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MDの視点で在庫過多問題を考える~後編~

★前回のブログの振り返り

前回のブログでは、ある架空の組織を例に在庫問題を考察しよう!ということを書かせてもらいました。

MDの視点で在庫過多問題を考える~前編~

ある組織の例は以下の通りです。

あるアパレル・ファッション小売業のプロパー事業部の1年での数字は以下の通りだっとします。

(例)
・売上100億円。 
・値入率70% 

・粗利率55%
・年間の売上原価÷仕入原価が90%

そして、このケースでは年間5億円の在庫原価が残り、この残在庫を次年度粗利率30%で、アウトレット(以下OL)事業で完全消化という設定にすると。。。

年間のOFF率約57%OFF。年間売上約7.1億円の売上。OL店舗の標準売上を2億円に設定すると、約3.7店舗のOL店舗が必要になる。4店舗を出店すると商品が足りない!(その足りない分がOL専用商品の枠になる。)

ということでした。そして、このことを事前に前始末する!ということが重要!と述べさせていただきました。

 

★統合的なMD戦略が必要

では、仮にこの組織をこの想定に近いところで運営するにはどのようなことをすべきなのか?ということを以下箇条書きで記載しますと。。。

・プロパー事業部の残して良い在庫金額の設定
・上記の設定を超えた在庫を残した場合のプロパー事業への罰則
・OL店の店長に価格裁量権を一部与える(色・サイズに問題ありの商品。タイム・ワゴンセール等)
・OL専用商品の精度の高いMD設計
・これらのことをしても処理できない商品の処理方法・金額の設定
(バッタ屋さんにひきとってもらう額の設定)

のような、統合的なMD戦略・運営が必要になります。

また、これら以外にも、そもそもの組織としてMDの商品管理の精度を上げる!等こともあります。

 

★一番の問題は人の問題

そして、一番解決しなければならない問題は人の問題です。

特に組織が大きくなると

”もうこの在庫。うちの管轄じゃねえから知らんし。。。”

のような感情が組織全体に蔓延すると、どのような最新テクノロジーを導入を導入しようが、在庫過多の問題は解決できなくなります。

大事なのは、組織全体が当事者意識を持ち、問題共有をすること。そして、改善を素早く実践することのできる体制を整えることが、在庫問題を解決をすることには重要なことなのです。

 

★自分たちの組織に見合ったMD体系を

今回のある組織の例は、この読者の皆様に当てはまらないケースが多いことだと思いますが、在庫問題を解決するには。

・商品の感性・商売勘性などの感覚部分と算盤勘定の勘定の部分の両立

・事前の準備。前始末の重要性を理解すること

・事業部単位ではない、組織全体を統合して考えるMD戦略

・人の問題を把握し、解決策を講じること

このことを意識した上で、自分たちの組織のとっての”最適”のMD戦略。在庫に関するルールを構築してもらうきっかけにしてただければ幸いです。

綺麗ごとや空想を述べることは簡単なことですが、まずはできることから地道に一歩ずつことを運ぶ。このことが大事になります。

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