「やらない事を決める」事自体は悪い事ではありませんが、そのこだわりで結果が伴っていないなら改めるべきではないかと。「ブランディング」を重視するのであれば、結果として強いブランドに成長するはずですし、その取り組みでエンゲージメントが上がるなら何かしらの効果が出ているはずです。
成功していない取り組みにこだわり続け、目の前の取れるはずの売上を取りにいかないのはただの機会損失なので効果検証はしっかりやりましょう。レポートの作り方がわからないようでしたらご相談ください。→ お問合せ
ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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