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前回のブログで、
”新システムを導入することが、アパレル・ファッション小売業が抱える諸問題。特にMDの問題を解決する切り札となりえない!
ということを断言しました。
その理由として。
① MDに関する商品管理・分析ルールが曖昧・適当。
② 商品伝票一致の法則が為されていない。(物流関連の管理が適当→システム上の在庫の数字が出たら目)
この2点を解決しない限り、新システム導入をしてもMDばかりか、組織全体に何も利益をもたらさないということをお伝えし、前回の記事では①に関してのことを記述しました。
今回は、
② 商品伝票一致の法則が為されていない。(物流関連の管理が適当→システム上の在庫の数字が出たら目)
この問題について考えていきます。
まず、この”商品伝票一致の法則”とは?
”商品を出庫・入庫する際は、商品と伝票が一体となっている。また、システム上の数字もそのことが正確に反映されている。このことです。”
ですが現状は、システムの在庫関連の数字と実際の在庫が全然一致していない!このような状態になっているところがあります。
このような状況の中では、MDは粗利・在庫コントロール等の仕事に支障をきたします。
では、何故このような状態になっているのか?と言いますと、あくまで私の独断と偏見ですが、3つのこと考えられます。
その3つとは?
A 入庫・出庫処理の際に何等かの理由で伝票と商品が一致になっていない。
B 配送中の商品のことを加味していない。
C 事業部間の商品移動のルール・処理に問題がある。
このことです。
まずはAに関することです。
このことでよくあることは?店に商品を急いで納品したいがために、入庫処理を後回しに商品だけを店に先に届ける。このことです。
そのことで店は助かるのですが、出庫処理や入庫処理を後回しにすることで、一時的にシステム上の在庫の数字が事実とズレます。そして、そのことが繰り返し行われると、人間がすることですから、当然ミスが出ます。
積もり積もったそのミスは、結果的にシステム上の在庫関連の数字が信用出来ないものになってしまう!ということです。
このことを改善するには、商品の入庫・出庫に関する業務マニュアルをしっかりと作成し、実務者にそのことを周知徹底させる必要があります。また、そのことだけではなく、商品チームと物流倉庫の相互協力が必要となってくるので、事業部のMDスケジュールを作成しておくことが重要です。
次はBです。
よく物流倉庫からショップに入荷する商品の伝票を切った段階で、その商品の在庫はショップの在庫!となる組織があります。このケースだと商品はまだ物流倉庫にあるのに、商品はショップの在庫となってしまいます。
また、トラックで輸送中の商品もショップ在庫としてカウントしなければなりませんから、このことで棚卸作業に混乱と支障をきたし、帳面上の在庫とシステム上の在庫が全く違う!こんなことになります。
このようなケースの場合は、積送在庫という概念を入れシステムに反映させることが重要になってくるでしょう。
最後にCです。
同じ事業部間での商品の店舗間移動というものは、基本問題はないでしょう。
(但しABの問題はこのことに付随するが)
しかしながら、この業界では小売りと卸を両方行っている組織や、プロパー事業部とアウトレット事業部(以下OL)と事業部分けしている組織が多くあります。
この事業部間の商品移動や在庫管理をする際に多くの混乱・問題が発生しています。
こうした事業部間の商品移動で発生する問題を解決するには、組織全体として
・作業の取り決め(OLに商品動かして良いルール。卸と小売りの相互協力等)
・在庫区分の明確化(事業部コード・同じ倉庫内での商品管理等)
・責任の所在の可視化
等、取り決めを具体的にしておかないと、システム上の在庫と帳簿の在庫が合わなくなるばかりか、組織全体として、正しい売上・粗利・在庫コントロールが出来なくなります。
最後に、テクノロジーの進化は、今組織が抱えている問題点を解決してくれる手段となりえますが、その前に人が決めるルールがしっかりと定義づけられていないようだと、せっかくお金をかけて導入した新システムも”豚に真珠”にしかなりません。
このブログが新システム導入を考えられている組織の何かのお役に立てれば幸いです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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