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豊富なサイズ展開は、顧客の購買行動に大した影響は与えない?

★渦中の社長が語る。。。

少し前になりますが、こんな記事が出ました。

 

”ゾゾ前澤社長が語る「ZOZOARIGATO」の真相と新戦略㊦”

https://senken.co.jp/posts/zozo-president-interview-190314

 

上下合わせて読むと、ツッコミを入れたいところは満載なのですが(笑)

このインタビューでは、PB挑戦の難しさが語られています。ですが、ZOZOスーツの計測機能で集めたデータの有効性と、多サイズには手ごたえがあった!ということも語られていました。

 

実際、多くの組織が、このデータを活用したいと考えているのは、間違いないでしょう。
(しかし、データ集めるよりも、それを検証・分析し有効に活用するのが難しい。しかも補完的要素でしかない。なんでも信じるこの業界で、そのことがすぐに活用できるとは思わないが。。。)

 

★不思議発言の連発??

ここで話を戻し、上記のインタビューの中で、ZOZOの社長は、以下のような発言をしてます。

 

”これまでの多店舗展開では在庫を店頭に常備せざるを得ないので、SMLなど「サイズ絞り込み」が効率的でした。EC主体ビジネスでは在庫を集約管理でき、多サイズ展開も可能になる。ブランドにはゾゾタウンのプラットフォームを利用して、多サイズ展開に挑戦していただきたいなと思います。”

 

社長は、インタビューの前編で以下のようにも、語っています。

 

“現在業界のEC比率は約10~20%程度と想定しますが、これが30~40%程度になれば、過剰在庫が減り、セール過多問題の解消も進むはずです。”

(因みにEC売上比率100%のZOZOこそ、新たな在庫過剰問題を創出してしまったが(笑))

一体、何を根拠にこのような発言をしているのか?と感じますし、同時にマーチャンダイジングというものが、全く理解できていないのでしょう。

 

★組織それぞれに、必要なサイズ展開は全く違う筈

在庫過剰問題には、様々な要因がありますが、SKUの多さもその一つです。

 

MDのような仕事をしていて、現場(店頭)からサイズがあれば、もっと売れた!等という声も聞きますが、そのことを鵜呑みにし、御用聞きのような仕事をしていれば、あっという間に在庫過多で、そのブランド・ショップは窮地に追い込まれます。

 

そもそも、ZOZOに出店しているようなブランド・ショップには必ず、ブランド・ショップコンセプト。そして、コンセプトから浮き彫りになる”顧客ターゲット”がある筈です。以前、私も下記のような記事を書いています。

コンセプトは、ショップの命運を左右する?

 

ZOZOの企業理念は、

”世界中をカッコよく、世界中に笑顔を”

 

です。そのことで当初はクールなサイトと呼ばれ、それに賛同するブランド・ショップが集まった筈です。

しかしながら、そのようにして集まったブランド・ショップが、全てマスに売らなければならないブランド・ショップでしょうか?寧ろ逆でしょう。

 

そのようなブランドは、顧客ターゲットを決めている時点から、以外の人は眼中にすべきでないですし、

自ブランドは、(すべての人に)買わせるようなブランドではない!という割り切りも、ファッションビジネスの一つの醍醐味です。

 

 

★豊富なサイズ展開は、購買行動至る一番の理由ではない。

そして、アパレル小売りの売上は6割以上が、レディースの売上です。

 

レディースに定番品等は殆ど存在しませんし、商品そのものがカワイイかどうか。トレンドや季節等の気分で、女子が欲しい商品は移り変わります。
だから、自ずと販売期間も短くなり、投入itemも増える。すると1アイテム辺りに必要な商品量も減るのです。

 

商品1アイテム辺りの数量が上記の理由から少ないままで、豊富なサイズ展開を行えば、サイズ欠品が増え、逆に売上減少を招きます。そして、サイズ欠品を防ごうとすると、在庫量増加のリスクが高まるということです。

 

更に、アパレル・ファッション業界もすてたものじゃありませんから、

 

・デザイン・パターンメイキング
・生地・付属
・着方(コーディデート・トレンド等も含む)

 

その他も含め、これらの複合的な要素で、サイズの大小もそれなりにカバーできます。特にレディースは、その傾向が強いです。

であるにも拘らず、

 

”今までの単なるECプラットフォームから、物作り・MD支援なども提供できる新しいプラットフォームへ進化します。
ブランドには定番品やシーズンアイテムを30~50サイズの多サイズで作ってもらい、1品番で1万~10万枚売ることを目標とします。“

 

すべてのマスに売るブランド・ショップばかりであれば、サイズ展開の豊富さは武器になるかもしれません。
しかし、そうでないブランド・ショップには、寧ろ豊富なサイズ展開は崩壊を早めるナイフにしかなりません。

 

ファッション・アパレル小売とは言っても、組織それぞれに、商品そのもの・ターゲット・価格帯・販売期間等違うわけですから、”最適”はそれぞれ違うのが当たり前田のクラッカー🎉です。

 

ということは💡今回のインタビューで語られていることは、はっきり言って余計なお世話でしかないのです。

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