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以前、とある専門学校のブランドビジネス発表会の審査員をさせて頂いたことがあるのですが、その発表会で学生が発表するブランドは、どれも個性的でMDの商品面に関していうと、素晴らしいものばかりでした。しかしながら、ブランドのビジネスプラン。特に、MDの数字面の話になると、そのブランド個性は消えてしまい、どのブランドも実際にマーチャンダイジング運用できるのか?というと、そういうレベルのブランドは一つもありませんでした。
その中で、特に気になったのは、人それぞれに個性のあるブランド(メンズ・レディース様々あった)であったにも関わらず、商品の販売期間の設定はすべて一緒。(使っているフォームがすべて同じなので、全てのブランドが1か月単位で商品を変えていく!という不思議さだった)そして、最も気になったことは、MDにおいて重要な部分でカテゴリー(中分類・品種・アイテム等)のカテゴリー名が、シャツ・ニット・カット等とすべて同じであったことが、摩訶不思議でなりませんでした。このことはおそらく、指導教員が自身の経験則を”絶対”と勘違いし、学生にそのことを指導していることに他ならないでしょう。
しかしながら、MDにおける”絶対”というものは、仕事の目的の部分と数字の一部を除けば、ありません。特にMDにおける”適品”の仕事を大きく左右する、カテゴリー設定をどうするのか?は重要な部分であり、これがテキトーでは、お客様の購買行動・心理を反映した品揃えなどできる筈もありません。カテゴリー(中分類・品種・アイテム等)を設計することは、この単位でのお小遣い計画・売上・仕入予算を決めることであり、マーチャンダイザーとしての”意思表示”をするところ。そして、カテゴリー単位で期中のMDをコントロールしていく!という重要な役割を担っています。
前置きが長くなりましたが、今回の記事は、このカテゴリー(中分類・品種・アイテム等)を選定する際に、意識すべきことを以下、お伝えいたします。
まず、カテゴリーはMDにおける仕事でどのような役割を果たすのか?ということを以下、箇条書きでお伝え致しますと。
・(事業部における)MD予算設計時の単位
・(事業部における)期中OTB運用の単位
このことになります。要は、カテゴリー単位で予算(売上・粗利・仕入・在庫)を設計し、期中に入ってもこの単位で運用を行う!ということです。
そして、カテゴリーを選定する際に意識すべき点は?
ということになります。更に意識する点を以下箇条書きでお伝えしますと。
・カテゴリーの定義を具体的に決めておく
・年間の売上構成比が25%以上?のカテゴリーは、更に分類をする
・カテゴリーの設定は15項目以内にすること
あくまで、私の独断と偏見ですが、意識すべきことはこの3つです。
カテゴリーを選定の際に、抽象的でMD/バイヤーの個人の感覚によって解釈が違ってくると、組織のとっての宝であるデータの信憑性がなくなってしまいます。
1例を上げると、大分類項目のアウターの中でブルゾン・コートというカテゴリーを選定した場合、その範囲は広くなってしまいます。人によっては、ショート丈のダウンをブルゾンに選定したり、防寒という観点からコートに選定しまう!等ということが多々発生しますので、その際は、顧客ターゲットに基づくという観点から、使用用途(シーン)や着丈等のデザインを定義し、カテゴリーを選定することをオススメします。
昨今、アイテムに特化したブランド・ショップが増加しましたが、このようなブランド・ショップが注意すべき点は、ここになります。また、アイテムに特化したブランドを立ち上げたわけではなかったが、結果としてあるカテゴリーの売上構成比が突出して高かった場合は、そのカテゴリーを更に分類することをオススメします。
1例を上げると、あるメンズのショップは、特にアイテムに特化したブランドというわけではなかったが、カットソーカテゴリーの売上構成比が40%以上あった。このような場合は、カットソーというカテゴリーを大分類に格上げしても良いくらいで、中分類(カテゴリー)は更に分類する必要があります。何故ならば、お客様の視点で見れば、このショップはカットソーの品揃えが、売場の半分弱を占めている!ということになるからです。その場合は、MDの精度を上げる為にも、カットソーカテゴリーを更に分類することが必要です。
メンズのショップで言えば、そのショップのコンセプトによりますが、Tシャツ・スウェット等と分類する。Tシャツだけで売上構成比が30%以上ある場合は、プリント・無地・柄等とカテゴリーを分類しておけば、お客様のニーズに見合った品揃えが可能となるわけです。また、トレンドで売上構成比が変わるカテゴリーを意識する!ということも重要です。上記の例で言えば、プリント・無地・柄がトレンドで変動するので、そのようなカテゴリー選定をした!となれば、ショップコンセプトを体現しながら、顧客の変わりゆくニーズに対応する!といった品揃えが可能となるでしょう。
改めて申しますと、MDの仕事におけるカテゴリー(中分類・品種・アイテム等)が果たす役割は。
この単位でのお小遣い計画・売上・仕入予算を決めることであり、マーチャンダイザーとしての”意思表示”をするところ。そして、カテゴリー単位で期中のMDをコントロールしていく!という重要な役割を担っています。
ということは、逆の視点でみると、カテゴリーが多すぎると、マーチャンダイザーの作業が増加し、メリット以上のデメリットを産み出してしまう!ということになります。ですので、カテゴリー選定は極力15以内にすることをオススメします。100%÷15≒6.7%となりますから、年間の売上構成比が2~3%しかないカテゴリーは、下の階層の小分類としておくことが良いでしょう。この傾向は、特にアパレル・ファッション小売業の服飾雑貨や生活雑貨にみられやすい傾向ですので、自分たちの(ブランド・ショップ)コンセプトから見える顧客像をもう一度確認して、低い売上構成比のカテゴリーは、統合することをオススメします。
このカテゴリー分類等の話は、正直文章だけではお伝えしきれないことが多々ありますが、今回お話したことは、ECのページ作成にも関わってくることとなりますので、今回の記事の皆様方のお役に立てれば、嬉しく存じます。
この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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