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アパレルECの運用の際、よく聞かれる項目の一つに「どの数字を見れば良いかがわからない。」というご相談がございます。アクセス解析ツールの中身を見ても、数字が多種多様に存在しますから、パッと見た感じではどれを日々確認したら良いかはわかりにくいかもしれません。ツールは様々な切り口でデータを抽出してくれてはいますが、その「切り口の意味がわからない」なんてこともしばしば。また、カートからも拾える情報はたくさんあるのですが、こちらもあまり活用が進んでない印象があります。
筆者はWeb関連の企業に所属した事がなく、ツールの使い方も専門書を購入して独学で全て学んでいますので、Web解析士の方々がやっている内容とは違いがあるかもしれませんが、アパレルの現場出身だからわかる切り口があると考えています。そこで本日は、筆者がECディレクション時に使うKPIについてざっくりと記載しておこうかと思います。普段、現場で数字を確認しているEC担当者からすると当たり前のことだとは思いますが、初心者の方は参考にして頂けますと幸いです。
まずはチャネル別の効果検証について。チャネルの定義は「Googleアナリティクス」を例に説明いたします。
こちらが用意されているチャネルの定義ですね。この中で改善しやすく、且つよく使うチャネルとしては「オーガニック検索」「ソーシャル」「メール」「広告」あたりでしょうか。それぞれのチャネルから「どの程度の流入があり、それがどの程度の売上を作っているか?」がまず確認すべき指標でしょう。なので、まずはチャネル別の数字の検証からスタートする事をお勧めします。流入に関わる指標は「ユーザー・セッション・ページビュー」の推移から確認、売上は「トランザクション数・コンバージョン率・収益」から確認できます。
より詳細に見ていくなら、そこからドリルダウンしていきます。「ソーシャル」であれば、細かく各種ソーシャルの効果まで掘る必要があるでしょう。アパレルならInstagramは必須項目でしょうし、YouTubeやTikTokを活用するブランドも増えてきました。こちらも同様に、どの程度の流入と売上があったのかを確認しましょう。見込み客を高い精度で取り込めているか?は「平均セッション時間・ページ/セッション」を確認するのも良いでしょう。
「メール」は配信する際にパラメータを追加しておけば「キャンペーン」という項目から検証可能ですし、最近ではカートの管理画面から開封率を確認出来るサービスも増えてきました。同様に「広告」も大概は遷移させるURLにパラメータを付けていますから、どのキャンペーンの効果が高かったかは同じ項目で確認可能です。
「オーガニック検索」に関しては、search consoleと合わせてみないとデータが不十分ですので、どのような「検索クエリ」がどの程度あったのか?は合わせて確認してください。
詳細に記載すると何万字になるかわかりませんのでまずはざっくりとここまで。これらの内容は細かく「会員限定メルマガ」で解説しておりますので、詳細に知りたい方はそちらでご覧ください。(無料です。)
次にカートで最低限拾っておくべき数字について記載しておきます。
当然ながらリピーターの数が増えるほどECサイトの売上は伸びますから、リピーターがどの程度いるかは日々確認しましょう。注意点としては、リピート率が高すぎる場合は顧客売上に依存しすぎているので、その場合は「新規獲得」に課題があったりします。
年間売上目標が決まっている場合は、顧客の年間購入金額を把握しておくと、どの程度のリピーター売上と新規獲得を目指すのかの内訳は容易に決定できますので、その目標数値に向けてそれぞれ施策を考案したら良いだけですね。(リピーターの年間購入金額×人数+ライトユーザーの購入単価×人数=年間売上目標)
ECの年間売上は先述した「チャネル別」で決めるとロジカルに算出しやすいでしょう。(10000セッションでCVRが1%の場合、100件の注文。客単価が10,000円の場合、100万円の売上が見込める。といった形ですね。)
また、注文の件数や売れた点数・客単価などを算出する場合はカートの数字を拾う方が確実ですね。値引きの処理や送料を引いた純売りで確認するのが望ましいので、正確な数字で検証しましょう。会員数はカートでないと確認できませんので、コンバージョンの設定で「会員獲得」を登録しておき、どのチャネルやページが会員獲得に効果があったかも合わせてみておきましょう。(会員登録の完了ページをコンバージョンの目標に設定)
ややざっくりでしたが、まずはここを確認するだけで課題は少なからず見えてくるのではないかなぁと思います。しかし難易度が高くなるのはこの先ですね。それぞれのチャネルにて課題が抽出されたとして、「どうしたら課題解決が出来るのか?」を考える必要があるからです。
検索からの売上が伸びない → 指名検索が少ない → 増やす為にはどうしたら良い?
Instagramからの流入が少ない → 投稿数は多いがエンゲージメントが低い → どうしたらエンゲージメントが上がる?
ここの対策こそ、アパレルの現場経験が活きてくるポイントなので、前段階での課題抽出で躓かないようにしましょう。ブランドによって対策はまちまちなので、それによってKPIも変化しますが、最低限「チャネル別」の効果検証は日々、継続しておくべきかと思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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