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最近、AI導入などで何かと話題の三陽商会。
2018年12月期は、赤字でありましたが、そのことを私の友人である深地雅也さんが詳しく書いています。詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
https://note.mu/fukaji/n/n1d43dc1f689a
三陽商会の決算の数字を内容を記事から、簡単に纏めると?
・売上高が前期比5.5%減の590億円
・営業損益が21億円の赤字(前期は19億円の赤字)
・純損益が8億1900万円の赤字(同10億円)
となります。
また、深地さんの記事にも触れられているように、2018年12月期の粗利率は改善されています。
2017年 291億4900万円(粗利率:46.6%)
2018年 285億8300万円(粗利率:48.4%)
深地さんの記事によると、2018年12月期の計画では、百貨店の不採算店舗を45店舗閉めると三陽商会は発表していたということなので、そのことも粗利率改善に貢献しているのかもしれません。
しかし、MD的な視点で見ると、一つ大変気になることがあります。それは。
24億円という在庫を平均在庫とした場合。2018年12月期の三陽商会の推定在庫回転率2.5。(あくまで推測)粗利率48.4%。という数字を用いて考えると。
約116億円の売上が必要な在庫水準になります。前期はその前の期よりも、売上が約34億円減少していますから、この数字が如何に、大きい金額であるかということが、ご理解頂ける筈です。
この問題で、一つ理由として考えられるのが、粗利率がアップしている!という点です。
決算説明会資料を読むと、値入率の改善が、粗利率アップに功を奏した。旨のことが記載されています。
値入改善は好ましいことです。
しかし、値入改善が当初の想定より良くなると、逆に仕入点数が増加するというリスクがあります。
上記の件や他の要素も絡み、必要以上の仕入れを行い、在庫消化に必要な施策(セール等)をしきれず、在庫が増えた!という見方ができます。
ですが、本来このような状況の時。組織の損益計算書は黒字になりやすくなります。しかしながら、そのような組織は、次年度の仕入削減・キャリー品在庫消化・減損処理等で、必ず収支が悪化し、場合によっては赤字に陥ります。
(アパレル小売業では、このような組織が多い)
ということは💡三陽商会の場合。今期の黒字化というよりも、さらに深刻な赤字に陥る可能性が高い!とも推測されます。
(しかし今期は、決算月変更による変則決算になっており、なんとも言えない状況ではあるが。。。)
因みに2017年12月期は、2016年12月期よりも、約50億円の在庫を削減し、売上は下がっていますが、粗利率を4%改善し粗利高は2016年12月期を上回っており、MDの数字面では、随分と改善の兆しが見えていたのですが。。。
(2016年12月期から、バーバリー関連の事業の売上等がなくなる)
今回の在庫増加は、MD予算設計(特に仕入関連)も含めた、期中の運用がうまくいかなかった。ということは、在庫の残り方と粗利率をみても間違いないでしょう。
しかしながら、この金額の在庫増加は、上記のこと以外にも理由があるように思われます。
(事業部が多いので、全ての組織がそうではないだろうが。。。)
おそらく、AI導入したところで何の解決にもなりません。
在庫が増える理由は、前述した理由以外にも、何点か考えられます
① 商品そのもの問題
② 生地・生産等ミニマムの壁
③ 展開SKUの多さ
その他にもありますが、上記のことが考えられます。
次回のブログでは、MD予算設計や期中運用以外の理由を考察し、何故三陽商会は、この1年で24億円もの在庫が増えたのか?を検証していきます。
次回もお楽しみに。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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