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マーチャンダイザーとしての仕事の目的は、品揃え計画という仕事を通じて、より多くの売上。そして、粗利益を獲得することになります。
何故ならば、売上を多くとれていても粗利益が少なく、その組織が赤字に陥れば、アパレル小売業において、そのMDは失格です。
ということは?商品の仕入を行う際も、粗利益をターゲットにしなければ辻褄があわなくなります。
ここで少し話を変えて、某アパレル小売は、タイムセールの乱発等の過度なセールをすることで有名です。そして、業界人の間では、その組織は商品供給側に対して、かなり過酷な仕入原価率を要求する!ということは、よく知られています。
しかしながら、このような行為は、商品を過剰に仕入してしまう一つの要因ともなるのです。
前述したように、MDの仕事の目的は?
品揃え計画という仕事を通じて、より多くの売上。そして、粗利益を獲得すること。
になります。
この側面からみれば、仕入原価率を引き下げる(値入率を上げる)という行為は、粗利益を多く獲得する一番手っ取り早い手段ですから、その努力を怠ってはいけません。
ですが、前述した組織のMDは、その行為が手段ではなく、ある種の目的となり、本当の目的を理解させてもらえる機会に恵まれなかったのでしょう。
仕入原価率を引き下げることが、MDの仕事の手段ではなく目的になる。そして、本来の目的を理解していないと以下のようなことが起こりえます。
例えば、売上予算1億円。粗利率予算が50%だった場合。売上原価(仕入原価)は5,000万円となります。
MD・バイヤー等に粗利益の重要性を教育していないような組織の場合。上層部はMDに対して、粗利益のことをよく理解させずに、仕入原価予算として、5,000万円という数字だけを伝え、抽象的な意味での低い仕入原価率の設定を守ることを要求したとします。
すると、例えば上記の例で、MDが上層部の指示を頑なに守って、仕入原価率20%を達成した場合。以下のようになります。
となり、売上予算1億円に対して、2.5倍もの仕入元売価金額を仕入してしまうことになります。また、商品供給側である商社との駆け引きでも、仕入原価率引き下げを商社に要求すれば、ミニマムロットを相手に悟られないように吹っ掛けられますから、そのことも相まって、上記した組織のように過度なセールを強いられる必要性があるということです。更に言えば、商品のクオリティそのものにも影響を与え、更なる悪循環にも陥ってしまう可能性も高まります。
上層部のMDに対する無理解。そして、MDに対して正しい知識の教育を怠るような組織は、上記のような組織になる可能性が大です。
プロパー消化率がどうこうとか、販売経験も実務経験もない、なんちゃってMD評論家の言う、上っ面の知識を鵜呑みにし、現場を混乱させているのは、上層部の責任とも言えます。
だからこそ、組織を在庫過多状態に陥らせないためにも、正しい知識の教育で人材を育成することが、アパレル小売業に求められているのではないでしょうか?
仕入予算に関する考え方については以下の記事をご覧くださいm(__)m
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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