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以前書いた下記の記事が好評なのか?はわかりませんが(笑)
”算数を使って考えよう!”というブログの第2弾をお届けします。
今回のテーマは、”ミニマムロット”です。
・ミニマムロットとは?
→”ミニマム”は最小限。最小。と意味になります。
”ロット”とは、一区画・一口・一組の意味で、同一仕様の製品や生産単位として、まとめた数量のことです。
つまり、生産・仕入の最小単位のことを言います。
アパレル・ファッション小売業界の仕事に携わっている方ならご存知のことだとは思いますが、商品の製造・仕入をする際には、最低限の数量を発注しなければ、仕入することができない!ということが多々あります。
何故最低限の数量を発注しなければならないのか?ということは、専門家の方に任せるとして
アパレル・ファッション小売業界においては、オリジナル商品を製造しようとする際には、100枚以上のミニマムロットが必要!また、海外生産になると、1,000枚以上のミニマムロットが必要などと場面に遭遇します。
ということは例えば、MDがこの商品は10枚だけ仕入すれば良い!と感じても、ミニマムロットの影響で、100枚仕入しなければならない!言い換えれば、不必要分を90枚仕入しなければならない!ということになります。
アパレル・ファッション小売業界で、在庫が多く残る要因は、多々ありますが、このミニマムロットも在庫が残る要因ともなっています。
しかしながら、前回の算数を使って考えよう!の記事でも述べたように、ミニマムロットがあるけれども、そのことでどのくらいの在庫数量が残るのか?ということが、前始末できていれば、在庫消化の方法と、そのことによって協力してもらえる組織等に、どのような準備をして貰えればいいのか?ということを事前に具体的に準備することが可能となります。
以下。端折って例を示すと。。。
・売上100億円
・アウターの年間売上構成比15%・アウターの1点単価平均20,000円
・アウターの年間投入アイテム数23・1アイテム当たりの平均カラー数3
・1カラー当たりのミニマムロット数300点
の組織があるとします。
すると。アウターの1カラー当たりの平均必要数量は?
→(100億円×15%)÷20,000円=75,000点(年間必要数量)
→75,000点÷23=約3,260点(1アイテム当たり平均必要数量)
→3,260点÷3=1,087(1カラー当たりの平均必要数量)
という数字が算出でき、これならばすべての商品でミニマムロットはこなせそうです。
しかしながら、果たして本当にそうなのか?
例えば、売れない?あまり必要でないアイテムが、アウターの23アイテムのうち20%。約4アイテムほどあるとする。
そのあまり売れない商品は、平均必要数量の30%とする。
また、3カラーのうち売れるカラーを60%。まあまあのカラー30%。売れないカラーを10%の売上構成だと設定すると。。。
→1,087点×30%=約326点(あまり売れない商品の平均必要数量)
→326×60%=196(売れるカラー)
→326×30%=98(まあまあのカラー)
→326×10%=33(あまり売れないカラー)
ということがわかります。売れるカラーでも104点の不必要在庫。まあまあのカラーで202点。あまり売れないカラーは267点ほど不必要仕入が発生するということがわかります。
これが約4アイテムくらいありますから、約2,000点以上の不必要商品仕入数量が発生するということがわかります。
実際、シミュレーション通りにいくかどうかはわかりませんが、このようなことが事前に理解出来ておけば。。。
・仕入先との数量シミュレーションを使った交渉。
・自社商品と他社仕入商品の使い分けや、カラー数等のMD設計の見直し。
・不必要在庫の商品処理方法→他事業部やアウトレットとの交渉他
等。他にもある筈ですが、ミニマムロットによる在庫問題で解決できるものも事前に理解出来る筈です。
この業界は、中小企業は感覚重視。大手企業は生産性を上げない指標・指数をやらたと使いたがる業界ですが、小売業において、そんなに難しい計算は必要なく、算数である程度の前始末が可能!ということを理解して頂ければ幸いです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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