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よくソーシャル関連の本などを読んでおりますと、
「UGCを生み出す事が大切」
なんて事がよく記載されています。最近ではTwitterを見ていましても意識高いマーケターさんたちがよくこの件について言っていますね。
UGC … 一般ユーザーによって作れられたコンテンツ」のこと。ブランドで言いますと、当該ブランドのアイテム着用画像をInstagramで投稿したり、リンクをTwitterで拡散したり、といったものが該当します。
ソーシャル経由で物を売りたい時に、このUGCが重要になってくる、といった理解でしょうか。ユーザーのリアルな口コミなので、確かに購買の1要員にはなりそうですし、ブランドを知る入り口にはなりそうです。問題は、いくらこのあたりの記事を読んでみても、ファッション関連でUGCを生み出す具体的な手法について記載が無いので、筆者の経験上、UGCが発生しやすい条件を書いてみる事にしました。
ファッション関連のブランドで、ソーシャル上にてユーザーからの口コミが発生しやすいのは下記でしょうか。
○エントリーしやすい製品・価格
まず一つ目はこちら。エントリーしやすいアイテムって何なの?って思うかもしれませんが、こちらは例えば「エコバッグ」なんかは当てはまりますね。汎用性が高く、デイリーに使える物なので手を出しやすいし、大体はブランドロゴやエンブレムがプリントされています。使用するユーザーの数が増えればリアルの場でもメディア代わりになりますね。あと、よく見かけるのはブランドが横展開している「カフェ」でしょうか。
カフェ展開できるブランドって限られるとお思いかもしれませんが、地方に行けば個店ベースで運営しているセレクトショップ が大昔からショップにカフェを併設させ、それが口コミになり大賑わいを見せていた事もあります。
価格に関してはもうおわかりですね。そもそも安くないと「試してみよう」と思えないからです。上記のエコバッグやカフェも、エントリーしやすい価格だからという側面があるでしょう。高級ブランドでもエントリーラインというのは確実に存在していて、憧れを醸成しながらブランド名を上手く流通させています。
○そのブランドの商品とわかるもの
これも普段、ソーシャルを見ていればわかりますね。特徴的なデザインのアイテムはロゴがあればソーシャルにあげられやすいです。これは何も有名ブランドに限った事ではなくて、
(特徴的なデザインのタンクトップが人気のlittle Suzie)
上記のようにキャッチーなデザインのものであれば、ソーシャル起点で話題になり注文が増えるという現象も観測されています。一度認知されると、今度は「このデザインと言えば〇〇」という状態になります。これがブランドの「アイコンアイテム」としての機能ですね。有名ブランドがアイコンを重視する理由がよくわかります。言われてみれば、アイコンが設計されていると思われるブランドは意図的にそのアイテムの露出が増えていますね。
○認知が高まると更に増える
こちらは上記2項目とは意味合いが違いますがおまけで記載しておきます。認知が高まると当然「みんなが知っている」という状態になります。ファッションアイテムだと、「これ使ってたらオシャレだと思われそう」あたりも含まれてくるのではないでしょうか。こうなると勝手にUGCは発生しますね。なんせみんな「オシャレと思われたい」という承認欲求はあるでしょう。もちろんUGCが発生する理由はそれだけではありませんが、こういった理由で動いてくれる人の方がコントロールしやすいでしょうね。
今回は冒頭からこのブログのテーマである「MD」というワードは一切使っていなかったのですが、皆様もうお分かりでしょう。UGCを発生させる1つの手段として製品戦略、つまり「品揃え」はめちゃくちゃ機能するのです。多くの人が誤解されているのは、
Webに精通している=ソーシャル上の口コミを増やせる
という事では無いのです。どれだけソーシャル上でバズを生むのに長けていたとしても売上に直結するとは限りません。何故ならコンセプトに紐付いた製品情報・コンテンツを流通させないと売上に直結しないからですね。そういったコンテンツが生み出される為にも、予めWeb上での拡張を考慮した上でのMD設計を組む事は今の時代求められています。ただ、もう1点注意しておきたいのは、
ソーシャル上で認知度が上がる!→すぐ購買につながる!
って訳でも無いんですよ。ユーザーのコンバージョン経路見ていても、例えばソーシャル経由でWebサイトに入ってきたユーザーは、次に「検索」行動を起こしたり、「お気に入り」に登録していたり、様々なタッチポイントを経由して再訪を繰り返します。そのうちLINEに登録する人もいるでしょうし、リターゲティング広告経由で再訪する人もいるでしょう。そうやってブランドが発信する情報を何度も受け取って、比較・検討フェーズを経て購買に至るのです。「ソーシャルで物が売れる!」という一文を否定はしませんし、そういった事実もあるでしょう。しかし、アパレル・ファッションカテゴリーにおいて物が売れていくという事は、ソーシャル上で簡単に完結してしまうほど甘いお話では無いという事だけ知っておいて頂ければと思います。
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株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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