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アパレルECで今や、どのブランドでも取り入れられるようになったコーディネートページ。ユーザーからすると、商品詳細ページに訪れた後、購入を検討する材料として「どんな着こなしができるのか?」を考えるものです。その際に様々なコーディネートがあると購入の背中を押してくれる材料になるので、必須のコンテンツと言って良いでしょう。筆者も仕事柄、コーディネートページの効果検証をデータから確認するのですが、EC担当者とお話していますと「うちはコーディネートの貢献売上が全体売上の3割〜4割くらいですよ。」というお話がちらほら出てきまして、「え、そんなにある??体感と違うな…。」と思い、細かく検証してみる事にしました。
筆者が使ったツールはGoogleアナリティクス。大概のECサイトで使われているツールなので、ご存知の方も多いでしょう。では早速、コーディネートページ経由のセッションを抜き出してみましょう。
まずはこちらの「セグメント機能」を使います。「新しいセグメント」をクリックし、
条件をクリックします。するとこちらの画面になりますので、
ディメンションを「ページ」にして、コーディネートページのディレクトリを入力。「コーディネートページ経由のセッション」のようなタイトルを付けてもらえたら良いかと。では一度、こちらでどの程度の売上が発生しているか見てみます。このセグメントをセットし、「すべてのユーザー」を外してください。その後、
「コンバージョン → eコマース → 商品の販売状況」
を確認します。そうすると確かに、売上の3〜4割程度売れている…。しかし、ここで疑問点が。
「各コーディネートで提案している関連商品は本当に売れているのか?」
という事ですね。ではこちらの検証をしてみたいと思います。
コーディネートの中で一つ、ページを抜粋します。その当該URLを先ほどのセグメント機能で設定してください。(/snap/××× のように、コーデページごとにURLが発行されますので。)その設定をしながら次に、
「拡張eコマース」をクリックし、「商品を購入した」をクリック。「商品」の箇所に商品名を入力してください。(複数の場合は「含む」のプルダウンを「正規表現に一致」を選択。商品名を「|」で区切れば関連商品を購入したユーザーを全てセグメント出来ます。)
これで先ほどの商品の販売状況を見てみますと、「コーデ経由で売れた商品」と「コーデ経由で売れた関連商品」では金額が10分の1以下になってしまいました。(今回テストしたECサイトの場合です。)関連商品だけでセグメントすると実際はこんな感じになってしまいます。では何故このような事が起こってしまうのでしょうか?
【追記】
集計期間に同じ商品を使ってコーディネートが投稿される場合について記載しておきます。当然ながら、新作や売れ筋アイテムを活用したコーディネートは増えやすいので、関連商品が重複するケースはよくございます。まずはコーディネートページから同じ商品を提案しているページをピックアップし、
「行動 → サイトコンテンツ → すべてのページ」にて、
そのコーディネートのURLを絞り込みます。(URLを「|」にて区切って複数ページのみのPVをセグメント)
先述しましたセグメント機能にて「拡張eコマース」の機能を使い、関連商品を購入したセッションのみを絞り込み、オンにしておけば、コーディネートページ経由で関連商品の購入に貢献したページがどの程度あるのか確認できます。仮に3ページ発生していれば、先ほどの貢献売上÷3で按分して、正しい貢献売上が算出されるという事ですね。
サイトコンテンツが増えれば、当然そこを経由するセッションも増えます。コーディネートを複数閲覧して、気に入った商品があれば商品ページに遷移し、そのまま購入するユーザーもいらっしゃるでしょう。その場合、経由したコーディネートと全く関係無い商品が売れる事もしばしばあります。特に昨今、販売員さんが簡単にコーディネートをアップ出来る仕組みも増えてきましたので、1人の販売員さんが毎日のように投稿する事もございます。仮に、コーディネートを投稿する販売員さんが50人いたとして、一人が毎日投稿すると1ヶ月で1500ページもコーディネートが生成される事になります。しかし、1つのコーディネートページを通ったセッションを確認しますと、他のコーディネートページを1ヶ月で200〜300ページ経由していたりしますので、関連商品が売れたかどうか?まで見ないとしっかりと検証が出来ないのです。また、今回は集計期間を1ヶ月で絞りましたが、期間を伸ばせば当然ながら経由売上も伸びてしまいます。ですが、アパレルは月ごとに提案する商材が大きく変わる業界ですので、2ヶ月や3ヶ月で検証してしまうと正しい効果が見えなくなります。繰り返しますが、経由売上を確認したいのであれば、「関連商品が売れたかどうか」まで見ないと判断を間違う事になります。
※そんな検証方法は間違っている、というご意見がございましたらご連絡ください。
誤解してほしく無いのは、「コーディネートページが必要無い」という事ではありません。正しい効果検証をしないと、次の打ち手を見誤る事になるので注意してほしいという事です。また、コーディネートページは購入後のお客様が着用方法を確認するケースも多々ありますので、何もコンバージョンを狙う為だけのものでもありません。最近では動画で商品の着こなしを確認出来るサービスも増えましたし、instagramのストーリーズに投稿→ハイライトに追加して、動画による着こなしの特集ページのようなものを作っているケースもよく見かけます。ストーリーズを投稿すると、そのままECサイトに反映されるサービスまで出てきました。「コーディネートページこそが至高!」のように近視眼的にならず、広い視野で打ち手を考えたい。そして、その為に正しく効果検証をする癖を身に付けたいものです。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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