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MD・バイヤーにとっての一番の重要な仕事と言えば「商品発注」です。
大袈裟に言うと、商品を発注した時点で後戻りできず、どんなに販売側が頑張っても「売れている商品」の発注量が少なければ売れず、「売れない商品」の発注量が多ければセールするしか方法がないとも言えます。ということは?ブランド・ショップの未来の売上は、発注した時点でほぼ白黒がついている?ことにも繋がります。
そのシーズンの売上をほぼ左右?する商品発注という仕事ですが、実際この重要な仕事を、なんとなくクリスタルで行ってはいないでしょうか?
店舗数が急激に増えたりして、過去の数量の感覚と全く違うものになった場合。急にチキンハートな発注になるMD・バイヤー等がこの業界には多く存在しますが、(逆のケースもあり急にバブリーな発注をする傾向にある人もいる。)以下算数を用い架空の組織で発注数量に関して考えてみることにします。
・売上100億。50店舗展開
・パンツの売上構成30%。標準パンツ展開item数40。年間160item投入。販売期間3か月。
・パンツ1アイテム辺りSKU数18SKU(3カラー×6サイズ)。平均1点単価5000円。
この場合パンツの年間売上金額は30億円です。ということは?30億÷5000=60万点。の販売点数=仕入点数が必要となります。よってパンツ1アイテム辺りの平均発注数量数は?60万点÷160=3750点。1アイテム辺りの発注数量平均は3750点ということです。(今回は追加発注は考慮しない計算にします。)
更にこの3750点をSKUで割ると??3750÷18≒208点。ただ店舗数が50店舗あるのですから。208÷50≒4.2。1店舗に1SKU辺り4.2本分の商品が行き渡るということになります。
しかも3カラー展開だとすると。当然同じ割合で色が売れる筈もない。仮にAカラー50%。Bカラー30%。Cカラー20%。の発注にした場合。Aカラーは店舗に6点以上行き渡りますが、Cカラーとなると実は店舗に1点行き渡らない計算になります。
実は目先だけの3750点。などという数字だけで、数量の大小など判断してはいけないということです。
MD・バイヤーには「センス」が必要??と言われるようですが、本当に必要なセンスは発注センスです。売れそうなものはより多く!売れなそうなものは先に繋がる要素があれば、実験的に。先に繋がる要素が何もなければ発注自体しない。そういうドライな決断が必要です。(商品に対する変な愛着・思い入れなど必要ない!)
また、アイテム・色・サイズ等の発注数をフラットにするMD・バイヤーはどんなにセンスが優れていたとしても、組織貢献度からみれば「へっぽこ」MD・バイヤーということになります。
上記の例で仮に売れるものが、平均数量の5倍以上売れるとすると?初回発注で2万点前後の発注数量が必要になります。また逆に売れなそうな商品は1店舗にSKUがすべて行き渡らないばかりか、場合によってはミニマムクリアできないケースもあります。
しかしながら、事前にそういった発注数量のシミュレーションが出来ていれば、各取引先との連携や店舗の位置づけによって品揃え数の調整。また数量によって仕入先を考察するなどの密な戦略が組める可能性があります。
この業界では、数字に対してなんとなくクリスタルなイメージしか持ち合わせていない組織・MD・バイヤーが多くいます。しかしながら、算数で数字を分解するだけで見えてくるものが多々あります。
MDにとって発注という仕事は、「発注したらそこで試合終了だよ!!」という極めて重要な仕事です。
だからこそ、発注数量のイメージとその責任の重さをこの業界のMD・バイヤーが考える。きっかけになれば幸いです
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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