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前回のブログで、(店・事業部の)売上予算を策定する際に、注意すべきこととして、以下のブログを書きました。
前回のブログでも述べたように、ブランドやショップが予算設計する際に、まず意識すべきことは、その事業が黒字になること!このことが大前提です。
しかしながら、アパレル・ファッション小売業界では、ブランド、ショップ事業の売上・粗利予算が基となる、MDにおける予算の重要性を理解していない組織が多いように思います。
小売業におけるMDの予算は、売上・粗利の部分が組織の損益計算書に直結していますし、在庫の部分はバランスシート。また、在庫の増減はその組織のキャッシュフローに直結します。
また、MDにおける予算設計は、
MDにとって予算作成は来期へ向けた「意志」であり、行動するための「仮説」でもあります。予算作成する行為そのものが、目安となり期中でのリスク対処法となります。
更に、MDにおける緻密な予算設計は、実践段階において「売れる要因」「売れない要因」の気づき・修正のスピードをあげMDの目的である「売上」「粗利」の向上に努めることができます。
言い方を変えれば、MDにおける予算の立ち位置は、組織おける期中でのMDの良し悪しが具体的に測定可能な”目安”となるものです。
しかしながら、冒頭申したようにアパレル・ファッション小売業において、このMDにおける予算の重要性はあまり理解されていません。
特に、そのことを顕著に感じるのが、期中でMDにおける予算。とくに売上の予算をコロコロと変えることです。特にこのコロナ禍の状況でそのことを連発していると目も当てられません。(但し、コロナ禍の状況での販売の現場における予算達成手当等の救済処置は必要だと感じる)
期中でMDにおける予算を変える弊害を、私の独断と偏見で考えると以下のようになります。
① 測定可能な指標がなくなる。
② 現場・実務者のやる気を削ぐ。
以外にもありますが、このことです。
まずは①の件です。
MDにおける予算設計は、売上だけでなく粗利益・仕入・在庫の予算が必要になります。
そして、そのことは連動したものになります。
また、自ブランド・ショップの顧客の購買心理が分析できる分類を設定し、それぞれの分類で予算を設計することが、、、
「売れる要因」「売れない要因」の気づき・修正のスピードをあげMDの目的である「売上」「粗利」の向上に努めることができます。
更に言えば、アパレル・ファッション小売業の場合。商品によっては半年前。1年前のに発注しなければならない!ということが多々ありますから、早い段階からの顧客を見えたMDディレクション。MD予算設計が必要となってきます。
とくに期初の商品は、その早い段階で作成された予算で仕入活動を行わなければなりません。そして、早い段階で仕入をした商品が予算通りに売れるとは限りません。当然期中に入れば、予算と実績の数字のズレが出てきます。そのズレがどのくらいなのか?ということを知ることが、MDには大事になります。
期初の段階で予算よりも売上・粗利が良ければ、先の売上の見通し・目標を上げます。
そのときに予算が緻密に設計されていれば、自分たちが当初策定した予算が測定可能な目安となり、予算に対して具体的にどう先の見込み・目標を上げていけばいいのか?という判断材料になります。
要は、変えていいのは先の見通し・目標であって、予算を変えてしまっては当初自分たちが予算として表現した、今シーズンの顧客へ向けての”仮説””意志”そのものを放棄したことになりますし、また測定可能な目安を喪失することになり、何も良いことはありません。
続いて②のことについてです。
そもそも、MDにおける予算は組織全体の損益計画から来ていますから、店舗の予算もそのことに紐づいています。要は、店舗の予算とMDにおける予算は一体であるということです。
当然のことながら、MDの予算を変えれば店頭の予算も変わりますし、その逆も然りです。特に、店の売上予算は販売員の予算達成手当等、実務者のお金のことに直結します。
ということは、期中で売上予算をコロコロ変える行為は、店が当初の予算を達成しても、途中で勝手に予算を変更され、予算達成手当がもらえない可能性が高まり、店頭の実務者のやる気を削ぐことに繋がります。
また、MDの予算を下げても、店の売上予算はそのまま!等のわけのわからない行為が横行します。そのことが、本部と現場の不公平感・意識の乖離を産むことになります。
このようなことにならない!ためにも、基本。MDにおける予算は期中でコロコロと変えてはいけないのです。変えていいのは先の見通し・目標である!ということを、皆様が理解して頂ければ幸いです。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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