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ECにおけるSKUの重要性

 

アパレルに限らず、在庫を扱う際に出てくる「SKU」というワード。

※SKU…Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略。在庫管理を行う時の、最小の管理単位を指します。

アパレルはサイズ展開やカラーバリエーションによってSKUが増えやすく、これが増え過ぎると消化率が下がりやすい。というのはリアル店舗でもよく知られたお話でしょう。もちろんECでも注意しなければならないのですが、EC特有の事情がありましてSKUが増えやすいのです。

 

ECモールのアルゴリズム

ECモールにブランドが出品する際、SKUによって検索や絞り込み機能を使った際の上位表示に差が出てきます。当然、SKUが多ければ多いほど上位表示されるという事ですね。ECでは検索をかけた際の1ページ目以降の表示って大きくCVR(コンバージョンレート)が下がります。だからこそ、各ブランドは何とか上位表示されるようSKUを増やしたり、モールにお金を払って広告を出稿したりしている訳です。モールからしたらどちらに転んでも得しかありませんので良い仕組みですね。

ページ数・商品数が増えればそれだけユーザーが購入する確率も高くなりますしSEO効果もあるでしょう。有名ファッションECモールの取引形態は大概、委託販売なので、どれだけSKUが増えたところで痛みはゼロです。在庫消化したいなら(ブランド側の負担である)クーポンを撒けばOK。

ブランド側からしたら最悪な仕組みになっていますが、自ら出品しているので致し方無いですね。出来たらEC黎明期に気付いておきたかった事でしょうけど、その当時そんな事に気付いている人もほぼいなかったでしょう。言っても仕方ない事なので、なるべく売上・利益を最大化できるよう料率の交渉や在庫消化等でモールを利用していきましょう。

 

販路によって在庫量は大きく変わる

めちゃくちゃ当たり前の事を書きますが、モールによって発注する在庫量は変わります。いくら店頭在庫連携しているからと言っても販路が増えればその分発注は必要になりますが、ECモールによって流通総額は全然違います。

ECモールの場合、外からユーザーを連れてくるより中で回遊しているユーザーにどう買ってもらうか?が重要になってきますので、流通総額が低いところはその分売れる見込みが低い、という事ですね。例えばZOZOTOWNは直近の通期決算では3450億円の流通総額ですが、ロコンドは182億円です。ZOZOが19倍近く売上規模が大きいので発注する際のSKUが同じな訳はありません。(ファッション単体では楽天が流通総額7500億円でトップ)

ファッションECモールでも売れないところはハリボテ状態のところがそこそこあったりしますね。お付き合いで出品しなければならなかったんでしょうか、EC担当者からしたらとっても無駄な作業ですね。ハリボテで一番わかりやすいのは百貨店のECでしょうか。売れる見込みも少ない上に消化仕入れ辞めないんだから致し方ないですね。

最近、数人のアパレルEC担当者にヒアリングしたのですがAmazonとZOZOではSKU数はほとんど変わらないそうです。何だったらAmazonの方がSKUが多い企業も存在するようですね。これはAmazonのファッションにおける流通総額がZOZOに近づいてきたという証左でしょう。Amazonは新規流入も今だに多く、一方ZOZOは新規が頭打ちに近づいているという噂なのでそのうち逆転される恐れはありますね。

 

注意しておきたい「ヒット率」

ECにはヒット率という指標がありまして、シーズンで全く動かなかった商品の割合がこれでわかります。ヒット率7割であれば、全SKUで全く動かなかった商品が3割あるという事ですね。ブランドやモールによって数字が大きく変動するので適正値はそれぞれ探っていかなければなりませんが、EC担当者はSKUが増えやすいECモールの発注の際にはしっかり見ておきたい数字です。特にECモールは売れ筋が縦で売れやすいので自社ECよりヒット率が下がる傾向にあります。つまり在庫が余計に残りやすいのです。

長々と書いてきましたが、ECにはECの事情でSKUが増えるし、結果在庫に大きく影響します。大手はアウトレットを複数持っているので、最終在庫が残ってもそちらにほうり込めればと思っているかもしれませんが、残った在庫を捌く為に存在する店舗を、在庫を残すつもりで活用するのは本末転倒です。EC担当者も発注の際はくれぐれもご注意を。

 

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