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沈黙する顧客ほど怖いものはない

★アパレル・ファッション小売業界におけるB品とは?

皆さんが購入した商品が「B品」だったりしたら、がっかり_| ̄|○・・・”こんな店で二度買うか!!”なんて経験ありませんか?

 

私たちの業界でいう「B品」とは、いわゆる新品でありながら、どこかに欠陥のある商品のことを指します。

B品といっても、色んなB品があります。以下に記してみると。。。

 

・法律上問題のある素材などを使っている商品。
・素人目線で見ても、すぐにわかる欠陥商品。また、修理不可能なもの。
・上記において、修理可能なもの。
・商品として欠陥商品までの部類に入らないが、プロ目線で見てもジャッジの難しいもの。

(例)色ブレ・サイズブレ・ピリング(毛玉)が発生しやすい。など他にも様々あります。

 

 

 

★プロ目線ではB品ではないのだけれども、顧客から見れば。。。

今回考察してみたい項目は、プロ目線で見てもジャッジの難しい、欠陥商品ではないけれど・・・・の部類に入る件についてです。
ここで、私の友人であるA氏のとった行動について下記に述べたいと思います。

 

 

”私の友人A氏は、あるセレクトショップの商品責任者で商品に関してのことすべてのジャッジを行っていました。当時、彼のショップで空前の大ヒットを飛ばす、ウール素材のアウターがあり、あまりに売れるので商品の追加の判断をしました。全く同じ生地が完売していたので、彼はその生地よりクオリティの高い生地で商品を追加しました。サンプル・納品前検品では特に問題もおこらず、その追加商品は前回を上回る売り上げの勢いをみせていました。

 

入荷から2・3日経つと、店頭から連絡があり、「人気商品で試着が多いためではあるが、それにしても1・2回試着するとあまりに毛玉ができる。」との報告がありました。彼は店頭に行って、その商品を確認すると確かに、彼本人が不快に思うほど毛玉ができていることを確認しましたが、「ピリングができやすい」という、アテンションタグもつけていたし、プロに聞いても「許容範囲」であるということで問題ないとの見解をもらいました。ましてや、過去に例を見ない売れ方で、彼自身はその状況から「目をそむきたい」との感情が生まれたそうです。

 

しかし、彼はその店頭で1時間くらい熟考したあと、その全商品の回収(引き上げ)の決断をし、その日のうちにまた別の生地で商品を再生産することを決断しました。その決断に周囲のメンバーはこぞって反対しましたが、彼はそれを実行しました。”

 

(引き上げた商品は、顧客に事情がわかる説明書きをし、許諾をもらった上で、定価の2割ほどOFFで別の場所で販売したそうです。)

私はなぜその時その決断をしたのかを彼に問いました。そうすると、彼はこう答えました。

 

「あの商品はあまりによく売れるので、全商品回収するのは本当に痛かったが、まずは自分のブランドのアイデンティティを考え、(比較的高単価の商品を売っていた)そして売れる商品ほど、より多くのお客様にその商品が行きわたることになる。そうなれば、のちのち自分のブランド・ショップにお客様が足を運ばなくなるだろうと考えた結果なんです。」・・・と。。。

 

彼は、「また当時の会社が1ッ月で同商品を再生産する土台があったので、運が良かった。」とも言っていましたが、私は彼の話しを聞いて本当に関心しました。

 

★もの言わぬクレーマーほど怖いものはない!

実は、小売業において何よりも一番怖いのは、サイレントクレーマーを増やすことです。

 

上記のような商品を掴まされた顧客がクレームを言ってくれることは、組織にとって実はありがたいのです。しかし、クレームを言わず、”こんな店で二度と買うか!”というサイレントクレーマーを増加させることが、実は一番怖いことなのです。そういう人が増え続けると原因もわからないまま売上が下がります。

 

会社・ブランドによりそれぞれ事情が異なるので、彼の下した決断が正しいかどうかは、解りません。ただ目先の売上でなく、ブランドのアイデンティティ。そして顧客の立場に立って物事を考え、何年も先を見越した彼の決断は、「お客様目線」で見るという本質を捉えているように私は思います。

 

このようなB品の問題はこの業界に携わっていると、意外と身近に出てくるものです。そんなときに、皆さんだったらどういう決断をしますか?

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