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よくメディアや識者の記事などで目にする言葉に”消化率”という言葉があります。この消化率という言葉を簡単な数式にしてみると。。。
このことになるのでしょう。
例えば、100点仕入をした商品が90点売れれば、その商品の消化率は90%ということになります。当然のことながら。消化率は100%に近い方が良いに決まっていますし、高い消化率が導き出せれば在庫過多問題などという問題は起きないのでしょう。
しかしながら、この”消化率”という言葉は危うい言葉でもあります。
特にメディアで
”●●組織はプロパー消化率が高い!その取り組み”
などという記事が出ると、そのことを鵜呑みにし、真似ようとして失敗する組織も出てくる危険性があるので、今回は”消化率”という指標が持つ危うさを記事にしていきます。
メディアの記事で
”AIの導入により、在庫消化率がこの1年で85%から90%に上がりました!”
という内容の記事を見かけたりします。
これは、組織軸で見た消化率のことを謳っているのでしょうが、そもそもこの1年って?一体どの1年のことを言っているのでしょうか?具体的な販売期間を明示してくれないことには、この数字を鵜呑みにすることはできません。
(そもそもホントに1年なのか?どうかも怪しい)
通常組織軸での消化率を見る場合は、その組織の決算期を基準に見る場合が多くなります。
この業界では多くの組織が、2月末決算を採用していますが、その場合は、3月1日~翌年の2月28日のという期間設定になります。
そのように、具体的な期間を明記していない消化率というものは、当てにしてよい数字なのか?疑問に感じるところです。
また、上記の記事を事業部単位で捉えたらいいのか?企業組織として捉えたらいいのか?ということで全く意味が変わっていきます。
仮に、このことがアウトレット事業ではないブランド事業部の数字であれば、好ましいことかもしれませんが、このことを企業単位で見た場合は、この企業の在庫が増大している!ということが言えます。
例えば、1年での(期間は決算月ベース)売上100億円。粗利率50%の企業の消化率が90%だった場合。
(この場合の消化率の計算式は(期間)売上原価÷(期間)仕入原価。という計算式を用いています。詳しい計算は省きます)
すると、在庫は1年間で約5.6億円の在庫が増加したということになります。
これでは、手元のキャッシュもその分減りますし、企業単位でいう決算月ベースの1年での消化率が90%だと、その組織は窮地に陥っている可能性が高いのです。
(1年で急速に出店していれば、この在庫増加も納得できるが。。。)
また、1年(期間は決算月ベース)で見た場合。消化率が100%を超える企業も出てきます。
このケースで消化率が100%を超えている組織は、前年に多くの在庫を残した企業に多く見られるケースです。要は、期間内で販売数以下の仕入しかしていない!ということになります。
そのような場合は、前年の在庫をセール等で在庫処分している場合が多く、粗利率が下がります。そして最悪の場合は、その年の決算が赤字に陥るということになります。
組織軸で消化率を考察する場合。その前提条件をしっかりと確認しないと、消化率が高くでも組織にとっては好ましくないケースが多々ある!
ということがご理解頂けたでしょうか?
次回は、商品軸でみる消化率の危うさ。そして、人気商品は消化率が高いと逆に良くないケースがある!ということを記載していきます。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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