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ここ数十年の気候変動。とくに昨年の異常ともいえる暖冬によって多くのアパレル・ファッション小売業のMD戦略の見直しが迫られているのは周知の事実です。
(コロナウィルスに関しては想定外すぎるが。。。)
しかしながら、アパレル・ファッション小売業界も気候変動を放置していたわけではなく、想定の事態を越えた気候がここ数年続いていて、更に見直しを迫られているといったところが事実です。
そのような状況の中で、ファッションマスコミで現在盛んに叫ばれているのは、”ステイブル商品”の拡充です。
”ステイブル”という言葉の本来持つ意味は?
”「安定した、不変の」“
という意味になります。
しかしながら、ファッションマスコミでいう”ステイブル商品”は。
”季節や流行に関係ない基本的で主要なアイテム”
になるのだそうです。というよりも、素直に定番品・継続商品といった言葉で伝えた方が多くの人にわかりやすく伝わると思うのですが。。。意味もなく無駄に英語を広めたがるファッションマスコミに本気で業界を良くする姿勢があるのだろうか?と疑問を感じざるえません。
しかも、ファッションマスコミが紹介する”ステイブル商品”は実に曖昧で、長くなった夏もセールしないで売ることのできる盛夏・晩夏商品。1年間通じて店頭に展開する継続商品がごちゃ混ぜに紹介されています。
また、EC専業ブランドは半年間で商品を売りきる必要がない!などと言い、MD的にはナニイッテルカワカンナイ?としか言いようがありません。
(こういう姿勢だからEC専業のブランドは在庫過多に陥りやすい)
盛夏・晩夏にセールする必要のない!商品を強化するのは、昨今の気候を考えても私も同意するところではありますが、そのようなことは殆どのアパレル・ファッション小売業で理解されていますし、私の知る限り7・8・9月の売上が一番高い!というブランド・ショップも存在しています。
但し、1年中売れるような継続商品を増やせば、アパレル・ファッション小売業界のMD問題の解決になるのか?というと私はそうは思いません。。
確かにメリットもあります。継続商品が多くなれば、この業界で言うミニマムロット問題が少なくなります。1年中売っている商品なのですから、販売数は当然多くなる!ということからです。そのことで仕入原価率削減にも貢献することでしょう。
また、MD・バイヤーは、どのような商品も“ステイブル商品”になりえるような気概を持って、MDにおける商品面の仕事に真摯に取り組むべきでしょう。
しかしながら、この業界の60%以上の売上金額を占めるレディースで継続商品なるものを増やせば、寧ろ売上が下がり在庫が増える!
と言った現象が起こるでしょう。その理由を以下掲げると。
① 店舗が広くない店が殆ど。
② なんだかんだで女子は鮮度(トレンド)を意識する。
③ 商品管理が適当になる。
(一度継続商品認定をすれば管理が緩くなる)
以外にも様々な弊害がありがますが、大きく言うとこの3つです。
まずは①に関してのことです。
マーチャンダイジングにとって、店舗の広さ。商品の置き方(ブランド・ショップコンセプトに基づくもの)は重要な位置づけになります。
この業界で人気のあるレディースショップの多くが50坪以下の店であり、そのような状況の中で継続商品を増やせば、店頭に大して商品を展開できないのに、継続商品の場所をある程度確保しなければなりません。
例えばUNIQLOのような店舗であれば、1年中エアリズムのような商品も展開できるでしょうが(笑)他の多くのレディースショップがそのようなことができるでしょうか?
しかも、多くのレディースショップがUNIQLOと違い、1棚当たりに展開する商品数量が少ないにも関わらずです。
当然、私がそのようなレディースショップの店長だとすると、実売期に入れば1年中おける商品を一旦店頭から下げ、鮮度がある商品を優先して店に展開するでしょう。
何故ならば、1年中売れるような商品はよっぽどの売上がある商品でない限りは、一度店頭から下げても大した問題はなく、後日商品展開できるからです。
ですが、商品を店頭から下げる・出す行為が繰り返されるとなると・・・。本当にこんなことをしてダイジョブなのでしょうか?
次回のブログでは、②③のことを中心に記載していきます。どうぞ次回もお楽しみ。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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