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2月の春夏の立ち上げの時期、よく耳するのが、
「店頭の商品が埋まってこない。」
という声です。
今年は、超のつく暖冬であり、旧暦でいう旧正月も1月25日であるので(旧暦の1月は春の始まりである)、例年よりも春物立ち上げを急いだ方がよいのでしょうが、2月中頃を過ぎても店頭が、新商品で埋まってこないと、現場(店頭)の方が不安がり、冒頭に申し上げた「店頭の商品が埋まらないと売れない。」等の声が多く出てくるのでは出てくるはずです。
上記のようなケースに陥ると、MD・バイヤー等は焦り、急遽商品を調達などして、店頭を商品で埋めたがいいが、4月上旬の頃には逆に商品が店頭から溢れてしまったなんてことにはなりはしないでしょうか?
本当に「店頭を商品で埋めること」が売上にダイレクトに直結するような、優先順位の高いものなのでしょうか?
ここからは、私の過去の体験談を書きに綴って行きます。
私は10数年前にあるブランドを任されました。ブランドの立ち上げから半年だったため、当然売れている筈もなく、引き受けてから2年、まわりの仲間と様々な努力を重ねましたが、すぐに結果が出ることはありませんでした。
そのブランドを引き受けてから2年以上経ったとき、徐々に店頭スタッフや私のまわりスタッフの努力もあり、徐々に売上を伸ばしていました。
ところがある日突然、売上のベクトルが急激に上がった時期がありました。それはどうしてかというと、たった一つの商品がとてつもない大ヒットを飛ばしたことでした。
そのおかげである店は前年比が200%を超え、会社にもそのブランドの存在価値がやっと認められた瞬間にもなりました。逆に言えば、目先の結果だけで判断せず、我慢してくれた当時の会社に感謝です。
その商品は売り場の陳列量の1%に満たない商品です。しかし、日々の売上構成が25%以上を超える大ヒットで、それに付随して他の商品の動きも急速によくなりました。
その商品を私が住んでいる近く駅で、3人着ている人を見かけたときに感動したのをよく覚えています。
では、そのようなことがなぜ出来たのかというと、その商品だけ極端に発注数を多くしていたということです。
当然仕入予算というものが存在するので。
ある一つの商品を極端に発注するということは、制作・仕入する商品・アイテム数自体を減らさねばなりません。
例としては、予算1,000万円で20型発注すると、1型辺りの発注金額が50万。5型発注だと200万。私は例でいう5型の方を選択したということで、そうなると店頭も商品で埋まらない可能性が高くなりますし、特に古い頭の幹部・作る・仕入側等の人間からは抵抗を受けます。
私はアップル信者でもなんでもありませんが、ジョブスが生きていた頃のアップルは商品数・SKU数が極端に少なかったにも関わらず、時価総額では、日本の全家電メーカーを合わせた時価総額よりも勝っていました。
(ジョブスなきアップルはアップルウォッチやサイズ・色展開等SKU展開が増えましたが・・・)
ここで大事なのは!
「お客様が欲しがる商品を最適な量を提供」すること、そのために必要な在庫金額を積むこと。
このことであり、店頭を商品で埋めブランドイメージを保つのは優先順位から言えば、上位ではないでしょう。
むしろ、無駄な商品仕入・開発を減らした方が、無駄な在庫・労働・時間を減らすことができ、「お客様が喜ぶ商品開発」に近づくところが多い筈です。
「店頭を商品で埋める」ことが重要でないとは言いませんが、一度顧客側からみた優先順位を考えて、自分たちのブランド・ショップの方向性・行動指針を見直すきっかけにこのブログがなったら幸いです。
但し今年に限って言えば、新型コロナウィルスによる、中国生産の商品の納期遅れが気になるところですが。。。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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