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★在庫問題を独断と偏見で考える
ここ最近、在庫問題。とくに廃棄の問題が語られることが多いので、今回は私の独断と偏見でこの問題を語って行きたいと思います。
本当にありがたいことなのですが、ここ数年で色んな企業・組織の方々と仕事をさせて頂きました。
実を言いますと、私のサラリーマン時代から現在の仕事を行うようになってからも、商品を過剰在庫を廃棄する組織に当たったことが殆どありません。
(ある中国の企業は、どうしようもない状態でその選択をせざるえなかったが。。。)
ですので、ここ最近騒がれている商品の廃棄問題がピンと来ないのが現状です。ですが、多くの現場で在庫が積み上がっている現場をみたのも事実です。
商品を過剰に余らせてしまう責任は誰にあるのか?というと。私の立場から言わせてもらえば、その多くがマーチャンダイザー(以下MD)にあると言わざるえません。
何故ならば、MDには。
この2つがあるからです。
私は、常々このブログで”売れる分だけ仕入れる”ということが、MDにおける基本だということを申し上げておりますが、商品のミニマムロットの問題など、商品が余ることがわかっていても仕入せざるえない!ということも理解しています。
今回は、すべての組織・人へ向けて参考になるかどうかといえば、そうではないですが、ある例を基に、MDの視点で在庫問題を考えていきます。
あるアパレル・ファッション小売業のプロパー事業部の1年での数字は以下の通りだっとします。
(例)
・売上100億円。
・値入率70% ・粗利率55%
・年間の売上原価÷仕入原価が90%
このような組織があったとします。
因みにこの組織の年間のOFF率は約33.3%OFFです。
このケースでは、1年で残してしまった_| ̄|○と言える、残在庫は5億円の在庫原価になります。
仮に、この組織のアウトレット(以下OL)事業で、この残在庫5億円を次年度粗利率30%で翌年完全消化という設定にすると。。。
年間のOFF率約57%OFF。年間売上約7.1億円の売上になる!ということが言えます。
今回。この組織のOL事業の標準売上が2億円。という設定をした場合。約3.5店舗分のOL店舗が必要になる!という数字が出てきます。
このように、事前にある程度の想定数字を事前にはじき出しておけば、OLの出店基準にもなりますし、どのように在庫消化し利益を出すのか?という前始末になります。
ですが、さすがに色・サイズ欠けが多い等の問題を多く抱えている残在庫の消化が、上記の計算通りには行くとは限りません。また上記のケースですと、4店舗OL店を出店した場合は、商品が足りませんし、OLの標準店舗の売上設定を3億円に上げた場合には、更に商品が足りなくなります。
この足りない分を補う商品が、所謂専用商品として考える。そして、MDの予算設計をするということになります。
OL専用商品は、何かにつけて悪く言われることも多いですが、工場等の生産側の視点で見れば、助かることが多いのも事実ですし、小売側にも多くにメリットがあります。
表面上の知識だけでOL専用商品を批判するのも私はナンセンスだと感じています。
問題なのは、OL専用商品のMD予算設計等、何の前始末もせず、自分たちの目先の売上だけ追って、OL商品を作り込むことが問題なのです。
ですから、このことも含めて、組織全体で利益の創出・在庫消化を含めたMD戦略を考えるべきなのです。
では、次回は今回のケースの組織の場合。前始末以外どのようなことが重要なのか?ということを考察していきます。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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