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弊社のお客様からよく、
「こちらの企業を知っていますか?このようなご提案を受けておりまして…。」
のようなご相談をされる事が多々ございます。大体はEC関連にて支援会社が営業を仕掛けてきており、自社内ではジャッジ出来ないから提案内容を一緒に検討してほしいというもの。内容をよくよく聞いておりますと、
「それは直近の課題でも何でもないな…。」
と思う事が多数ございます。ブランドが直面している課題は、しっかりとデータ確認とヒアリングをしないとわからないものですが、外側から判断出来る材料で「課題っぽい」ものを提案してくるケースが多くございます。また、データを確認した後でも直近の課題ではない件についてサービスをゴリ押ししてくる場合があり、何をどう判断したらその提案になるのか理解に苦しみます。これは、技術が有る・無いはあまり関係無いように思うのです。
そんな訳で、このようなお話がやってきた場合、どう対処したらいいかについて記載しておきます。
まず確認したいのは、先方が抽出した課題を解決した先に何が待っているかです。SEO対策をして全体の掲載順位が上がったとしても、売上に直結するかは不明だったりします。そんな事より、今発生している指名検索を有効活用する方が短期的な売上に直結する場合もあるでしょう。このような「売上対策・改善提案」の先に何が起こるかを明確にしておく事で、「それは自社の課題なのか?」を炙り出していきましょう。
また、例えフワッとしていても自社内で抱えている課題は何となく認識しているものです。
・ソーシャルがどう考えても弱い
・売上のトップラインを伸ばすのに広告を打つべき?
・効果的な販促立案の企画力が出来ない
・そもそも課題が何なのかわからない
などなど。このような社内で考える課題と合致していて、まさに欲しい領域であるなら提案を受け入れるのも良いでしょう。社内で課題を正しく認識出来ていない場合は効果が出なかったりもしますが、希望に沿った形ではあるので致し方無いでしょう。
ただ、まともな支援会社なら、それが「直近の課題かどうか」や「売上にどれほどのインパクトが見込めるか」をお話してくれますし、自社が今必要無ければ自ら辞退するかとは思います。
社内でどうしてもわからない事に関しては、有識者と思われる方に相談してみるのも良いでしょう。特に、普段からECのデータに触れている方は課題を正しく認識しているケースが多いと感じます。また、課題がWebに関する事だけとは限りません。アパレルECの場合、店頭活用やMDが課題で売上が伸びないケースもよくある事ですから、小売からECまで幅広く理解している方が望ましいでしょう。販売現場出身のEC担当者や、ブランドのECディレクターのようなお仕事をされている方が適任かと思います。
本当はこれがベストなのですが、EC事業においてよく営業される「Web制作」「ソーシャル」「Web広告」「SEO」のような要素は、普段からECのデータを閲覧しておけば効果検証程度は出来るものです。細かな解析が出来ずとも「どのチャネルが弱いか?」を確認するのはハードルが高くありませんので、まずは自社の課題をデータから正しく認識する事ですね。(会員限定メルマガでそんな記事を書いておりますので良かったらメルマガ登録してみてください。)
このような提案を目の当たりにする度、「お金になればそれでいいのか?」という言葉が脳裏をよぎります。提案の中には「技術的に正しいもの」が多いせいか説得力は確かにあります。ですが、お客様にお金だけ使わせて、直近の課題が達成出来ないのであればやるべきではないでしょう。また、このようなお仕事のやり方で仮に案件を獲得したとしても、良い結果になるのは稀でしょう。その瞬間だけ儲けが増えるかもしれませんが、業務が進行してしまった場合、結果として誰も幸せにならない結末を多く見てきました。そもそも課題を正しく認識出来ないなら「支援」をサービスになどしてはいけませんし、情報格差を利用して適当な横文字を使って煙に巻く事は「営業」でも何でもないのです。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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