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ファッション教育機関のメリットとこれからの課題について

筆者は2013年から服飾専門学校で非常勤講師として週に1〜2回程度授業をしていまして、既に講師歴が8年目に突入。「EC」や「計数管理」などビジネスを主体とした科目を教える事が多いのですが、ファッション教育の現場も例に漏れず2020年の初期はコロナでストップ。オンラインで授業を実施する事もあり、改めて教育も「リアル」が重要である事を思い知らされました。

昨今はビジネス系のインフルエンサーが「オンラインサロン」を展開する事も多く、その中でサロンオーナーが自身の身に付けた知識・技術を伝えていく、といったものが其処彼処で跋扈しています。筆者も「オンラインで教育が出来れば効率的なのでは?」と考えた事があり、スキームを構想してみましたが、改めて学校という仕組みはよく出来ていると痛感しますね。オンラインサロンがしばらく経過したら内容が薄くなっていき、評判が下がっていくのがよくわかります。

2020年も終盤に差し掛かって参りましたので、忘備録を兼ねて良くも悪くもコロナで浮き彫りになったファッション教育について、個人的な所感を記載しておこうと思います。

ファッション教育機関のメリット

まずは今年特に感じた教育機関の良い点から。

◯2〜4年間という期間を設定する事

◯その期間を埋めるカリキュラムを予め設計しておく事

◯ゴールが明確である事

◯教室で受講する事による強制力と伝わりやすさ

これ、予め期間が設定されていないとしたらどうでしょう。いつまでに何を学ぶかが不明瞭だから、個人のゴール設定も曖昧です。一番の問題はゴールに向けてのカリキュラムをその期間中は充実させなければならない点でしょうか。オンラインサロンの場合、期間が明確では無いのでカリキュラムのボリュームがわかりません。そのせいか、初期はそれなりに濃いコンテンツを発信しているサロンも、時間が経過するにつれてどんどんと陳腐化していきます。卒業という新陳代謝もありませんから、長期で契約するファンほどコンテンツが陳腐化していくのがわかってしまいますね。

ある一定期間を学習に充てる事のメリットはもう一つあります。それは周りの受講生からの影響ですね。学生さんたちが好きなファッションブランドやスタイルの情報や、そこから受ける刺激など。オンラインだけだと周りからの影響は受けにくいものですが、普段から集団行動をするからこその恩恵でしょう。

また、リアルな場に集まると強制力が働きますから、嫌々でも手は動かします。技術の習得に反復は欠かせませんので、継続が苦手な人でもやらざるを得ません。チャットサービスやオンラインミーティングのツールでコミュニケーションを取る、という手法もリアルな場と比較してみると圧倒的に伝わり方に差があるのがわかりますね。

これからの課題

では逆に解決されていない課題は何なのか?を見ていきたいと思います。

◯講師陣の技術・知識の担保

ファッション教育機関で講師をする為に資格などは特に必要ありません。決裁者の判断のみになりますので、決裁者にリテラシーが無ければ講師の質は担保されません。そもそも、学科やカリキュラムを設計する際にもこれは関わってきますので、決裁者に教育への熱量が無いのであれば良い教育は実現しないでしょう。

◯実践の場の担保

そして学校に最も不足しているのが実践の場ですね。課題が目の前に無ければ学習効率は上がりませんが、それを教育機関が担保出来るのかどうか。自主的に販売現場でアルバイトするなど、学生さんが努力出来る範囲はあるのですが、学校側がインターンやアルバイトの斡旋等、予め用意しておく事が求められます。

◯ゴールは「就職」ではない事の理解

教育機関に入学してくる学生さんに一番お伝え出来ていない事が、学校の目的は「就職」ではなく「技術の習得」という点ですね。はっきり言いまして、就職だけしたいのであれば面接対策だけで十分です。(ポートフォリオが必要なクリエイターは別です)他の業界はどうか知りませんが、ファッションビジネス関連では面接の際にファッションの知識を求められる事はありません。ロジカルに自分の考えを伝えるだけで高確率で内定を取る事が可能です。逆に、学校側は就職をゴールにするのであれば、内定を取った段階で卒業させるのが合理的です。就職がゴールと思い込んだ学生さんは、大概のケースにおいて就職が決まった後、授業のやる気を失います。中途採用の面接を受け、作用が決まれば就職、という形が望ましいでしょう。

◯学生の理解度のばらつき

ファッション教育機関には「入学試験」がほぼありません。そのせいか、同じ教室内に理解度が大きく違う学生さんがわんさかいらっしゃいます。これは、授業をオンラインでやる程、理解に差が出てしまいます。対策をするとしたら、入学試験を作ってしまうか、学年が上がる際にクラス分けを実施する等の措置が必要になるでしょう。

 

現状考えられるのはこのあたりでしょうか。学校という機関は確かに古く、アップデートすべき点は多々あるにせよ、今の時代まで継続してきた事にはしっかりと理由があるという事ですね。そして、スタープレイヤーほど「教育」というものに懐疑的なのですが、教育の真の価値は「底上げ」にあるのでスタープレイヤーには理解し難いのでしょう。多くの人間はやった分だけしか知識・技術は身に付かず、そして怠惰です。強制力を働かせる場に身を投じる事で得られる技術・知識は確かにあり、その習慣化こそが成長を促進する。そしてそれを最も簡単に実現してくれるのがリアルな場である事を教えてくれた2020年だったように思っております。

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