メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
ECの施策を考える際、データを指標にしながら対策を取るのが良いのですが、意外とデータを正しく検証できていない企業が多く、手探りな状態で施策を進めているケースが散見されます。
どのような施策がどの程度の効果を生むのかは過去データが非常に参考になるのですが、そもそもデータ自体を取得していなかったり、普段からデータを見ることを習慣化出来ていないと予算の配分や優先順位を決める事ができません。
また、これはブランドの置かれている環境や属性、設計やMDによって効果的な施策も大きく変わってきます。そこで今回は、ブランド属性に合わせたECの集客施策についてざっくりと記載しておこうと思います。
既に店舗があるブランドの場合、積極的に店舗を活用するのが効率的です。ECだからといって、何でもオンラインだけで完結するという事はありません。データを見てみるとわかるのですが、店頭顧客はよくECでもお買い物してくださっています。つまり店頭カスタマーの数が増えるほど、ECの売上は伸びていくのです。
特にブランド認知の低い初期フェーズであるなら、ソーシャルを含めたWeb施策は店頭送客中心に活用し、しっかりと商品を見て頂く、またしっかり接客する事でブランドやアイテムをよく知って頂く事が優先されます。ご購入頂けたからといってブランドを認知してもらえていないかもしれませんので、帰り際にショップカードのお渡しも徹底しましょう。お会計時にLINEのご登録をして頂くのも良いでしょう。このような動きを徹底する事で、ブランド指名検索に繋がり、ECへの流入が促進されるのです。
また、販売員コーデ活用でサイトコンテンツの充実とソーシャルからECの入り口を作る事も必要です。スタッフスタートのようなサービスを導入せずとも、安価でコーデページを作成する事は可能ですので、出来る範囲でスタートするのも良いかと。
オンライン専業の場合、ソーシャル、特にInstagramをメインにEC売上を獲得しているブランドが多いでしょう。ソーシャルからのCVR(買い上げ率)が特に高いのはこのケースによく見られます。当然ながら、見込み客をソーシャルの「フォロワー」として獲得していますので集客施策をここに依存しています。主に、
◯フィード投稿からプロフィール欄のURLをクリック
◯ショッピング機能
◯Instagram広告から直接遷移
◯ストーリーズ・ハイライトにてリンク貼り付け
あたりが流入経路でしょうか。ライブ配信も集客の入り口にはなっていますが、リンクが貼れないので、ライブ後は「検索」からも流入が増えています。オンライン専業の場合、ソーシャルの活用は既に十分出来ている事が多いのですが、認知が取れた後の指名検索に対する対策は注意が必要でしょう。EC側にてサイトコンテンツの充実と、検索行動を起こした際に適切なページが検索結果に表示されるかどうかは確認しておくべきですね。また、定期的なポップアップショップを開催する事で、物を直接触って知ってもらう事も忘れないようにしましょう。
同じオンライン専業でも、モール出身のショップはそもそもソーシャルの活用が不十分なケースがよく見られます。この場合はD2Cブランドのソーシャル運用が参考になるでしょう。
EC運用が上手くいっていないブランドは、販路を卸メインにしている場合が多いです。理由としては、ECを拡充した際に「卸先から苦言を受ける」という事が多く、接客的にEC運用が出来ないのです。まずはこの問題をクリアしない事には対策のしようがありませんので先に得意先とお話しておく必要があるでしょう。
それらが解決されましたら、その得意先を活用してブランド認知を取りましょう。得意先にて自ブランドを展開してもらうスペースを広げてもらったり、イベント開催をして期間限定で在庫を手厚くフォローするのも良いでしょう。卸先も「このブランドが売れる」と思ったら接客的に店頭でも販売しますし、ソーシャルでも投稿してくれます。大事なのは、顧客を抱えているショップの店長に商品を好きになってもらう事です。各地方でブランド認知が促進されると、ここからまた指名検索に発展します。
ブランドの流通量と共に指名検索は発生していますので、既に有名セレクトに卸しているブランドなら検索流入が多く確認出来ているでしょう。ここでも多いのが、適切に自社ECに送客できていないケースです。seach consoleを確認してみて、自ブランドの指名検索にて上位表示されているのか?クリック率は高いのか?を随時確認してください。送客が不十分な場合、機会損失を大きく起こしているかもしれませんのでご注意ください。
ざっくりと書きましたが、このようにブランドの方針によって注意すべき点はばらばらであり、メディアで報じられる成功事例を鵜呑みしてすぐ飛びつくのは危険です。まずは自社のブランド属性や顧客属性をしっかり見極め、何が優先される施策なのかを考えてください。データを見ればすぐわかる事なので、なるべくデータを見る習慣を身に着ける事がスタートです。MDもECも、口だけのデータドリブンにならないようご注意ください。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。